冬の鍋や、漬物などにかかせない白菜は、中国原産の結球野菜で日本人になじみの深い野菜です。品種も豊富で、畑だけでなくプランターでも栽培が可能です。
ここでは白菜(ハクサイ)の基本的な肥料の与え方と、おすすめの肥料についてわかりやすく説明します。
白菜に適した肥料とは
白菜は肥料を好み、活着から結球までに肥料を多く吸収するため元肥をしっかり施し、肥料切らさず追肥をして育てます。
白菜の施肥量は全体で10a当たり成分でおおよそ窒素28kg,リン酸20kg,カリ25kg(参照:埼玉県農作物施肥基準)が目安です。葉肥といわれる窒素を多く必要とします。
元肥には有機肥料などの緩効性肥料が適しています。肥料の三大要素(窒素、リン、カリ)がバランスよく配合された肥料がおすすめです。追肥には、速効性の化成肥料が適しています。リン酸が元肥でしっかり施されていれば、窒素とカリのみのNK肥料でもよいでしょう。
白菜専用の肥料もあります。白菜に必要な肥料分が必要量含まれているので初心者の人でも使いやすい肥料です。
白菜(ハクサイ)栽培におすすめの肥料
畑などの地植えでは、白菜は肥沃な土壌を好むため有機肥料がおすすめです。化成肥料を使う場合でも、できれば堆肥は牛糞など土壌効果の高いものを使いましょう。追肥には速効性の化成肥料や液体肥料がおすすめです。
プランター栽培では元肥入りの野菜の培養土が便利です。臭いが気になる場合は、有機配合肥料や化成肥料がおすすめです。
有機肥料(有機質肥料)
畑などでは有機肥料がおすすめ。化成肥料を使う場合でも、できれば堆肥は牛糞など土壌効果の高いものを使いましょう。有機肥料は、鶏ふんや油かす、米ぬかなどが使えます。油かすだけではリン酸とカリ分が足りないので、リン酸は過りん酸石灰や骨粉、カリは草木灰、硫酸カリなどを併用するとよいでしょう。
有機肥料は完熟のものを使い、米ぬかなどは生のものは使わず、ぼかし肥料の原料として使うのがおすすめです。ぼかし肥料や有機100%肥料などは、初心者の人でも使いやすい肥料です。
白菜専用肥料
白菜には専用肥料もあります。白菜の栽培用に肥料分が調整されており、肥料量もパッケージに書かれていることが多いので誰でも簡単に使える肥料です。畑などでは有機成分が配合されているものがおすすめです。
化成肥料
化成肥料を使う場合には、化成肥料8-8-8などの窒素・リン酸・カリウムが均等に入った肥料は、ほとんどの野菜に使えます。化成肥料は基本的に速効性の肥料が多く、元肥にも追肥にも使えますが、白菜には追肥に使うのがおすすめ。
肥料の後ろの数値は、肥料分がどれぐらい肥料が入っているかを表しています。8・8・8の場合は、肥料100gの中に肥料分が各8gづつ入っています。初心者の人には肥料成分がそれほど高くないため、肥料の施しによる失敗が少ないのでおすすめです。また白菜の追肥には、窒素やカリが必要とされるためNK肥料でもよいでしょう。
野菜の肥料
ホームセンターなどで簡単に手にはいる肥料メーカーが野菜用に作った、野菜用の肥料でも育てることができます。
プランターの元肥としては、肥料が配合されていない土を使う場合には、「マグアンプK中粒」は緩効性肥料としておすすめです。またその他ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」は有機配合されており元肥や追肥にも使えます。
液体肥料
プランター栽培や、肥料不足などには速効性の液体肥料(液肥)も使うことができます。液体肥料は、「ハイポネックスの野菜の液肥」や「マイガーデン液肥」などがよいでしょう。
白菜(ハクサイ)栽培の肥料の与え方
肥料時期
肥料は、種まきや植え付け時に元肥を施し、種を直まきした場合は間引き後に、苗を植え付けした場合は植え付けから2週間後から追肥を開始します。その後は結球が始まるまでは肥料を切らさずに追肥して育てます。
結球が始まったら最後の追肥をしてその後は肥料は与えません。
地植え
白菜は発芽しやすいので、種から育てることもできます。直まきも可能ですがアオムシなどの食害が生じやすいので、防虫カバーなどをするとよいでしょう。タネまきから始める時には、特に種まきの時期が重要ですので適期をのがさないようにしましょう。
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
元肥の方法は、全面施肥と溝施肥があります。どちらでも可能ですが、白菜は栽培期間が長いため溝施肥で行われることが多いです。有機肥料を使う場合は2週間前、化成肥料を使う場合は植え付けの1週間ほど前までに行います。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰1㎡あたり100gまいて、深く耕しておきます。
- 1から2~3週間ほどたってから、幅60cmほどの畝を作ります。
- 畝の中央に深さ30cmほどの植え溝をつくり、1㎡あたり堆肥2~3kg、有機配合肥料100~150gを施し、高さ10㎝ほどの畝をたてます。
- マルチを張って種をまくもしくは苗を植え付けましょう。
土壌について
