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アブラムシ

大根(ダイコン)に発生するアブラムシを防除する農薬について

大根の葉に寄生するモモアカアブラムシ アブラムシ

アブラムシは大根(ダイコン)に害を与え、ウイルスを媒介する厄介な害虫です。防除には農薬や無農薬の方法があり、早期発見が重要です。農薬はRACコードに基づき、ローテーション散布が推奨されます。

大根で使える、アブラムシに効く農薬一覧

農薬名をクリックすると、詳しい詳細ページが表示されます。

※記載事項が変更、修正されている場合があります。使用する際にはラベルをよく読み、用法・用量を守ってお使いください。

また、より詳しく網羅的に使える農薬を検索したい方は、是非、この農薬検索をご利用ください。

RACコードとは??

RACコードとは、農薬を作用機構(農薬の効き方)ごとに分類して番号と記号を振ったコードになります。

例えば殺虫剤なら有機リン系は[1B]、ネオニコチノイド系は[4A]など、すべての農薬にRACコードが設定されています。

同じRACコードの農薬を繰り返し使うと害虫や病原菌に抵抗性がついてしまうのを、RACコードが違うコードの農薬を交互に使うことで防ぐことができます。「系統」とも呼ばれますが、RACコードの方が、より厳密に分類されています。 

殺虫剤は、IRAC(アイラック)コード、殺菌剤にはFRAC(エフラック)コード、除草剤にはHRAC(エイチラック)コードになっています。

殺虫剤はアブラムシだけでなく、カイガラムシ類やハダニ類、アザミウマ類、ヨトウムシコナジラミコガネムシハスモンヨトウネキリムシ、ヨコバイ、ハモグリバエアオムシ、ハムシなど幅広い殺虫スペクトラムを持つものも多いので、うまく活用しましょう。

上記の農薬は水で溶かして薄めて使用する液剤や水溶性の粉剤、粒状タイプです。希釈方法等については下記をご参考ください。

そもそも、アブラムシはどういう害虫?

アブラムシとは?

アブラムシはカメムシ目のアブラムシ上科に属する昆虫です。世界に4700種、日本にも700種以上いるといわれていて、大きさも色もまちまちです。アブラムシには増殖に適した「無翅型」と、分散に適した「有翅型」の2つのタイプがあり、有翅型は無翅型よりほっそりとした外観です。

暖かいときは生殖なしで雌のアブラムシがメスの子供を産み、交尾、卵の孵化の時間がかからないため、非常に強い繁殖力を持つ昆虫です。

テントウムシなど、アブラムシの天敵は存在しますが、アリが好む排泄物を分泌するため、アリと近くで共生を図り、天敵から身を守っています。

どうしてアブラムシは害虫なのか?

アブラムシは直接植物の汁を吸うことで作物に害を与えるだけでなく、排泄物を作物にかけ、黒いすす状のカビを増殖させたり、光合成が妨げられて作物の生育を悪化させます。

また、アブラムシはウイルスを運びます。口針を植物に探り挿入するため、ウイルスを持っていると口針から簡単にウイルスの感染が広がってしまうのです。アブラムシから広がるウイルスで有名なのは、モザイク病です。その中でも特に、キュウリモザイクウィルス(CMV)、カブモザイクウィルス(TuMV)が代表例と言えるでしょう。

モザイク病とは?

モザイク病とは、ウリ類、トマト、ダイコンなどのほか、花、庭木、雑草など190種類以上の植物に感染する病気です。

先端の葉に薄い緑色の斑点、葉脈に沿って緑色が薄くなったりして、次第に濃淡の班模様、モザイクが生じる病気です。

株は次第に生育が悪くなって萎縮し、野菜など収穫物の品質が劣化、最悪枯れてしまいます。一度罹ると治ることがない点が非常に厄介なところです。

どういう時期、場合に発生し、ウイルスを媒介するのか?

アブラムシは、主に冬の期間を卵または成虫の状態で過ごし、暖かくなってきた頃に急速に増え、茎葉、葉裏に粘着きます。

アブラムシは、たった1匹でもダイコンやカブにカブモザイクウイルスを伝搬し、感染させてしまいます。つまり、大量に増殖して目に付くようになった時期では遅く、ウイルスを保毒した有翅型のアブラムシが作物に飛来する際に初期の感染が生じていると考えていいでしょう。通常、有翅型の飛来は春と秋です。

ウイルス感染経路としては、ウイルスに感染している畑地の近傍のアブラナ科雑草上で成長した、または、そのアブラナ科雑草に一時的に飛来した有翅型のアブラムシによって、作物に感染する可能性が一番高いと言われています。

