ハオルチア(ハオルシア)は、他の多肉植物に比べて太陽の光をそれほど必要としないので、室内でも育てやすい多肉植物です。ここではハオルチアの管理や水やりなどの育て方の基本から、植え替え、増やし方について説明します。
ハオルチアの育て方
置き場所
多肉植物は日当たりの良い風通しのよいところが大好きです。しかしハルオチアは、強い光を嫌うため一年中半日陰で育てます。半日陰で風通しの良い場所が最適な栽培環境です。
基本は冬以外はベランダや庭などの屋外で管理します。外に置くときは、夏は特にコンクリートの上に直接置くと熱が鉢に伝わって高温になるので、棚など一段高いところにおくのがおすすめです。
日差しの調整ですが、半日陰をつくるのはなかなか難しいので、遮光ネットをうまく使い季節によって、遮光率を調整します。夏は遮光率50%から65%程度。その他の季節は25%~40%程度にします。軟葉系の方が硬葉系より遮光率は高くします。
室内で育てる場合もなるべく窓辺など日の当たる場所で管理しましょう。夏の強い日差しを避けるためレースのカーテンなどで遮光します。日差しが足りない場所で育てるにはLED照明をつかったり、風通しが悪ければサーキュレーターなどを使用するとよいでしょう。
ハオルチアは耐寒性はそれほど強くはないので、冬は5℃以下になったら室内に取り込みます。霜や雨のあたらないところで管理します。
水やり
南アフリカに自生するハオルチアは、生育期には、水をたっぷりジョウロで与え、休眠期には断水気味に育てるため葉水で与えます。水の与えすぎは多肉植物は根腐れの原因になるので気をつけましょう。
ハオルチアの生育期の水やりは表面の土が乾いてからさらに3~5日たってから与えます。完全に鉢が乾いてから水やりをすることが大切です。
休眠期の葉水は、月に1~2度鉢が3分の1程度湿る程度与えます。鉢の土が完全に乾いてからさらに3~4日待って与えましょう。
ハオルチア栽培 季節ごとのスケジュール
- 春
冬の休眠期から覚めた3月頃から外にだし、日当たりの良い場所で管理しましょう。夜の温度が5℃以下になるようでしたら室内に取り込みます。4月~6月は生育が旺盛の時、屋外の日向で管理します。遮光率40%~60%で徐々に日差しが強くなってくるのに合わせ、遮光ネットで日差しを調整しましょう。
水やりは、休眠期から生育期に入りますので鉢の土が完全に乾いたら、鉢底から水がでるまで与えます。
- 夏夏越し
7月から9月は、真夏の直射日光に当たらないよう遮光率50%~65%程度で管理します。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。
水やりは6月下旬からは月に1~2回霧吹きで、水を与える「葉水」で与えます。葉水といっても、多肉植物は鉢土に水を上げます。時間は日中に水やりをすると株が蒸れる恐れがあるので、夕方に株を少し冷やしてあげます。
- 秋
気温が下がる9月下旬~10月までは、春と同様に屋外の日向で管理します。日差しが徐々に弱くなりますので、遮光シートで調整します。水やりも春と同様に、鉢底から水がでるまで与えます。
- 冬冬越し
休眠期です。最低気温が5℃を下回るようになったら室内の、日当たりの良い場所で管理します。暖房の風が当たらない場所に置きます。暖かな昼間は、屋外で日に当ててあげるとより元気に育ちます。遮光シートは冬20~30%程度でよいでしょう。
水やりは「葉水」を月に1度~2回ぐらいの頻度で行い株全体を湿らせます。気温が上がる暖かい午前中に行いましょう。
肥料
多肉植物のハオルチアには、元肥は植え付け、植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行っていきます。追肥は3月〜5月・9月~10月の生育期は肥料が必要です。 元肥をしっかりしておけば追肥は必要ないかもしれませんが、植え替えをしない場合などはきちんと追肥をしてあげましょう。
- 液体肥料(液肥)の場合は、ラベルなどに記載されている希釈率から更に2倍程度に薄めて、月1〜3回のペースで施肥します。
- 固形肥料の場合は、ラベルなどに記載されている使用目安量の半分程度の量を、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度施肥します(頻度は使う肥料のラベルの説明に合わせると良いでしょう)。
多肉植物の肥料についての記事もありますので、肥料について興味のある方は読んでみてください。
花芽切り
ハオルチアは、春ごろから花茎が伸びて花芽をつけて開花します。花を咲かせると株が弱ります。観賞しない場合は早めに切り取りましょう。
病害虫
夏の高温多湿の時期に、 軟腐病・灰色カビ病等にかかりやすくなります。害虫(アブラムシ、カイガラムシ)の排せつ物につく菌によって引き起こされるすす病などにかかることもあります。予防としては、風通しの良い場所で育てる、また梅雨まえに、枯れたり色が変わっている下葉を取り除いておくのも効果があります。
カイガラムシ・ハダニ・アブラムシ・アザミウマ、ネジラミなどの害虫が発生する恐れがあります。それぞれの害虫によって対応は異なりますが、見つけたら早めに歯ブラシなどでこそげとるか、水流で取り除いてあげましょう。殺虫剤なども有効です。
ハオルチアのふやし方
多肉植物は株分け、さし芽、葉ざし、根ざし、挿し木、胴切り、種まき(実生)でふやします。ハオルチアは、株分け、葉挿し、根ざしで増やすのが簡単です。適期はいずれも3月から6月、または9月から10月です。
株分けのふやし方
ハオルチアを増やすのに一番簡単なのは、株分けです。ハオルチアは株元に子株ができて増える品種が多いので、子株がある程度大きくなったら切り取って新しい鉢に植え替えることによって増やすことができます。
