初夏にスラっと伸びた花穂に、ラッパ状の鮮やかな花を咲かせるグラジオラスは、花壇や切り花でもよくみかける人気の球根植物です。
丈夫で育てやすいグラジオラスですが、上手に咲かせるには肥料はいつ、どのようなものを与えたらよいのでしょうか。ここではグラジオラスの肥料の与え方の基本とおすすめの肥料についてわかりやすく説明します。
グラジオラスの基礎知識と肥料を与える時期
グラジオラスの基礎知識
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
グラジオラスは、アヤメ科の球根植物で春植え(夏咲き)球根が一般的ですが、背丈の低い秋植え(春咲き)球根もあります。細長い剣のような葉が特徴で、グラジオラスはラテン語で「小さな剣」という意味があります。
夏咲き品種は、寒さに弱いので霜や凍結の恐れがなくなった4月以降に植え付けをすると、初夏から花を楽しめます。植えつけから3~4か月で開花します。背丈が高くなるので地植えがおすすめですが、鉢植えでも育てることができます。丈夫で初心者の人にも育てやすい植物です。
学名 | Gladiolus |
属名 | アヤメ科トウショウブ属(グラジオラス属) |
原産地 | 地中海沿岸、北アフリカ、西アジア、南アフリカ |
草丈 | 50㎝~150㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「密会」「用心」「思い出」 |
肥料を与える時期
球根は育つのに必要な栄養分を蓄えており、グラジオラスはやせ地でも育つので多肥は必要ありませんが、適期に肥料を与えることで、花つきを良くし、美しい花を咲かせることができます。
地植えの場合は、植えつけ時に元肥を施し、開花が終わった後にお礼肥として追肥を施します。鉢植えの場合は、庭植えより水やりなどで肥料が流れやすいため、元肥を施した後に本葉2~3枚の頃と、本葉5~6枚の頃の追肥をし、開花後も追肥を続けます
グラジオラスの肥料の与え方
地植え
グラジオラスは土は選びませんが、日当たりが悪いと花が咲きません。日当たりの良い場所に植え付けしましょう。
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。地植えの場合は、土づくりと同時の行いましょう。
- 栽培するスペースを決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰1㎡あたり100gまいて、深く耕しておきます。
- 1から一週間ほどたってから、植えつける場所に完熟堆肥や腐葉土を混ぜ込みます。
- 2から10日ほどたってから、球根を植えつけます。球根を深さは球根2個分の土がかかるように、深めに植え付けます。
土壌について
グラジオラスに適した土壌酸度(pH)は、5.5~6.5です。日本の土壌は雨などの影響で酸度が高くなりがちなので、苦土石灰を施して調整します。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。球根には不牛ふん堆肥がおすすめです。植物性の堆肥を使いたいのであれば腐葉土を使いましょう。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
追肥
植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。
グラジオラスの場合は、元肥をしっかりしておけば、花が咲き終わるまで追肥は不要です。花が咲き終わってから葉が黄ばみ始めるまで、翌年のために球根を太らせるための追肥を行います。速効性の化成肥料を土にばらまくか、液体肥料を月に2~3回与えます。
元肥には堆肥しか施していないため、芽がでたころに芽出し肥として、化成肥料や液体肥料を与えてもよいでしょう。
鉢植え
鉢植えやコンテナで育てる場合は、元肥入りの草花用培養土が便利です。肥料が入っていない場合は、草花用の緩効性肥料をまぜてから植えつけしましょう。グラジオラスは背丈が高くなるので支えれられるように深い鉢を使いましょう。植えつけは土が4~5cm程度かかる程度に植え付けます。
追肥は、本葉が2枚~3枚の頃に1度と本葉5~6枚の頃に化成肥料をばらまくか、本葉2~3枚目のころから月に2~3回液体肥料を水やり代わりに与えます。さらに花が咲き終わったら、葉が黄ばみ始めるまで、速効性の化成肥料を月に1回ほど与えるか、液体肥料を月に2~3回与えます。
グラジオラスにおすすめの肥料
球根は、窒素分が多いと球根が腐りやすくなるため、窒素はすくなく花をさかせるリン酸と球根を太らせるカリが多い肥料がおすすめです。
球根の肥料
球根には専用の肥料があります。専用肥料であれば肥料成分が球根の生育に合わせた配合になっており、肥料量も記載されていることが多いので、誰でも簡単に使えます。基本的には窒素(N)が少なく、リン(P)やカリ(K)が多く配合されています。地植えでは有機配合肥料がよいでしょう。
ハイポネックス マグァンプK
鉢植えの元肥には化成肥料のハイポネックスの定番肥料の粒状肥料のマグァンプKがおすすめ。ゆっくり効果がつづく緩効性肥料で、リンの配合量が多く様々な草花に使える肥料です。「チッソ・リンサン・カリ」植物の生育に必要な三要素は勿論、マグネシウムやアンモニウムなどの二次要素・微量要素もしっかりと配合されていています。植えつけ時の元肥には中粒がおすすめです。
草花用の緩効性化成肥料
庭植えや鉢植えの肥料は、草花用の緩効性化成肥料が使えます。土にばら撒いて使う固形のものや、鉢植えなどでは、鉢の植えに置いておけば水やり時に、肥料分が溶け出して肥料が続く肥料がおすすめです。
置き肥では「プロミックの草花・鉢花用」やばら撒いて使える「プランティア 花と野菜と果実の肥料」などが窒素分が少なくリンとカリの成分が多いので球根におすすめです。
液体肥料
追肥には液体肥料がおすすめです。草花用の肥料であればどれでも使えますが、窒素分がすくないハイポネックス原液や、住友園芸化学の花工場原液などがおすすめです。
その他グラジオラスの栽培で気をつけること
栽培環境
グラジオラスは、土壌は選びませんが水はけのよい、日当たりの良い場所を好みます。庭植えする場合は、栽培期間中よく日の当たる場所に植え付けましょう。寒さにあまり強くないため、葉が黄色くなった後は球根を掘りおこし、翌年の春にまた植え付けします。連作障害がでやすいので、同じ場所には植え付けしないようにします。
水やり
庭植えの場合、生長期には水をよく吸収します。できればパークチップなどでマルチングをし水分の蒸発を防ぎましょう。土が乾いたら水やりを行います。開花までは水やりをしますが開花後は不要です。
鉢植えの場合は、鉢の中の水が完全に乾いてから鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。メリハリが大切です。鉢の中の水が完全に乾かないうちに水を与えると、球根が腐ってしまうことがあるので注意しましょう。
開花後の管理
来年も多くの花を咲かせるためには、開花後の管理が重要です。花が終わったら花がら摘みをします。花茎から切り取ります。葉が黄色く変わってきたら、土から堀り上げます。陰干しした後に、ネットなどにいれて風通しの良い日陰で保管しましょう。
葉がまだ緑色が残る頃に堀り上げをすることで、球根の根の周りを取り囲むようにできる小さな球根(木子)を、落とさずに堀り上ることができます。
まとめ
春植えのグラジオラスは、大きな豪華な花が花壇を華やかに彩ります。最近では花束やフラワーアレンジメントも人気があります。対して秋植えのグラジオラスは可憐な花が印象的です。寒さに弱いので秋植えは庭植えでは、防寒対策が必要なので、難易度が高くなります。初心者の方はまずは春植えのグラジオラスから始めてみましょう。
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