エアプランツは土のいらない着生植物で、最近では100均などでも見かけることから人気があります。ここではエアプランツの水耕栽培の育て方について、その生態や育て方についてわかりやすく説明します。
エアープランツ(チランジア)の栽培について
エアープランツ(チランジア)の基礎情報
パイナップル科のチランジア属(ティランジア属)に属する植物を、一般的に「エアープランツ」と呼んでいます。土のいらない着生植物で、乾燥地域や熱帯雨林までさまざまな場所で、中米から南米にかけて600種類以上が自生しています。
水がなくても育つという間違った認識が広がっていますが、根から水を吸収せず、葉の表面に生えたトリコームと呼ばれる白い産毛のようなもので水をうけ、葉から吸収しています。自然の中では雨や霧などから水分を吸収しています、室内やベランダなどで育てる場合には、霧吹きで水やりをして育てます。
土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法を水耕栽培といいますが、エアープランツは水耕栽培で育てます。
学名 | Tillandsia |
属名 | パイナップル科チランジア属 |
原産地 | 北アメリカ南部から南米 |
樹高 | 10㎝~100cm |
生育適温 | 20~30℃ |
花言葉 | 「不屈」 |
エアープランツ(チランジア)の種類
チランジアは大きくわけて、エアータイプとタンクタイプに分類されます。一般的なのはエアータイプで、その中でもトリコームが多い銀葉種と、トリコームが少ない緑葉種にわけられます。タンクタイプは、葉の基部がタンク状になっており、水を溜めることができます。
品種名 | イオナンタ | カプトメデューサエ | トリコロール メラノクラテル | キセログルフィカ | ネオレゲリア |
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概要 | |||||
特徴 | 最もポピュラーな代表品種 栽培も簡単で初心者におすすめ。 開花時に先端の葉が赤く色づく。 | メデューサの頭という意味の名前どおり、奇妙な形が人気の品種 株の先端から赤い花茎をのばし、紫色の花を咲かせます。丈夫で育てやすい | トリコロールの名のとおり、赤と黄色の花序と紫色の花の3色のトリコロールカラーが特徴 半タンク型で、水を好む | 人気の高い大型種 トリコームが密集して白銀に見える葉が、生長とともにカールする。 | タンクタイプのチランジア。 放射線上に葉を広げ、中央に水を溜めます。 水を好むため、水苔に鉢植えで育てると育てやすい |
エアープランツ(チランジア)の水耕栽培の育て方
苗の選び方
100均ショップなどでも手に入るエアープランツ(チランジア)ですが、手入れがあまりされていないものもあります。100均などで手に入れる場合は、できれば入荷したてのものを選びましょう。インテリア性に寄りすぎて、水を与える場所がわからないものには手を出してはいけません。
- 葉が瑞々しく、葉にシワなどがよっていないもの
- 中央部分が黒ずんでいないこ
植え付け・アレンジ
土を必要としないエアープランツは、基本的には何にでも植えつけることができます。着生植物のエアープランツは、自然では、木の幹や岩石の表面やサボテンなどの他、電線などの人工物にも着生して育ちます。よく見かけるのはコルク、インテリアバーク、カクタススケルトン、ガラスの器にいれたテラニウムも人気があります。
アレンジとしては、ワイヤー製のバスケットに吊るしておいたり、コルクや木の枝に麻紐や針金、結束バンドなどで固定する方法、水を好む品種には、鉢植えに固く固めたミズゴケをいれて植えつけるのもおすすめです。ガラスケースなどにカラーサンドを敷いて、植えつけるのも人気があります。
自分で加工するのが面倒であれば、専用のスタンドや吊り下げ用のハンギングホルダーなども販売されていますよ
チランジアの根は、基本的には自分の体を固定するためのものです。紐や針金などでしっかりコルクなどに固定することで根を伸ばします。根が伸びないときは水不足によるものの可能性が高いので、水やりをしっかり行うか水苔などを挟んで固定するとよいでしょう。
栽培環境
チランジアは品種により耐寒性や耐暑性が異なりますが、生育適温は20℃~30℃で比較的暖かい気候を好みます。しかし蒸れるとすぐに株が駄目になります。
春から秋は、風通しのよい半日陰で管理しましょう。夏の直射日光は葉焼けのリスクや株が傷む可能性があるため気をつけましょう。レース越しの光を好みます。日に当たらないとヒョロヒョロと徒長してしまうこともあります。耐寒性はあまり高くない品種もあるので、できれば10℃以上、室内の日の当たる暖かい場所で管理しましょう。
5℃以下になるようでしたら、水やりを控え休眠させることで冬越しすることができます。
水やり
水やりは春から秋は週3回、冬は週1回ほど行います。5℃前後で冬越しする場合は2週間に1回与えます。水やりは霧吹きで株全体を濡らす程度与えます。水やりをする時間にも注意が必要です。春から秋は夕方から夜。冬は気温の高い午前中に与えます。
蒸れに弱いチランジアは、長く水に濡れていると蒸れてしまいます。夜に上げた水は朝には乾いている必要があります。乾きが悪い場合には、サーキュレターや扇風機をつかって風通しをよくしましょう。
ソーキング
長期間水切れをした株には、株全体を水に浸けるソーキングという方法があります。極端に水切れしている株には有効なこともありますが長時間(6時間以上)行うと弱ることもあります。また弱っている株に行うと、とどめを刺してしまうこともあります。
長時間は行わず、2時間~3時間水に浸ける、翌日は霧吹きで上げて様子をみて、まだ元気がないようなら水にまた2~3事間つけるなどの方法を試してみてください。
ソーキングをする場合は水だけでもOKですが、水耕栽培用の肥料を2000倍程度に薄めて使いましょう。
肥料
基本的には肥料がなくとも育ちます。株を早く大きくしたい、子株をふやしたい、大きな花を咲かせたいときは肥料を与えましょう。肥料は春から秋の生育期に2週間に1度程度与えます。肥料は水耕栽培などにつかうハイポネックス微粉などが使えます。肥料ではないですがメネデールなどの活力剤をつかってもよいでしょう。肥料は2000倍ほどの水に薄めて、水やりのときに与えます。活力剤も同様にして使います。
まとめ
通常の植物の水耕栽培は、水位などに気をつけて育てないと根腐れなどが起き枯れてしまうことがありますが、チランジアはその心配はありません。屋外で育てているときは水やりも不要なほど手軽ですが、水がなくても育つわけではありません。通常の植物を同じように、室内では水やりをして育ててあげましょう。
自分の工夫次第で、いろいろなものに飾れるエアープランツは、植物を育てたことのない人も手軽に始められる植物で、その姿は個性的で、男性にも人気があります。100均などで手軽に買えるものは育てやすい品種が多いので、ぜひお気に入りの品種を見つけてエアープランツの栽培を始めてみてください。
『農家web』には、多肉植物の水耕栽培の記事もあります。多肉植物の水耕栽培のまとめの記事から種類ごとの育て方の記事が探せます。
多肉植物の他にも、観葉植物や花を楽しむ球根、育てて収穫できる野菜やハーブも水耕栽培で育てることができます。100均などで購入した苗やタネを使って、簡単に育てることができます。興味のある方は下記の記事も参考にしてください。育てたい品種や野菜・ハーブ名から育て方がわかります。