枝豆は、肥料を与えすぎると豆が大きくならないといわれますが、肥料は与えなくても育つのでしょうか。この記事では、枝豆栽培に肥料が不要な場合と、その見極め方についてわかりやすく説明します。
枝豆(エダマメ)に肥料を与えすぎてはいけない理由
枝豆は、肥料過多になると、茎や葉が大きくなりすぎる「つるボケ」をして実がつかないとよく言われまが、なぜでしょうか。
これはマメ科特有の性質にあります。マメ科の植物は、根っこに瘤(こぶ)のようなものがたくさんあります。これは根粒(こんりゅう)と呼ばれ、中には根粒菌という土壌微生物が共生しています。この根粒菌が植物に欠かせない窒素を作り出しているのです。
そのため普通の野菜と同様に窒素を与えると、窒素が多すぎて葉や茎が大きく育ちすぎて、そちらに栄養がいってしまうため実がつかなかったり、大きくならなかったりします。化成肥料には窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の三要素がバランスよく入っているものがおおいので、一般の野菜のように与えると窒素が多くなりるため、豆類には肥料を与えすぎてはいけないといわれるのです。
枝豆に肥料は不要か?
では枝豆には肥料は不要なのでしょうか。答えは、どちらともいえないです。
枝豆には、チッソ分を作り出す根粒菌はありますが、窒素以外にも実をつけるためにはリン酸が、根を強く育てるにはカリが必要です。根粒菌が作り出す窒素は、枝豆の生育に必要な半分程度ともいわれるため、それらの不足分を補うために肥料を施す必要があります。そのため一般的な栽培方法としては、窒素を控えめにして植え付け時に元肥を、追肥は花が咲くころに生育状態をみて与えます。
しかし、野菜を作り続けている圃場では、今まで育てた時に使った肥料分が吸収されないまま、土に残っている場合もあります。その場合は元肥は与えず、生育の様子をみて追肥が必要な場合は追肥をしますが、生育がよければ追肥もしないこともあるため、肥料を与えないということもあるのです。
それぞれの畑の状況により、肥料を与えることもあれば、全く肥料が必要がない場合もあります。
肥料を与えるかどうか判断する方法
元肥
土壌診断をすれば、畑の土がどのような状況か知ることができます。しかし家庭菜園などでは一般的ではありません。枝豆は、有機質が多く含まれた土を好みます。毎年肥料を与えて野菜を育てている畑で、牛糞などの有機物を使って土づくりをしている畑であれば、元肥はなくてもよいでしょう。
肥沃な畑では、リン酸が多いと着生がよくなるといわれるので、リン酸の豊富なバッドグアノや骨粉の有機肥料を、種まきの前に、種穴に少しまいておいてもよいでしょう。
生育の初期は、根がまだ発達していないため根粒菌の働きも限定的です。やせた土地では土づくりをしっかりした後、緩効性の肥料を与えましょう。畑などでは有機肥料がおすすめです。
追肥
花が咲きだしたら、生育状態を確認しましょう。樹ばかり大きくなっていませんか。窒素が多いと、葉色が濃くなり草丈が高くなります。草丈が40cm以上になっているようなら、追肥は不要です。
ヒョロヒョロと背だけ伸びている場合は、日照不足による徒長かもしれません。そのような状況がみられたら、本葉が5枚~6枚の頃に、株の先端をつまんで落としましょう。それ以上背が伸びず、株がしっかりします。
根粒菌を活性化させるためには、中耕を兼ねて土寄せすることが大切です。根が切れることで、新しく出る根に根粒菌が共生します。中耕・培土は雑草の防除にも役立ちます。
枝豆におすすめの肥料
畑で栽培するのであれば、枝豆には油かす、米ぬか、鶏ふんなどの有機肥料がおすすめです。プランター栽培などでは、肥料分が流れやすいため液体肥料をつかって追肥を調整するのがよいでしょう。枝豆の肥料の与え方やおすすめの肥料については、詳しい記事があるのでそちらも参考にしてください
リン酸肥料
骨粉
骨粉肥料とは、牛、豚、鶏などの骨を粉砕し、粉末にしたものが骨粉です。それを肥料として用います。リン酸を含む有機肥料として動物性有機質肥料の中でもメジャーな存在です。窒素分は少なく、カリはほとんど含まれません。
バッドグアノと比べても、効果は遅いので元肥として使います。ゆっくりと溶け出して長く効果が続きます。堆肥を併用して分解を早めて使うとよいでしょう。
バッドグアノ
バットグアノ(Bat Guano)は、コウモリ(Bat)の堆積した化石(Guano)のことを指します。コウモリの生息する洞窟内で、捕食した虫を含むふん、死骸、微生物、さらにカルシウムを含む石灰などが堆積し、何百年という年月をかけて天然で発酵されたものがバットグアノです。これを粉もしくは粒状に成形し、肥料として利用します。
リン酸とカルシウムが多く含まれており、マグネシウムなどの微量要素も含まれています。また、カルシウムの含有量も多いため、有機石灰などの石灰肥料を施さなくてもカルシウムを補給できます。窒素分はあまり含まれていないので、すでに肥料分が多い畑に使ったり、油かすなどと一緒に使うとよいでしょう。