アブラムシに即効性のある農薬の紹介、また抵抗性アブラムシの発生を抑える方法や、無農薬での防除方法、有機JAS対応の農薬も紹介します。
アブラムシに即効性がある農薬
アディオン乳剤
アディオン乳剤は、ピレスロイド系の殺虫剤の代表格です。 速効性と残効性にすぐれた薬剤で登録作物は70種類を超える薬剤で広く使われています。
ダントツ、モスピラン
ネオニコチノイド系の殺虫剤、ダントツやモスピランは、90年代に登場した比較的新しい殺虫成分で、ニコチンの仲間です。ニコチン性アセチルコリン受容体と結合し、信号の伝達を阻止し、結果、昆虫は麻痺し、死に至ります。
浸透性、速効性、持続性が優れていることや幅広い殺虫スペクトラムを持つため、現在非常によく使用されている殺虫剤です。
コルト
コルト顆粒水和剤は、日本農薬などが販売する昆虫の行動を制御する昆虫行動制御剤(IBR剤)で、従来の有機リン系やネオニコチノイド系に対して抵抗性を発達させた害虫にも有効なため、ローテーションのなかに組み込みやすい殺虫剤です。
トランスフォーム
トランスフォームフロアブルは2017年12月に農薬登録が認可された新規殺虫剤です。ネオニコチノイド系や有機リン系などの既存の殺虫剤とは構造が異なる新規系統の殺虫剤なので、コルトと同様、ローテーションに組み入れやすい殺虫剤です。
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アブラムシの防除ポイント
なるべく発生初期に駆除できるのがベストです。すでに多発してしまっている場合は、しっかり散布ムラのないように丁寧に散布するようにしましょう。散布1~2日後に葉上の虫の寄生状況を目視して,生存しているアブラムシがほとんどいない状況になっていれば効果があったと言えます。
ローテーション散布について
農薬の種類、活用が増えることで、たまたま耐性があって生き残った特定の農薬が効かない性質のアブラムシが、世代を重ねて集団化する、抵抗性アブラムシが近年、問題になっています。
特にアブラムシは有機リン系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系の農薬が効きにくくなっている抵抗性のワタアブラムシの発生が多く報告されています。殺虫剤を散布しても、翌日集団でアブラムシが生息している場合は、抵抗性を疑ってよいでしょう。
このような場合は、お使いの農薬のRACコードを確認して、タイプの異なる殺虫剤のローテーション散布を心がけること、さらには生物的、物理的、耕種的防除法を取り入れたIPM防除体系を組んで、統合的に実践することが重要です。
抵抗性が疑われる場合は、具体的には、ピリジン アゾメチン誘導体(9B)のコルトやチェス、ジアミド系(28)のヨーバルやベネビア、またスルホキシミン系のトランスフォームなどをメインに使用しながら、有機リン系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系の農薬を補助的に使うのが良いでしょう。
有機JAS縛りでアブラムシ駆除に使える農薬
有機JASで使用できる農薬の代表的なものは、生物農薬が挙げられます。生物農薬については下記に詳しく、具体的な製品も紹介していますので、ご参考ください。
また、還元澱粉糖化物を有効成分とする農薬、商品名だと、「エコピタ液剤」「キモンブロック液剤」「ベニカマイルドスプレー」「ベニカマイルド液剤」もアブラムシ駆除に使えます。
その他、マシン油(機械油)「クミアイ 機械油乳剤95」や、薬液が虫体を被覆することによる窒息やでんぷんの粘着効果で防除できる、デンプン水和剤「粘着くん水和剤」などがあります。
無農薬でアブラムシを駆除する方法
アブラムシにはてんとう虫(幼虫、成虫)などの天敵が存在します。これらを利用したり、物理的に防除することでアブラムシを防ぐことができます。
無農薬でアブラムシを駆除する、生物的防除、物理的防除、耕種的防除について詳しく知りたい方は、下記を参考にしてみてください。
上記には、コレマンアブラバチ、ヤマトクサカゲロウ、ナミテントウ幼虫を使った生物的防除、アルミホイル、シルバーマルチなど、光を乱反射させて防除する方法、黄色の粘着テープやバケツで捕まえる方法、くん炭を株間に撒く方法、デンプン水和剤を散布する方法や、ソルゴーなど様々な防除方法を解説しています。