クロトンは、ヘンヨウボクとも呼ばれるように、葉の形や葉の色が変化するのが魅力です。ここではクロトンの水耕栽培について、挿し木(水挿し)や苗木から始める水耕栽培の手順、ハイドロカルチャーへの植え替えや育て方についてわかりやすく説明します。
クロトンの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
クロトンは水耕栽培でも育ちます。ハイドロカルチャーなど土の代わりとなる培土を使って育てるのがおすすめです。また挿し木で増やせるので、水挿しで発根した後に、土に植え替えることもできます。
クロトンの水耕栽培を始めたい人は、挿し木から始めるか、ハイドロカルチャーですでに育てられている苗を買うのがよいでしょう。小さな苗であれば、土耕栽培から水耕栽培に移行することも可能です。
クロトンの水耕栽培の始め方
水耕栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。クロトンの生育期は5月〜10月の春から秋です。この時期であればいつでも行えますが、できれば真夏を避けた、生育初期の5月下旬~7月が最適です。冬は剪定された親株も成長が止まるため、ダメージがおおきいので避けましょう。
挿し木から始める(水挿し)
剪定した茎をつかった、挿し木の水栽培(水挿し)で発根させる方法について説明します。クロトンの枝を切ると、白い樹液が流れ出てきます。これは毒性があり皮膚にかゆみなどの炎症がおきることがあるので、樹液には触らないこと。剪定の際には手袋をしましょう。
さし木の準備
挿し木にする枝は、日当たりがよい場所で育った、元気な若い枝を使います。すべてが発根するとは限らないので、できれば複数用意しましょう。
枝を先端から10㎝ほどの長さにカットします。樹液は水でよく洗い流します。上部の葉を2~3枚残して、下葉を取り、上葉も大きなものは半分程度にカットします。水に浸ける部分の切り口はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。反対側からも切り返しておきます。
準備するもの
- クロトンの挿し穂
- 透明な容器(枝が倒れない高さのもの。花瓶やペットボトルなどでも可)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
発根促進剤について
生命力の強いクロトンは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根促進剤を使うと早く発根します。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 準備したクロトンの挿し穂を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 明るい日陰で室内で管理しましょう。1か月程度で新しい根っこが生えてきます。
- 新芽がでて根が十分に発根したら、そのまま水耕栽培に移行するか、ハイドロカルチャーや土に植え替えて育てることもできます。
ポット苗から始める場合
ホームセンターや100均などで、クロトンの苗は手に入れることができます。ポット苗と呼ばれる小さなものから、水栽培を始めましょう。あまり大きなものは、水栽培にすると根からうまく水を取り込めずに枯れてしまう場合がありますので、その場合は挿し木から発根させて水栽培を始めましょう。
手順
- クロトンのポット苗は、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- ポットから苗を取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
クロトンの水耕栽培の植え替えの手順
準備するもの
- 水挿しで発根したのクロトン or根を洗いしたクロトンの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
クロトンのハイドロカルチャーへ植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボール(レカトン)という丸い発泡煉石を使用したり、セラミス、ゼオライト等を使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
培地を使わず水だけで育てることもある程度までは可能ですが、寒さに弱いクロトンは、室温が下がると水温も下がり温度管理がしにくくなります。できれば植物を固定できるハイドロカルチャーでの栽培がおすすめです。水耕栽培にこだわらないのであれば、土に植え替えたほうが大きく成長します。
小さな苗を直接ハイドロカルチャーへ植え替える方法もありますが、土で育った根は水耕栽培にうまく移行できないことがあるため、できれば上記の水栽培で水耕栽培用の根を発根させてから移行させましょう。
準備するもの
- 水挿し、水栽培で発根したクロトンの苗
- ハイドロボールなどの人工石(ハイドロボールは事前に水洗いしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- 苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
クロトンの水耕栽培の育て方
クロトンの基本情報
栽培を始める前に、クロトンのことを知っておきましょう。植物を育てるときに、植物のルーツや自生する環境などを知ると、植物がどんな環境を好むか知ることができ栽培しやすくなります。
クロトンは別名クロトンノキ、ヘンヨウボクとも呼ばれる常緑低木です。多くの品種がありますが、カラフルな葉色とさまざまな形の葉が美しく、南国ムードあふれる観葉植物として人気があります。
