果樹

梨(なし)栽培の防除暦 病害虫防除に使える農薬と散布時期

なし園 果樹

梨は年間を通して病害虫防除が必要です。ここでは梨(なし)の防除暦と、病害虫予防に使える農薬や散布時期や、化学農薬以外の防除方法について説明します。

この記事の執筆者・監修者
農家web編集部
法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。詳細
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梨(なし)の防除暦とは

防除暦とは各地域で栽培する作物に対し、病害虫の防除方法が記載された暦です。発生しやすい病害虫やそれに合った農薬種類や散布時期、希釈倍率、散布回数などが記載されています。栽培が多い地域はJAなどで配布していることもあります。

防除暦がない地域や、手に入れにくい場合などは、農家webの「かんたん栽培記録」から、作物と地域を選択するれば独自の防除暦をみることができます。

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梨(なし)に発生しやすい病害虫と防除方法

ではなしの防除情報をみてみましょう。例として茨城県の防除暦を見てみましょう。下記は「かんたん栽培記録」で検索した茨城県のなしの防除暦の画像の一部です。実際の防除暦は下記のリンクから確認できます。

自分の地域の防除暦を確認する場合には、TOPページから作物「なし」地域で自分の栽培する地域を選ぶと、その地域の防除暦が表示されます。

自分の地域の防除暦を確認する場合には、TOPページから作物「なし」地域で自分の栽培する地域を選ぶと表示されます。

梨(なし)に発生しやすい病害虫

なしに発生しやすい病気は、3月から「黒星病」「赤星病」、5月から「炭疽病」「輪紋病」が発生しやすくなります。

なしに発生しやすい害虫は、1月から「カイガラムシ類」、2月から「ハダニ類」、4月から「アブラムシ類」、5月から「ナシヒメシンクイ」「シンクイムシ」、6月からはまた「ハダニ類」が発生しやすくなります。

梨(なし)の防除の方法

梨の防除は、定期的な農薬散布が基本です。それぞれの農薬の効果が切れる前に定期的に散布しましょう。同一農薬や作用性の同じ農薬を続けて使うことは避け、RACコードを参考に作用の違う農薬を散布することで、害虫の抵抗性や病気の耐性がつくことを避けます。

化学農薬による化学的防除の他に、天敵製剤などをつかった生物的防除、捕殺などによる物理的防除などを組み合わせる、IPM(総合的病害虫・雑草管理)防除が効果的です。

梨(なし)に適用があるおすすめの農薬

黒星病の被害果 
出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

梨(なし)栽培で発生する病気防除に適用がある農薬

3月から収穫期までは黒星病の防除は必要です。周辺にビャクシン類がある場合には「赤星病」の防除の必要があります。

6~7月に曇雨天が続くと炭疽病が発生しやすいため、5月~7月頃に農薬散布が有効です。輪紋病は果実にも発生するため、5月下旬~7月下旬の薬剤散布や早めの袋がけが有効です。

黒星病の防除は収穫まで続ける必要があるため、黒星病以外にも他の病害に効果があるものを使い、作用が異なる薬剤をローテーション散布しましょう。

散布時期農薬名対象病害虫希釈倍率使用液量使用期間使用回数使用方法FRACコード備考
3月以降~定期的に散布トリフミン水和剤黒星病
赤星病
うどんこ病
2000〜3000倍
2000〜3000倍
2000倍
200〜700㍑/10a収穫前日まで3回以内散布3なしの黒星病に効果の高いDMI剤
DMI 剤は耐性菌が発生しやすいため、ローテンション散布を心がける。
幸水には高濃度だと葉に黄斑を生じる場合があるので低濃度で散布
輪紋病の防除には5月~ベルクートフロアブル 黒斑病
黒星病
輪紋病
うどんこ病
1500倍200〜700㍑/10a収穫14日前まで5回以内散布M7DMI剤とは異なる作用点を持ち、黒星病や黒斑秒の耐性菌に有効な薬剤です。
5回まで使えるので使いやすい。
輪紋病・炭疽病の防除には
5月~
デランフロアブル黒星病
黒斑病
輪紋病
赤星病
疫病
炭疽病
心腐れ症(胴枯病菌)
黒斑細菌病
褐色斑点病
1000倍200〜700㍑/10a収穫60日前まで4回以内散布
M9
ジチアノン水和剤で、幅広い殺菌スペクトラムを持ちます。
マシン油剤との混用散布は発芽前散布で黒星病に効果が高いですが、発芽後は薬害が生じるため混用は避けましょう