日本の野菜によく見られるアブラムシ

日本の畑地でよく見られるアブラムシの代表的なものは以下のような種類です。

  • モモアカアブラムシ
  • ジャガイモヒゲナガアブラムシ
  • ワタアブラムシ
  • マメアブラムシ
  • ニセダイコンアブラムシ
  • ダイコンアブラムシ

アブラムシに効く代表的な農薬

ネオニコチノイド系

ネオニコチノイド系とは、90年代に登場した比較的新しい殺虫成分で、ニコチンの仲間です。ニコチン性アセチルコリン受容体と結合し、信号の伝達を阻止し、結果、昆虫は麻痺し、死に至ります。

浸透性、速効性、持続性が優れていることや幅広い殺虫スペクトラムを持つため、現在非常によく使用されている殺虫剤です。代表的な製剤ダントツやネオニコチノイド系農薬については下記で詳しく説明しています。ご参考ください。

家庭園芸でよく使われる住友化学の「ベニカベジフルVスプレー」や「ベニカXファインスプレー」「ベニカXネクストスプレー」は、ネオニコチノイド系のクロチアニジンを成分にしています。

マラソン

有機リン系殺虫剤の代表、マラソンもアブラムシに効く農薬です。マラソンについては下記をご参考ください。

コルト

コルト顆粒水和剤は、日本農薬などが販売する昆虫の行動を制御する昆虫行動制御剤(IBR剤)で、従来の有機リン系やネオニコチノイド系に対して抵抗性を発達させた害虫にも有効なため、ローテーションのなかに組み込みやすい殺虫剤です。

トランスフォーム

トランスフォームフロアブルは2017年12月に農薬登録が認可された新規殺虫剤です。ネオニコチノイド系や有機リン系などの既存の殺虫剤とは構造が異なる新規系統の殺虫剤なので、コルトと同様、ローテーションに組み入れやすい殺虫剤です。

抵抗性アブラムシの対処法

農薬の種類、活用が増えることで、たまたま耐性があって生き残った特定の農薬が効かない性質のアブラムシが、世代を重ねて集団化する、抵抗性アブラムシが近年、問題になっています。

殺虫剤を散布しても、翌日集団でアブラムシが生息している場合は、抵抗性を疑ってよいでしょう。

このような場合は、お使いの農薬のRACコードを確認して、タイプの異なる殺虫剤のローテーション散布を心がけること、さらには生物的、物理的、耕種的防除法を取り入れたIPM防除体系を組んで、統合的に実践することが重要です。

IPM(総合的害虫管理)とは?

農地を取り巻く環境や病害虫の対象種の個体群動態を考慮しつつ、「生物的防除」「化学的防除」「耕種的防除」「物理的防除」を組み合わせることで、病害虫の発生を経済被害を生じるレベル以下に抑えることをいいます。

  • 「生物的防除」 病害虫の天敵を導入し、病害虫密度を下げる防除法
  • 「化学的防除」 化学薬剤を使用して行う防除法
  • 「耕種的防除」 栽培法,品種、圃場の環境条件等を整え、病害虫の発生を減らす防除法
  • 「物理的防除」 防虫ネット、粘着トラップ、光熱等を利用して病害虫を制御する防除法

(IPM・・・Integrated Pest Management)

有機JAS縛りでアブラムシ駆除に使える農薬

有機JASで使用できる農薬の代表的なものは、生物農薬が挙げられます。生物農薬については下記に詳しく、具体的な製品も紹介していますので、ご参考ください。

また、還元澱粉糖化物を有効成分とする農薬、商品名だと、「エコピタ液剤」「キモンブロック液剤」「ベニカマイルドスプレー」「ベニカマイルド液剤」もアブラムシ駆除に使えます。

その他、マシン油(機械油)「クミアイ 機械油乳剤95」や、薬液が虫体を被覆することによる窒息やでんぷんの粘着効果で防除できる、デンプン水和剤「粘着くん水和剤」などがあります。

無農薬でアブラムシを駆除する方法

アブラムシにはてんとう虫(幼虫、成虫)などの天敵が存在します。これらを利用したり、物理的に防除することでアブラムシを防ぐことができます。

無農薬でアブラムシを駆除する、生物的防除、物理的防除、耕種的防除について詳しく知りたい方は、下記を参考にしてみてください。

まとめ

ウイルスを保毒した有翅型のアブラムシが作物に飛来する際に初期の感染が生じている可能性が高いです。このため、苗、結球に寄生される前の早期発見が鍵になります。

圃場の横のアブラナ科雑草を定点観測し、アブラムシの早期発見、忌避、退治に役立てている農家の方もいます。早期発見し、適切な薬剤でしっかり発生を予防、防除できるとベストです。是非キュウリ栽培に役立ててください。(このほか、イチゴや果菜類のピーマン、トマトなどの記事もあるのでご参考ください。)

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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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