紫陽花は実生(種まき)、さし木、とり木、株分けで増やすことができます。この記事では、一番簡単に増やせる、挿し木の時期や成功率を上げる方法から鉢上げまで、イラストや画像を使ってわかりやすく説明します。
紫陽花の挿し木の時期
紫陽花の挿し木は、生育期に今年伸びてきた新しい枝を挿して増やす「緑枝挿し」と休眠期の冬に剪定した枝を使って増やす「休眠挿し」があります。
「休眠挿し」は春ざしとも呼ばれ2月下旬~3月頃までが適期です。、「緑枝挿し」は夏ざしともよばれ、5月中旬~7月下旬までが適期です。
紫陽花のさし木の選び方と準備
緑枝挿しをする場合
さし木(挿し穂)は、苗から取る場合は開花が終わった後、春から伸びた新しい枝を使います花芽が付いていないものが良いでしょう。日当たりの良い場所で育った苗の枝で、節と節の間が詰まっているものを選びましょう。
切り花の場合は、切り取ってから時間が経てば経つほど、成功率は下がります。花屋さんで買う場合には入荷したばかりの枝を選んで購入してください。花屋さんに聞いてみましょう。いただいた花も切り花の場合はいただいたらすぐに、花が付いている上部を切り取り、下の茎を使って挿し木します。切り取った花は小さなコップに飾れば花も楽しめます。
枝は、節が2節~3節ほどついている状態で、8㎝から10㎝に切り分けます。一番上部の葉を2枚だけ残し、下の葉は切り取ります。残した葉からの蒸散を防ぐため、半分から3分の1残して切り取ります。下の茎はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。切ったらすぐに水揚げするので先に水を用意しておきましょう。
休眠挿しをする場合
挿し穂にする枝は、前年の充実した枝を使います。徒長したり、古い枝は挿し木の成功率が下がるので避けます。
一般的に発根しやすいのは、枝の中間部です。先端や基部は発根しにくいですが、紫陽花は挿し木しやすい花なので、先端部分も使えます。基部から2~3節のこして枝を切り取り、節が2~3節ついている状態で8㎝から10㎝に切り分けます。下の枝はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。切ったらすぐに水揚げするので先に水を用意しておきましょう。
紫陽花の挿し木の方法
上記の挿し穂が準備できたら、挿し木を始めましょう。発根促進剤は絶対必要ではないですが、あると格段に成功率があがります。
準備するもの
- 紫陽花の挿し穂
- 花瓶やコップ(ペットボトルを切ったものなどでも可能)
- 植木鉢やプランターなど
- 挿し木用の用土
- ルートン(発芽促進剤)
- 割り箸
手順
- コップやガラスの器に、水を入れます
- 8㎝から10㎝ほどに切りそろえた、挿し穂を入れ1時間ほど水を吸わせます。
- 鉢やプランターに8分目ほどの土をいれ、平らにならした後、水を上げて用土を湿らせておきます。
- 割り箸であらかじめ挿し穂を指す位置に、穴を空けて置きます。複数挿し穂がある場合は、2cm~3cmほどあけて挿します。
- 水から挿し穂を取り出し、切り口にルートンをつけてから用土に挿します。
- 置き場所は、半日陰において乾かさないように管理します。
- 新芽が伸びてきたら、薄い液体肥料を与えて徐々に日当たりにならしていきましょう。
- 新芽が伸びてきたら鉢上げは可能ですが、できれば翌年の春に鉢上げすると成功率が上がります。
発根促進剤について
生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。
土や土の代わりの培土を使う場合にはルートンがよく使われます。ルートンは、さし木、さし苗の発根を促進させる植物成長調整剤です。粉末状ですので枝の切り口3㎝ぐらいを水に浸して、粉末をまぶして使います。まぶしすぎないように気をつけましょう。
また、水揚げのときにメネデールを入れたり、水やりのときには発根まで2~3日に一度メネデールを薄めた水で水やりをするのも効果的です。
紫陽花の鉢上げ(植え替え)
紫陽花は約1ヵ月程度で発根し新芽がでてきます、それ以降でしたら鉢上げは可能です。しかし真夏や真冬などの時期に鉢上げをすると、うまく植えつけられないことがあります。その場合は、翌春の3月頃に鉢上げしましょう。
準備するもの
- 発根した紫陽花
- ポットや鉢(3号鉢程度のもの)
- 用土(赤玉土7・腐葉土3などの配合土)
- 鉢底石
鉢上げの手順
- 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を鉢の3分の1程度入れます。
- 紫陽花の苗をいれ、根を広げます
- 3の上から用土を入れて、最後に鉢底をトントンと打ち付けてならしましょう。
- 水を鉢底から出るまで与えます。
紫陽花の用土について
紫陽花の用土は、水はけのよい用土を選びます。自分で配合する場合は赤玉土小粒7・腐葉土3などの配合がよいでしょう。市販のアジサイ用土も便利です。紫陽花は土壌がアルカリ性になるとピンクや赤色になり、酸性になると青色になるといわれています。
赤色にしたい場合は、赤玉土4・腐葉土4・バーミキュライト2の配合にし、青色にしたい場合は腐葉土をph無調整のピートモスにするとよいでしょう。花つきをよくしようとリン酸の多い肥料を与えると赤くなってしまうので注意が必要です。とはいえ品種や環境により100%色がコントロールできるわけではありません。
アジサイの肥料について
さし木で増やすことができたら、肥料を与えて美しい花を咲かせましょう。
【補足】種苗法について
紫陽花を挿し木で増やした苗などを他人に譲渡する行為は、品種によっては種苗法で禁じられています。家庭内で自分で楽しむだけにしましょう。フリマサイトで売却したりしてはいけないのはもちろん、無料で友達にプレゼントする場合も違反になりますので決して行わないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。紫陽花は比較的さし木の成功率が高い植物です。「緑枝挿し」であれば水栽培でも行えます。切り花でも始められるので一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
それぞれの環境によっても、発根や育て方は変わるもです。うまくいけば翌年に花が咲くこともあります。失敗して枯れてしまうこともあるかもしれませんが、試行錯誤するのも植物を育てる楽しみの一つです。ぜひこの記事を参考にして、美しい紫陽花をふやしてみてください。
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