- 株は土が乾いた状態で鉢から抜いて、傷んだ下葉はを取り除き、弱った根や土を落とします。
- カッターなどで、根を傷めないように子株を切り取ります。
- 切り取った子株は1週間ほど乾燥させます。
- 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
- 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。
- 苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
- 水やりは植え付け後、2日~3日後に行います。2週間程度は遮光率を高めた明るい日陰で管理します。
葉挿しのふやし方
株分けの次に簡単なのは葉挿しで増やす方法です。軟葉系の品種が葉挿しに向いています。
- 茎の下葉の方から、指やピンセットで付け根から葉を摘みとります。植え替え時などに鉢から外してからとると取りやすいです。
- 摘みとった葉は、切り口を1週間ほど乾かします。
- 乾いた新しい用土に等間隔に根を軽く挿しこみます。
- 水やりは3日後ぐらいに霧吹きで与えます。新芽が生長したら、切り口を乾燥させてから新しい鉢に植え替えます。
根ざしの増やし方
根が太い万象や王扇などは、太い根を用土に植えることで増やすことができます。植え替えや株分けのときに根を切って使うと簡単です
- 株は土が乾いた状態で鉢から抜いて、古い用土を落とします
- 健全な太い根を選んで、付け根からカッターで切込みをいれ、そっと切り離します。
- 切り口を1週間ほど乾燥させます。
- 乾いた新しい用土に、切り口を上にして、土から根の切り口が1㎝ほど出ている状態で植えつけます。
- 水やりは2~3日たった後に、鉢から水がでるまでたっぷり与えます。2週間程度は遮光率を高めた明るい日陰で管理します。
ハオルチアの植え替え
購入した鉢がビニールポットであったり、自分の好みの鉢に代えたいときには、植え替えをします。また生育に合わせて、1~2年に一度は植え替えが必要です。ハオルチアはできれば1年に1回植え替えをしましょう。
植え替え時期
時期は、生育期ならいつでも行えますが、適期は秋の生育期初旬の9月下旬。植え替えた後に生育する期間が長いと株が土に根付きやすいので失敗がすくなくなります。購入した時期が生育期以外で、植え替えを行いたい場合は、根を崩さず用土だけ追加して新しい鉢に植え替える鉢増し(手順2~3を行わない)をしましょう。植え替える用土は必ず新しい乾いた土を使いましょう。
植え替えの手順
- 植え替え・寄せ植え用の多肉植物はは、土が乾いた状態のときに、鉢から外します。
- 下葉を整理します。枯れた葉や、色が変わっている下葉はピンセットなどで取り除き株元をすっきりさせることで、夏の蒸れもふせぐことができます。
- 根っこをほぐすように土を落とします。
- 根を半分から3分の2ほど切ります。腐った根は根元から切ります。
- 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
- 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。(なくても可。鉢底石を入れることで根腐れ防止になります)
- 苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
- 水やりは植え付け後、2日~3日後に行います。2週間程度は遮光率を高めた明るい日陰で管理します。
植え替えの用土
一般の観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。ハオルチアは乾燥した地域が原産地ですので一番重要なことは、通気性(水はけ)がよいこと、それとある程度の保水性があるものがよいでしょう。鹿沼土4・軽石2.5・腐葉土2.5・くん炭1などの配合で、一般の草花より排出性を高めた配合にします。
市販の多肉用の培養土も便利です。ハオルチアは他の多肉植物より水持ちがよい土が向いているといわれているので、赤玉土などをブレンドしてもよいでしょう。多肉植物の配合はどれが正解ということはありません。多肉植物の土についての記事もありますので、興味のある方はお読みください。
多肉植物はは水耕栽培や、土を用いず、ハイドロボールやゼオライトなどの保水性、吸水性のある培地を使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。ハイドロカルチャーで育てる場合は、土からの植え替えとは多少異なり、土の根を終わらせて水で育てる根を発根してから植え替える必要があります。
多肉植物のハイドロカルチャーでの育て方に興味がある人は、こちらをお読みください。
ハオルチア栽培について
多肉植物はその生育期によって、春秋型・夏型・冬型を区分けされておりハオルチアは、 春と秋に盛んに生育する「春秋型」です。10〜25°Cの範囲で生育が旺盛になります。夏は暑さのせいで生育が悪く、根腐れや蒸れを避けるために、休眠させる必要があり、冬は寒さのために自然に休眠します。
園芸分類 | 多肉植物・観葉植物 |
学名 | Asphodeloideae Haworthia |
属名 | ツルボラン科ハオルチア属 |
原産地 | 南アフリカ |
草丈・樹高 | 2㎝~20㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 普通 |
花言葉 | 「小さな愛」 |
ハオルチアは高級品種もありますが、日差しも他の多肉植物より必要としないことから室内栽培でも、育てられる品種です。室内でも育てれるため水耕栽培でも育てることができます。
ハオルチアの種類や水耕栽培での育て方はこちらの記事を参考にしてください。