一定額以上の農業所得がある個人事業主(専業農家・兼業農家)は、確定申告書を翌年の3月15日までに提出する必要があります。ここでは確定申告の作成にはどんな書類は必要なのか、また確定申告書と一緒に提出しなければならない必要書類についても説明します。
農業所得がある人の必要書類
農業所得(事業所得)がある人は、確定申告書の他に白色申告の人は「確定申告書」と「収支内訳書(農業所得用)」、青色申告の人は「確定申告書」と「青色申告決算書」は必ず提出が必要です。
収支内訳書や決算書の作成に必要な領収書、レシート、請求書、出荷証明書等は提出の義務はありませんが、5年間の保存義務があります。農業所得計算に必要な書類については下記で説明しています。

その他の必要書類一覧
その他の必要書類は申告内容によりことなります。専業農家、サラリーマンなどの会社員で農業も営んでいる兼業農家に分けてよくある申告内容別に必要書類を説明します。
申告内容 | 専業農家 | 兼業農家 |
---|---|---|
社会保険控除を受ける場合 | 国民健康保険・国民年金の控除を受ける場合 「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」 | 年末調整で控除を受けている場合は不要 |
社会保険控除(農業者年金の掛け金)を受ける場合 | 不要(掛金全額が社会保険料控除の対象のため通帳に記帳された金額を確認) | 不要(掛金全額が社会保険料控除の対象のため通帳に記帳された金額を確認) |
小規模企業共済等掛金(iDeCoの掛け金)控除を受ける場合 | 証券会社等から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」 | 年末調整で控除を受けている場合は不要 |
生命保険料控除や地震保険料控除 | 保険会社会社から送付される「保険控除証明書」 | 年末調整で控除を受けている場合は不要 |
ふるさと納税の控除受ける場合 | 寄付した自治体から送付される「寄付金受領証明書」 | 寄付した自治体から送付される「寄付金受領証明書」 |
医療費控除 | 「医療費控除の明細書」もしくは 「医療費通知(医療費のお知らせ)」 | 「医療費控除の明細書」もしくは「医療費通知(医療費のお知らせ)」 |
売却した資産がある場合 | 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表) | 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表) |
兼業農家などで給与所得がある人や年金受給者の「源泉徴収票」は添付の必要はありません。税務署等で確定申告の作成の手伝いをしてもらう際には、確認が必要な場合がありますですので会場に持っていきましょう。
農業収支計算の書類の保存について
農業所得の計算に必要な、領収書やレシート、請求書、出荷明細等は提出の必要はありませんが、5年間は保存しておく必要があります。(収入金額や必要経費を記載すべき帳簿は7年間)
この年数は所得税法で決められていますので、税務調査などが入った時に必要となりますので、確定申告書の控や収支内訳書、決算書と一緒に年ごとにまとめておくとよいでしょう。
e-taxで申告した場合の必要書類の提出について
確定申告書をe-taxを利用して提出した場合は、指定された第三者作成書類の添付は不要で、自宅で保存しておけばOKとなっています。
上記で説明した下記の書類も添付が不要なので、マイナンバーカードやID等を使って確定申告を電子送付した場合は、書類を提出する必要はないので便利です。(確定申告の会場で申告手続きを手伝ってもらう場合には書類はもっていきましょう)
- 社会保険料控除の証明書
- 小規模企業共済等掛金控除の証明書
- 生命保険料控除の証明書
- 地震保険料控除の証明書
- 寄附金控除の証明書
- 医療費通知(医療費のお知らせ)
まとめ
確定申告には提出が不要でも、確定申告に記載するためにはさまざまな必要書類があります。生命保険控除証明書等は11月頃から郵送されるので、確定申告書を作成するまで大切に保管しておきましょう。(紛失した場合は再発行も可能です)
また農業者保険や小規模企業共済は社会保険控除の対象ですが、収入保険や野菜価格安定制度等の掛け金は農業所得の経費になるので、間違えないようにしましょう。農業所得の経費に算入できるものについては下記で詳しく説明しています。

農家webではこの他にも農家の確定申告に収入や必要経費、減価償却費、専従者給与などの疑問や細かい記載方法などについての記事もありますので、こちらも参考にしてください