沖縄ではとてもポピュラーな植物で、熱帯が原産のため暖かい気候を好みます。寒さには弱いため冬は室内で、10℃以下にならない場所で冬越しします。葉の色の美しさを維持するには、日光がとても大切です。なるべく日当たりの良い場所で管理しましょう。冬の温度管理がしっかりできれば栽培するのも難しくはありません。
学名 | Codiaeum variegatum |
---|---|
属名 | トウダイグサ科クロトンノキ属 |
原産地 | マレー半島や太平洋諸島、インド東部 |
樹高 | 10~200cm |
生育適温 | 20~30℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「妖艶」「艶っぽい」 |
品種
クロトンは葉の形状により、広葉系、細葉系、鉾葉(ほこは)系、ラセン葉系、飛び葉系などに分類されます。一番多いのは広葉系の品種です。いくつか人気の品種について説明します。
品種 | アケボノ | リュウセイ | エクセレント | キンセンコウ | グリーンベル |
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特徴 | 広葉系の品種 新芽は黄色く、だんだんと赤から緑色に葉色がかわります。 他の品種より少し寒さに弱い | 細葉系の品種 緑色の葉に黄色い斑が入る | 鉾葉系の品種 黄色と赤のコントラストが美しい | ラセン葉系の品種 葉がらせん階段のようにねじれた葉が特徴 緑色地の葉に黄色の斑が入る | 飛び葉系品種 葉が空中に浮いているように見える 葉の先にベルをつけたように見える |
容器
水栽培は、透明な容器であれば根も観察できます。コップや空き瓶、花瓶などを使って育てるのがおすすめです。ただし、肥料を与えると藻が発生しやすいので注意しましょう。
ハイドロカルチャーでは、穴が開いていない容器なら水位計を使えばどんな器にも植え付けが可能です。内鉢にハイドロカルチャー専用の栽培ポットに植え付けしてから、お気に入りの外鉢に植え付けると水位計がセットする場所もあり、植え替え時も簡単です。水やりが心配な人は、自動給水鉢などもあります。
栽培環境
クロトンはできるだけ日当たりの良い場所で管理しましょう。日光が足りないと鮮やかな葉色を保てません。鉢植えなどでは春から秋までは直射日光に育てますが、水耕栽培の場合は真夏の直射日光は、容器内の水の温度が上がりすぎてしまう危険があるため、明るい日陰で管理するとよいでしょう。
生育適温は20℃~30℃と比較的暖かい場所を好みます。冬は暖房の風が当たらない室内の暖かい場所で管理しましょう。10℃以上で冬越しは可能ですが、葉が落ちないように育てるには15℃以上が理想的です。冬は窓際に置いておくと、夜は急激に冷えることもあるので注意してください。
水やり・水の交換
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
乾燥が苦手なので、一年を通して葉水を与えましょう。葉水はハダニなどの害虫予防にもなります。冬は乾かし気味で育てると寒さに強くなります。室内で暖かい環境で育てられる場合は生育期と同様の管理を行います。
ハイドロカルチャーの水やり
植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。クロトンは、春から秋は生育期で、冬は休眠期です。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いので、水やりは水がなくなってから2日~3日ほど待ってから与えましょう。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。
水の量は生育期は鉢の5分の1まで、冬の休眠期は鉢底1cm程度、ハイドロボールを湿らせる程度でもOKです。葉水は1年を通して行いましょう。冬は暖かい時間に葉水を生育期より少なめに、与えましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
水耕栽培で育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、水耕栽培では水耕栽培用の肥料を使いましょう。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。ハイドロカルチャーでは、容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
野菜などの水耕栽培にもよく使われるのは、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。ハイドロカルチャーには、肥料ではないですが、根腐れを防止し栄養剤としての効果がある「イオン交換樹脂栄養剤」や、薄めず使える活力剤なども使えます。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
クロトンは萌芽力が強いのでさし木で手軽に増やせます。とり木や株分けでも増やすことができます。幼苗の頃と葉色がかわったり、同じ品種でも葉色などが変わるのでぜひお気に入りの品種を見つけて育ててみてください。
大鉢に育てるのであれば、土耕栽培がおすすめですが、植え替えなどの手間を減らしたいのであれば、肥料を少なめにしてハイドロカルチャーで育てるのがおすすめです。
手軽に始めるならダイソーなどの100均でも見かけるので、そこから始めてみるのもよいでしょう。インターネットなどではハイドロカルチャー用の苗も販売されています。すでにハイドロボールに植え付けられているものや、水やりやすい鉢や水位計などがセットされているものもあります。苗から育てたいのであればこちらもおすすめです。
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