おいしい野菜をつくるには、土づくりは大切です。アブラナ科の中でも特に肥料を好む白菜は、排水性がよく肥沃な土を好みます。堆肥や有機質肥料をつかってよい土壌を作りましょう。
牛ふんなどの堆肥は、植え付け1か月前までには行いましょう。土壌酸度(pH)は、6.0〜6.5です。土壌が酸性に傾いていると根こぶ病にかかりやすいため、土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。土壌酸度は、市販の土壌酸度計や土壌酸度測定液をつかって図りましょう。家庭菜園をする人は一つもっているとよいでしょう。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
追肥
苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。
種を直植えした場合は、本葉が2枚の頃に2本に、本葉が6枚~7枚の頃に間引いて1本にした後に追肥を施します。1株あたり化成肥料を7g程度をばらまいて、土と軽く混ぜて株に土寄せしておきます。その後は2週間おきに、1㎡あたり30g程度の化成肥料を畝の側方にまいて、表土を軽く耕す中耕をして土寄せを行います。結球が始まったら最後の追肥をしてその後は肥料は与えません。
苗を植え付けた場合は、植えつけ後2週間後から追肥を始めます。最初の追肥は、株元に1株あたり7g程度の化成肥料をまいて土寄せします。そその後は2週間おきに、1㎡あたり30g程度の化成肥料を畝の側方にまいて、表土を軽く耕す中耕をして土寄せを行います。結球が始まったら最後の追肥をしてその後は肥料は与えません。
プランター栽培
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
プランター栽培の場合、水やりのたびに肥料が流れ出てしまうため、畑で育てるより肥料は多めに施肥します。追肥の基本は、新葉が伸びるころと、結球の頃ですが、葉が黄色くなるなど肥料不足のサインがでたら、追肥を与えましょう。
植え付け後、2週後新葉が立ち上がってきたら追肥をします。その後は10~14日後に、結球始めたら2回目の追肥を始めます。化成肥料を株の周りにまいて、土と軽くまぜ土寄せします。追肥に液体肥料を使う場合は、7日~10日に1度、水やり代わりに与えるとよいでしょう。
肥料の過不足
白菜は肥料を好むので肥料が足りないと葉が黄色くなったり、葉が大きく育たなくなると結球しないことにもつながります。しかし肥料の与えすぎは、ゴマ症を発症したり、肥料焼けをおこし最悪枯れてしまうこともあります。また収穫間際まで肥料を与えすぎると、エグミがでて味が落ちるため、肥料の与えすぎにも注意しましょう。
肥料の量は、野菜を作り続けている畑などでは、前作の肥料が残っていることもあります。生育をみて追肥の量を調整しましょう。また葉に肥料が残っていると肥料焼けするので、葉っぱに肥料が残らないように株元に与えます。
白菜(ハクサイ)の栽培について
白菜の基礎知識
白菜は中国野菜の代表で英語では「チャイニーズキャベツ」と呼ばれます。冷涼な気候を好み、高温が苦手です。結球時の適温が15℃~18℃なので、家庭菜園などでは生育とともに温度が下がる、夏から秋にかけて種をまき、秋から冬に収穫するのがおすすめです。
作物名 | ハクサイ |
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科目 | アブラナ科ブラシカ属 |
原産地 | 中国 |
発芽適温(地温) | 20℃~25℃ |
生育適温 | 18℃~20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~6.5 |
育てやすさ | 普通 |
病害虫
肥料を好む白菜ですが、多肥になると病害虫が発生しやすくなるため施しすぎには気をつけましょう。
白菜は、アブラムシ類の他アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ハンヨウモトウなどによる害虫の被害が多くあります。白菜は本葉が20枚以上にならないと、結球しません。生育の初期に食害に合うと、白菜の生育に大きな被害が生じます。発生してしまったら早めに農薬等をつかって駆除しましょう。農薬が不安な人は、有効成分が天然物由来の殺虫殺菌スプレーもあります。
直まきをする場合は、種まきをしたら、すぐに防虫ネットを使って害虫を防除しましょう。隙間をあけずに、葉にふれないことが大切です。また反射光を嫌う虫が多いので、銀色の反射マルチや反射テープなどを使うのもよいでしょう。防虫ネットは100均などでも買えます。プランターの場合は、支柱を使ったものや、スッポリカバーできるものなどもあります。
まとめ
アブラナ科の白菜は連作障害が起きやすいため、一度白菜を栽培したら栽培間隔は2~3年とる必要があります。同じアブラナ科のキャベツや大根なども栽培できません。家庭菜園初心者の人は、結球しやすく栽培期間が短い早生種のミニ品種がおすすめです。寒さに強く冬にそのまま植えて保存できるので、冬に重宝する野菜です。
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