畑作物の直接支払交付金は、外国産との価格差により国産が不利となる農作物の販売収入に「ゲタ」をはかせて、生産費割れを防ぐことからゲタ対策ともよばれます。ここではゲタ対策についての詳細や申請方法について説明します。
畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)とは
畑作物の直接支払交付金は、外国製の農作物に押されコスト割れを起こしやすい麦、大豆等の畑作物の恒常的なコスト割れを補てんする交付金で、担い手農家の経営の安定を目的とした国の経営所得安定対策のひとつです。
対象作物
ゲタ対策の対象となる農作物は下記のとおりです。いづれも種子用として生産されるものは対象外です。
- 麦(ビール等の麦芽の原料として使用される麦は対象外)
- 大豆(黒大豆、種用は対象外)
- てん菜(北海道のみ)
- でん粉原料用ばれいしょ(北海道のみ)
- そば
- なたね
交付対象者
交付の対象となるのは対象の作物を生産し、は種前にJA等との出荷契約や、実需者との販売契約を締結している下記の農業者です。いづれの場合も作付面積等の規模の要件はありません。
- 認定農業者
- 集落営農
- 認定新規就農者
交付金について
交付金は、それぞれの作物の品質ランクごとに交付単価が決められており、その交付単価に実際の出荷量を掛けて支払いされます。
交付単価は、生産にかかる費用から販売価格を引いた金額。過去の赤字金額の平均の数値で3年に1度改定されます。「数量払い」と呼ばれるこの支払方法は、出荷量が決定しないと支払いがされないため、作付面積に応じて先払いする「面積払い」もあります。
交付金の申請方法
提出先・提出期限
ゲタ対策の交付金を受けるには、交付申請をする必要があります。提出期限は6月30日。提出先はJAや市町村等の地域農業再生協議会 又は国(地方農政局、県域拠点等)です。(自身によるeMAFFによるオンライン申請も可能です)
提出書類
交付の申請には、下記の書類の提出が必要です。書類は農林水産省の経営所得安定対策申請書ダウンロードから取得できます。
- 経営所得安定対策等交付金交付申請書
- 営農計画書
- 交付対象者が確認できる書類(農業経営改善計画認定書等)
- 経営所得安定対策等交付金振込口座届出書兼口座名義人に対する委任状
- (数量払いの時のみ)畑作物の直接支払交付金における数量払の交付申請書
- (数量払いの時のみ)対象作物ごとの出荷・販売状況がわかる書類及び農産物検査の結果がわかる書類
まとめ
ゲタ対策は、対象の作物を生産していれば規模要件もなく申請をすれば交付金を受け取ることができます。麦や大豆などを生産しており対象交付者となっていない場合は、認定農業者や集落営農の組織化などを検討しましょう。ゲタ対策以外にもいろいろなサービスをうけることができます。市町村やJAなどでサポートを受けられるので一度相談してみましょう。
ゲタ対策と同じ経営所得安定対策であるナラシ対策についてはこちらで詳しく説明しています。
制度や申請方法などは毎年変更することがあります。実際に交付を受ける際には、近くの地方農政局やJA,市町村などに相談して確認してから申請しましょう。