梨(なし)栽培で発生する害虫防除に適用がある農薬

アブラムシ類は複数の種類が発生し4月~7月まで発生するため、発生初期に適期、薬剤散布をして防除しましょう。

休眠期に発生するカイガラムシ類やハダニ類は、粗皮削り、ブラシで落とすなどの物理的防除を行いましょう。ハダニ類には発芽前のマシン油乳剤が有効です。生育期に発生した場合には、適期に薬剤を使いましょう。IRACコードを参考に違う作用の農薬をローテーション散布しましょう。

ナシヒメシンクイには、6月頃の性フェロモン剤が有効です。


散布時期
農薬名対象病害虫希釈倍率使用液量使用期間使用回数使用方法IRACコード備考
発芽前スプレーオイルカイガラムシ類
ハダニ類
ハダニ類の越冬卵
ニセナシサビダニ
30〜50倍
30〜200倍
30〜200倍
30〜200倍
200〜700㍑/10a発芽前散布高精製のマシン油乳剤。
日本農林規格(JAS)の有機農産物栽培においても使用することができる薬剤です。
害虫発生初期オリオン水和剤40アブラムシ類
シンクイムシ類
ハマキムシ類
ケムシ類
カイガラムシ類
1000倍200〜700㍑/10a収穫3日前まで2回以内散布1A害虫に対し、強力な接触毒・食毒の両作用があります。
有機リン性抵抗害虫にも有効です。
害虫発生初期アディオン乳剤アブラムシ類
シンクイムシ類
ハマキムシ類
カメムシ
2000〜3000倍
2000〜3000倍
2000倍
2000倍
200〜700㍑/10a収穫前日まで2回以内散布3A速効性、残効性に優れた薬剤です。
害虫発生初期コロマイト水和剤ニセナシサビダニ
ハダニ類
1000倍
1000〜1500倍
200〜700㍑/10a収穫前日まで1回散布6微生物由来の新殺ダニ剤
「ハダニ類の成虫,若虫,幼虫,卵」のどの発育ステージに対しても
高い活性を示し,効果は速効的です。
6月頃ラブストップヒメシンナシヒメシンクイ150〜200粒/10a成虫発生前から終期設置容器に入れた本剤を対象地域の枝等に設置する。性フェロモン剤
ナシヒメシンクイの交尾を阻害します。

上記以外にもなしに適用がある農薬は多くあります。圃場に合った剤形や発生している害虫に合わせて使いやすい農薬を使いましょう。下記からほぼすべての農薬を検索することができます。

農薬を使用する際は必ず登録内容を確認の上、希釈倍率、使用量、回数を遵守しましょう。地域で果樹を栽培している地域では、初めて使う農薬等は、営農指導員、専門家、メーカーなどに相談してから使うようにしましょう。

農薬以外の防除方法

化学農薬だけに頼らず、フェロモン剤や天敵薬剤などを使った生物的防除ほか、物理的防除も重要です。

  • 春に発生する黒星病は、「芽基部りん片」と「落ち葉」から感染します。落ち葉の処理と感染したりん片の除去は必ず行いましょう。
  • 休眠期には、害虫の発生を絶つための粗皮削りを行います。
  • 草刈機等による除草
  • 予察情報を入手し適切な予防処置をとる
  • 9月中~下旬に主枝等に誘引バンドをまいて、冬に取り外すことで誘引バンドに害虫が産み付けた卵や越冬害虫を捕殺することができます。

農業アプリを活用しましょう

今まで農業日誌や栽培記録、ノートやパソコンで管理していたという人には、農業に役立つアプリを活用しませんか。農家webの「かんたん栽培日誌」アプリはスマホから作物と地域を入力するだけで、防除暦、栽培カレンダーが自動表示。実際の栽培記録はタップ一つで登録可能。自社の「農薬検索データベース」「かんたん農薬希釈計算アプリ」と連動しているので、散布したい農薬をいれればラベルをみなくとも希釈計算も可能で、散布回数もカウントしてくれます。

また地方自治体から発表される予察情報も反映しているので、農家の防除に役立つアプリです。ダウンロードも不要で、ID登録だけですべての機能が無料で使えるアプリです。ぜひ一度使ってみてください。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

農薬販売届 受付番号:210-0099

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