肥料は、肥効(肥料が作物の生育に与える効果)の現れ方によって、緩効性肥料、遅効性肥料、速効性肥料の3つの分類に分けることができます。元肥、追肥を施す上でそれぞれの分類の性質を知っていくことは重要です。この記事では各分類の性質の特徴と違いを説明します。
緩効性肥料とは
緩効性肥料とは、施肥したときから効き始め、少しずつ溶け出して長期間効果が持続する肥料のことを指します。元肥、追肥、どちらにも使用することができます。
遅効性肥料とは
遅効性肥料とは、施肥したときには作物(植物)が吸収できない肥料です。
- 微生物による分解などを経て吸収できる有機質肥料
- 成分が溶けづらい不溶性の肥料
有機質肥料は、微生物などによって分解され作物が吸収できる要素が生成されますが、そのときに窒素成分の一部は微生物の栄養源として消費されます。そのため、実際の肥効(肥料が作物の生育に与える効果)が保証成分量よりも下がる場合があります。
速効性肥料とは
速効性肥料とは、施肥後すぐに根から吸収される水溶性の肥料のことを指します。水溶性のため、潅水や雨水によって流されやすいため肥料の持続期間は1週間ほどとなります。代表的なものとして水に溶かして与える液体肥料があります。
緩効性肥料、遅効性肥料、速効性肥料の効き方の違い
それぞれの肥料の性質について、説明してきました。いま一度、それぞれの肥料の効き方についてまとめてみます。
肥料の種類 | 施肥直後の肥効 | 肥効の表れ方 | 持続期間 | 推奨する 利用方法 |
---|---|---|---|---|
緩効性肥料 | すぐに効き始める | 緩やかに長く持続して効く | 2〜6ヶ月程度以上 | 元肥・追肥 |
遅効性肥料 | ほぼ効かない | 微生物による分解が進む30日後くらいから効き始め、長く持続する | 2〜6ヶ月程度以上 | 元肥 |
速効性肥料 | すぐに効く | すぐに効き、持続性はない | 1週間程度 | 追肥 |
速効性肥料と緩効性肥料、遅効性肥料の効き方は下の図のイメージを参考にしてください。実際の肥効の現れ方は、製品によって異なりますのでその肥料のパンフレットやラベルなどをよく確認しましょう。
作物ごとの肥料の効かせ方のイメージ
緩効性肥料、遅効性肥料、速効性肥料の効き方について、イメージが湧いたと思います。それでは逆に作物ごとに肥料が必要となる時期を把握しておきましょう。作物ごとに、栽培期間中に栄養を必要とする時期のイメージを下の表にまとめました。
施肥の考え方
施肥は、農作物全般の栽培に必要なものとなります。肥料や栽培作物の特性に合わせて、適切に施肥するように心がけましょう。
元肥の必要量と施肥の方法は、栽培する作物や植え付ける時期によっても異なるため、各作物の栽培方法を調べておきましょう。