夏の風物詩の朝顔(アサガオ)は、小学生の夏休みの研究課題で育てた記憶がある人も多いのではないでしょうか。朝顔は土耕栽培だけでなく土をつかわない水耕栽培でも育てることができます。
ここでは、朝顔(アサガオ)の水耕栽培について、種まきから始める開花までの手順や剪定したツルをつかった水耕栽培の育て方についてわかりやすく説明します。
朝顔(アサガオ)の水耕栽培について
朝顔の基本情報
朝顔(アサガオ)は、ヒルガオ科のつる性の一年草で、日本でも古くから親しまれてきた植物です。小学生の頃、観察記録を書いた経験のある人も多くいるのではないでしょうか。小学生でも育てやすく、青・紫・白・赤・ピンク・複色などのさまざまな色の花を咲かせます。
朝顔はつるを伸ばして成長するので、支柱を立てて栽培するのが一般的です。支柱を立てて、あんどん仕立てにしたり、ネットなどに誘引させて緑のカーテンを作ることもできます。栽培は種まきか、苗から始めます。鉢植えが一般的ですが、水耕栽培でも育ててることができます。
学名 | Ipomoea nil |
属名 | ヒルガオ科サツマイモ属 |
原産地 | 中国南部からヒマラヤ、東南アジア |
草丈・樹高 | 20㎝~10m |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「愛情」「あなたに絡みつく」 「結束」「明日もさわやかに」 |
品種
水耕栽培では、プランターに比べ支柱が立てにくいので、つるが伸びない矮性の品種がおすすめ。またハンギングのように、つるを垂下げて育てることができる品種でもよいでしょう。
品種 | サンスマイル | つばめ朝顔 | 大輪アサガオ | 西洋アサガオ |
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概要 | ||||
特徴 | つるが伸びない矮性の品種 斑入りの葉と白い縁取りのある花が特徴。早咲き | ツルがあまり伸びないので、ハンギングや吊り鉢におすすめ。 花は小さく花色は濃桃色。 | あんどん仕立で育てるポピュラーな品種 | 日本アサガオより大きくツルが良く伸びるため、緑のカーテンにおすすめの品種 夕方まで花が咲く |
朝顔の水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。
朝顔の水耕栽培は、種まきから始める他に、剪定したつるを挿し芽にして水挿しで始める、プランターなどで間引きした苗からも始めることができます。緑のカーテンにするのであれば、ある程度の大きさの容器やエアーポンプなどが必要ですが、矮性の品種であればペットボトルなどでも簡単に栽培が可能です。
タネまきから始める水耕栽培
まず初めにタネまきから始める水耕栽培について説明します。容器は、手軽に始められるペットボトルを使います。
時期
アサガオの発芽適温は25℃と高めなので、種まきの適期は、5月中旬~6月上旬。十分暖かくなってきたら種をまくとよいでしょう。7月下旬から10月頃まで開花を楽しめます。
室温を調整することで寒い時期でも育てることは可能ですが、部屋の温度には注意が必要です。発芽適温は20℃〜25℃前後、生育適温は20℃〜30℃前後なので、適した環境の場所、季節で栽培をしてください。
発芽適温 | 生育適温 |
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20〜25℃ | 20〜30℃ |
準備するもの
- 朝顔の種
- ペットボトル 500ml以上
- スポンジ(キッチンスポンジのやわらかいものがおすすめ。メラニンスポンジは不可)
- ラップ
- 竹串(爪楊枝でもOK)
- 水耕栽培用肥料
- カッター、ハサミ
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を1~2粒差し込みます。あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
朝顔は嫌光種なので、新聞紙などをかけて光を遮り、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。7日~15日程度で発芽します。
- 手順5育苗
発芽したら、明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
1つのスポンジから複数の芽が出て場合は、一番大きな苗を残して間引きしましょう。もったいなからといって残しておくと大きく生長しません。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は、継ぎ足しながら育て1週間に1度はすべて交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
- 手順7摘心・支柱立て
つるが短い品種は支柱は必要ありませんが、本葉が4枚~5枚程度になりツルが伸びてきたら、先端をハサミで切り取る摘心をします。こうすることで、横方向にわき芽が生えてきて、ボリュームが出るようになります。新たにでた子づるも伸びたら摘心を繰り返しかえします。
- 手順8開花
花が咲き終わったら、種ができないように花がらはつんでおきましょう。種を採取したい場合には、開花の終わりの時期に花がらを摘まずに、そのままにしておくと種ができます。
挿し木・苗から始める水耕栽培
朝顔の挿し木(水挿し)
アサガオは種で増やすのが一般的ですが、挿し木でも増やすことができます。剪定したつるをつかって挿し木を水に挿すだけで、発根するのでそのまま水耕栽培で育ててみましょう。
- 挿し穂にするツルは、節を2~3節ほどつけてカットします。
- ツルの先端はカットし、上の葉を2枚ほど残して、下葉は取り除きます。
- 切り口はカッターなどで斜めにスパッと切っておきます。
- 容器に水をいれ、アサガオの挿し穂を入れます。
- 発芽して、根が十分に伸びたら3cm角に切ったスポンジに挟んで、ペットボトルにセットして水耕栽培で育てます。
苗から始める
ポット苗や、間引きした苗からも土耕栽培から水耕栽培に移行できます。大きな苗は、うまく移行できないことがあるので、その場合は挿し木から始めましょう
- 朝顔の苗は、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- ポットから苗を取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
- スポンジを、5cm~6cm程度に四角にカットし、根の部分をスポンジで挟んでペットボトルにセットし、水耕栽培で育てます
朝顔(アサガオ)の水耕栽培の育て方
容器
朝顔の水耕栽培は、特別な設備がなくとも十分収穫が楽しめます。ペットボトルを加工した栽培キットは、さまざまな野菜や観葉植物の挿し木などにも使えます。ペットボトルの容量は500ml~1ℓ程度のものを使うとよいでしょう。容器が大きいほど苗は大きくなります。
透明な容器は、光にあたることでアオコ(藻)が発生します。根に藻がつくと根から酸素を呼吸できなくなり、生育に影響を及ぼします。容器は必ず遮光して育てましょう。アルミホイルなどで容器を包むほか、見た目が気になるならペットボトルカバーや、好きな柄の布やバンダナなどを巻いても。
吊り下げて育てることができる品種であれば、プラントハンガーやかごの中にペットボトルをいれて、吊り下げても育てることができます。
栽培環境
朝顔は日当たりの良い風通しの良い場所を好みます。しかし水耕栽培の場合には夏の直射日光は、容器の水の温度が上がりすぎる可能性があります。真夏は直射日光を避け、明るい日陰かカーテン越しの光に当てるとよいでしょう。
朝顔は、夜が長くなり日が短くなると花芽を形成する「短日植物」です。室内やベランダで育てている場合は、夜間に室内の光に長く当たっていると、花芽ができにくくなります。夜間は、段ボールなどを被せて暗くなるように工夫しましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
肥料について
水耕栽培で朝顔を育てる場合には、水だけでは育ちません。肥料が必要です。水耕栽培用の肥料を使って育てましょう。
水耕栽培用の肥料は普通の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。
下記のページに水耕栽培用の肥料についてまとめておりますので、参考にしてください。
まとめ
朝顔は、暖かくなってから種子をまいて育てれば、水耕栽培でも十分花を楽しむことができます。朝顔は日本で品種改良が進んで、多くの園芸品種があります。まずは簡単なペットボトルから始める水耕栽培で朝顔を育ててみてください。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物や、多肉植物や花を楽しむ球根、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。品種名から栽培方法を探すことができます。
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