農業日誌は、農家が天候や日々の作業、使った肥料、農薬などを記録するもので栽培記録や栽培日誌とも呼ばれます。日誌は栽培のノウハウになり、よりよい作物をつくる基となる大切な農家の資産となります。ここでは農業日誌におすすめのノートや、書き方について説明します。
農業日誌をつける方法
まずは農業日誌をつけるツールについて説明しましょう。農業日誌は、ノート(紙)、エクセル、アプリなどをつかってつけることができます。
パソコンで管理したいのであれば、エクセルやパソコンで使うソフトなども販売されています。アプリは無料から有料のものまでいろいろありますが、スマホで簡単に入力できるのが魅力です。
紙のノートを活用している農家も多くいます。ノートであれば自分で使いやすいようにカスタムするのも簡単ですし、専用のノートも販売されています。圃場で忘れないようにノートにメモをとって、あとでエクセルやアプリに大切なことを入力するという方法をとっている人もいます。
農業日誌におすすめのノート
農家日記
農家日記は農文協が毎年発行する単年版の農業用日記帳です。発行から50年以上続いており毎年改良されています。日記以外にも、現金出納帳などの確定申告に使えるものや、農薬希釈早見表などの農家便利帳と呼ばれる読み物も掲載されています。A5判で400ページ以上もあるので、持ち歩くというよりじっくり記帳したい人向けです。
新農家日記 3年対照
新農家出版社が発行する新農家日記3年対照は、1ページに3年間の日記を書くようになっており、作業と時間を書く農作業日記、現金出納帳をかけるようにしてあるので、3年間の作業と収支を比較することが簡単なつくりになっています。農事暦や年中行事等なども記載されています。丈夫なつくりでこれ1冊で3年間使えます。
日記帳・ノート

市販の日記帳やノートを使って農業日誌として使うのももちろんOKです。おすすめは日記帳やスケジュール帳です。いろいろな種類があり、100均などでも販売されているので手軽に始められます。
農業日誌は、人によって使い方が異なります。たとえば、一人農家で今日やったことと、気づいたことを記録したいのであれば、ウィークリータイプでも十分です。
また一歩すすんで、作業内容だけでなく作業時間、出納帳としても使いたい場合には、1ページに2日程度かける日記帳などを、仕切って書いてもいいでしょう。使い方や書き方も自分次第です。市販の日記などの様式をまねてつくるのもよいでしょう。
圃場にもっていくなら、ポケットに入るものをつかい、その場で気が付いたことをすぐメモしておいて、時間があるときにアプリなどをつかってまとめておくのもよいでしょう。
農業日誌におすすめのアプリ
ノートで書いたものをまとめたり、作業の空き時間に記録したいならアプリもおすすめ。「かんたん栽培日記」は、ダウンロード不要で、メールアドレスをつかってID登録するだけで、スマホやPCで使える無料の農業日誌です。
難しい作業もいらず、作業はタップするだけ。作業を記録するだけでなく、作物を選んで自分の栽培地域を選ぶと各都道府県での発生予察情報がマイページに反映されたり、LINEに届くようにも設定できるので、遅れることなく病害虫予防もできます。
作物、地域ごとの防除暦によって、その時期に発生しやすい病害虫、それにあった農薬情報なども表示されるので、作業の合間に次の作業の計画も立てられます。

農業日誌の書き方
では農業日誌には何を書いたらいいのでしょうか。最初からあれも、これもと欲張ると続きません。まずは作業内容を書き留めることから始めましょう。その後は農業日誌をかく目的をきめて増やすとよいでしょう。
栽培記録は農作物の安全の証明書です
まずは栽培記録をつけましょう。栽培記録(生産記録)とは農協や直売所に提出する基となるデータです。作物を集荷するときに、肥料・農薬が使用基準を順守しているか、安全な作物であることを証明するために必要となります。
作付、施肥、防除、収穫等の作業日、施肥に関しては肥料名や散布量、防除に関しては農薬名、希釈倍率、散布量なども必要です。
目的にあった農業日誌をつけよう
農業日誌に決まりはありません。自分の目的にあった記録をつけましょう。
たとえば品質のよい作物を作りたい、収穫量を増やしたい、のであれば品質を良くするためには何が必要でしょうか。土壌の状況や病害虫の予防、植えつけの時期や気温、地温も関係するでしょう。
経営を良くするためには、播種から収穫までにかかった費用を把握したり、売上の単価や収穫量などを正確に記録し分析する必要があります。
憶えているつもりでも、記憶はあいまいになります。気が付いたことはすぐ記録して、翌年以降に生かすことができれば農業日誌はあなただけの財産となります。どんな形でもいいのでまずは初めて見ましょう。