トラクターやコンバインなどの高額な機械を買った時に節税できる中小企業投資促進税制。青色申告者であれば個人事業主の農家でも使えます。ここでは中小企業促進税制の概要と使う方法について説明します。
中小企業投資促進税制とは
中小企業投資促進税制とは、高額な機械装置等を購入した年に、取得額の7%分税金からマイナスするもしくは、通常の減価償却費に加えて、取得価格の30%を減価償却を特別償却として収入からマイナスできる制度です。
中小企業投資促進税制が使える農家
中小企業投資促進税制の対象者は、青色申告書を提出している中小企業者です。中小企業と名前がついていますが、法人だけでなく、個人事業主である農家も対象です。
対象となる設備
中小企業投資促進税制の対象となる設備は下記のとおりです。農業では、トラクターやコンバイン、乗用管理機、スピードスプレイヤーなどの1台あたり160万円以上の機械および装置が該当します。ビニールハウスなどの構築物は対象となっていません。また中古品や貸付用に買った資産は対象外となるので注意しましょう。
設備の種類 | 条件 |
---|---|
機械及び装置 | 1台160万円以上 |
測定工具及び検査工具 | 1台120万円以上もしくは 1台30万円を複数台購入し合計120万円以上 |
ソフトウエア | 1つ70万以上もしくは複数合計が70万円以上 |
貨物自動車 | 車両総重量3.5トン以上 |
優遇税制の種類と内容
中小企業投資促進税制には「特別償却」と「税額控除」のどちらかを自分で選んで使います。(資本金3,000万円超の中小企業は特別償却のみ)
特別償却は、購入した年の税金負担を軽くし、翌年以降に繰り越す制度で税金の支払い額はトータルで変わりません。税額控除は税金から直接マイナス方法なの、税金の支払いが少なくなります。
税額控除
税額控除とは、購入した年の税金から購入金額の7%を直接控除できる制度。個人事業主の農家であれば、確定申告時に計算された所得税からマイナスして支払いをします。
単純に購入金額の7%を引くだけなので、その分だけ税金が安くなります。もし購入した年の税金より購入金額の7%の方が金額が多い場合には残りの分は、翌年に繰越することができます。(所得税の20%が上限)
例えば200万円のトラクターを購入した場合、支払う税金は所得税から140,000円マイナスした金額です。
特別償却
特別償却とは、購入した年の減価償却額を通常の固定資産の減価償却費分以外に、購入価格の30%も減価償却費として経費できる優遇税制です。購入した年の税金負担を軽くし、翌年以降に繰り越す制度で税金の支払い額はトータルで変わりません。
購入した年の税金の支払いを減らすことができるので、高額な資産を買った場合には、資金繰りが厳しくなるためその年の税金の支払いを減らし、翌年以降に繰り越すことでキャッシュフローの改善に役立ちます。
特別償却と税額控除どちらを選ぶべき?
資金繰りに余裕がある場合には、特別償却より税額控除の方が、トータルでは税金が安くなるので税額控除を選んだ方が節税できます。
税額控除は税金からマイナスするので課税所得が減るわけではありません。特別償却は経費として認められるので、課税所得が減ります。個人事業主の場合、課税所得が減ると、税金以外にも国民健康保険料などにも影響します。今後のキャッシュフロー(現金の動き)や経営状況を考慮して選びましょう。
中小企業投資促進税制を使う場合の手続き
中小企業投資促進税制を使う場合、事前に申請する必要はありません。
個人事業主の場合は、特別償却の場合は決算書の「減価償却の計算」の「割増(特別)償却費」の欄に、特別償却額を記入します。税額控除を申請する場合には、「中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を必要事項を記入して、確定申告書と一緒に提出します。
書類は国税局のHPからダウンロードできます。書き方がわからない場合には、税務署や税理士に確認しましょう。中小企業庁もサポートを行っています。
まとめ
中小企業投資促進税制は、2025年3月31日までの期間限定制度でしたが令和7年税制改正で2年間の延長が決定しています。農家には税制支援制度や、補助金などの多くの施策が用意されています。上手くつかって節税したり、補助を受けて収穫を増やしたり、効率化を目指してください。
農家webには、補助金や助成金を無料で探せるポータルサイトもありますので活用してください。
税制などは毎年制度が変わります。
実際の申請には、中小企業税制サポートセンター、税務署や税理士に相談して申告しましょう。