コーヒー豆を収穫できるコーヒーの木は、観葉植物としても人気があり、ハイドドロールなどを使ったハイドロカルチャーでも栽培できます。この記事では、コーヒーの木の挿し木や苗から始める水耕栽培の方法や、ハイドロカルチャーへの植え替え、育て方についてわかりやすく説明します。
コーヒーの木の基礎知識と水耕栽培を始める時期
コーヒーの木の特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
コーヒーの木は、コーヒー豆が収穫できる常緑低木で、観葉植物として販売されているのは幼木です。つややかな葉が特徴で、実をつける成木は日が当たらないと上手く育ちませんが、幼木は耐陰性も高いので室内で育てる観葉植物としても人気があります。生育適温は20℃~25℃、寒さに弱く10℃以下になると枯れてしまうので、冬は対策が必要です。
学名 | Coffea arabica |
属名 | アカネ科コーヒーノキ属 |
原産地 | 熱帯アフリカ東部、エチオピア |
樹高 | 5㎝~300㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「一緒に休みましょう」 |
水耕栽培を始める時期
コーヒーの木は、挿し木か小さな苗であれば植え替えから水耕栽培を始めることができます。
水耕栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。コーヒーの木の生育期は4月~10月。真夏を除けば生育期であればいつでも行えますが、さし木や植え替えは生育初期の5月~6月が適期なのでこの時期に始めると失敗が少ないでしょう。
コーヒーの木の水耕栽培の準備
コーヒーの木は種まきや挿し木、とり木で増やします。水耕栽培するコーヒーの木は、挿し木で水挿しで増やしましょう。また小さなポット苗から水耕栽培に移行することもできます。
挿し木で始める場合
コーヒーの木の挿し木に使う枝は、側枝の枝は、横に這う性質があるため、できれば主枝の天芽を使いましょう。
- 主枝を先端から10㎝程度、茎節が3~4節ほどでカットします
- 下の葉はすべてカットし、葉っぱは、蒸発を防ぐため半分ほどにハサミでカットしておきましょう
- 水に差す部分は、斜めにスパッと切っておきましょう。吸水性があがります。
ポット苗から始める場合
ホームセンターや100均などで、コーヒーの木の苗は手に入れることができます。ポット苗と呼ばれる小さなものから、水栽培を始めましょう。あまり大きなものは、水栽培にすると根からうまく水を取り込めずに枯れてしまう場合がありますので、その場合は挿し木から発根させて水栽培を始めましょう。
手順
- コーヒーの木のポット苗は、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- ポットから苗を取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
コーヒーの木の挿し木の手順
それでは、準備できた挿し木(挿し穂)を使って水挿しの手順を説明します。水挿しでは発根させてから水耕栽培平行します。
準備するもの
- コーヒーの木の挿し穂
- ハサミ
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK。ある程度の高さがあってドラセナを支えられるもの)
- メネデール(発根促進剤なくても可)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 剪定したコーヒーの木の挿し穂を入れます。2㎝~3㎝ほど水につかるまで入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 2週間程度は明るい日陰や半日陰の室内で管理しましょう。2~3週間程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャー(水耕栽培)や土に植え替えて育てます。
発根促進剤について
コーヒーの木は、元気な茎で生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
コーヒーの木の水栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根したコーヒーの木の苗 or 土を洗い流したコーヒーの木の苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石や、セラミス、ゼオライトなどを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
水栽培で育てたコーヒーの木は、水耕栽培で育てたいときには、ハイドロカルチャーに植え替えて育てるのがおすすめです。小さな苗や株分けした子株なども直接ハイドロカルチャーへ植え替える方法もありますが、土で育った根は水耕栽培にうまく移行できないことがあるため、できれば上記の水栽培で水耕栽培用の根を発根させてから移行させましょう。
準備するもの
- 水挿し、水栽培で発根したコーヒーノキの苗
- ハイドロボールなどの人工石(事前に水洗いしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- アグラオネマの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロボールは使う前に一度洗っておきましょう。ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
コーヒーの木の水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
コーヒーの木は、日当たりの良い場所を好みます。幼木の頃は耐陰性もありますが、日に当たらないと株が軟弱になったり、徒長したりするため、できるだけ窓辺の明るい場所で育てましょう。水耕栽培では、直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。
コーヒーの木は熱帯が原産地ですので耐寒性は強くありません。特に冬場は昼間は日差しの当たる窓辺に置いたままにしておくと、夜は気温が下がり寒くなります。夜間は部屋の中央に移動し、温度が10℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。またエアコンの風は、葉が乾燥するため当てないようにしましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水はできれば2日~3日に1回、最低でも週に1回程度交換しましょう。気温が高くなると水が濁るので濁ったら、水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。生育期には葉水も回数多く与えます。
水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、乾かし気味に育てましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、水耕栽培では水耕栽培用の肥料を使いましょう。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
野菜などの水耕栽培にもよく使われるのは、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。ハイドロカルチャーには、肥料ではないですが、根腐れを防止し栄養剤としての効果がある「イオン交換樹脂栄養剤」や、薄めず使える活力剤なども使えます。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
つややかな葉が美しいコーヒーの木は、大きく成長させたいなら土に植え替えて育てましょう。ハイドロカルチャーでは、肥料を控えて育てることで生育を押さえコンパクトに育てることができます。
水耕栽培は、土や病気の心配も少なく手入れも簡単です。初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。ハーブなどは収穫も楽しめます。家の中にグリーンがあると癒されます。ぜひこの記事を参考にしてコーヒーの木の水耕栽培を始めて、おしゃれにお部屋に飾ってみてください。
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