濃い緑の葉に網目状に赤や白の模様がはいるフィットニアは、その模様からアミメグサとも呼ばれます。弱い光を好むフィットニアは室内で育てる水耕栽培でも育てることができます。
この記事では、剪定したフィットニアの茎や、株分けしたフィットニアを使った水耕栽培の手順やハイドロカルチャ―への植え替え、育て方のポイントなどを初心者の方にもわかりやすく説明します。
フィットニアの水耕栽培について
フィットニアの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
フィットニアはペルーが原産のほふく性の常緑多年草で、緑色の葉に赤色や白色の葉脈が入り、その模様が網目のように見えることから、網目草(アミメグサ)とも呼ばれます。草丈は20cm~30cmほどとコンパクトで、小さな鉢にこんもりと育てたり、ハンギングなどにも仕立てることができます。
熱帯が原産のため、高温多湿を好み、寒さと乾燥が苦手です。生育適温は20℃~30℃で、冬越しには10℃以上必要です。強い光にあたると葉焼けするので、一年を通して室内の明るい半日陰で管理し、こまめに葉水を与えて育てます。
学名 | Fittonia albivenis |
属名 | キツネノマゴ科アミメグサ属 |
原産地 | ペルー |
樹高 | 20cm~30cm |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「デリケートな心」「羨ましい」「羨望」 |
フィットニアの品種
銀白色の網目が入るシロアミグサ、暗緑色の葉に赤い網目が入るベニアミメグサの他、園芸品種やその改良品種が多くあります。
品種名 | ホワイトエンジェル | サニーイエロー | サンフレーム |
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概要 | |||
特徴 | 緑色の葉に白い網目模様が入る品種 | 黄緑色の葉に白い網目が入る。葉が小さめ | 暗緑色の葉に赤い網目が入る |
フィットニアの水耕栽培の始め方と時期
フィットニアの水耕栽培は、株分けと挿し木から始めます。小さな苗であれば、植え替えから始めることもできます。
水耕栽培を始める時は、植物の生育期にはじめるとよいでしょう。フィットニアの生育期は5月~10月。生育初期にはじめると、その後の生育がスムーズなので、株分けの適期は5月~6月、さし木の適期は、6月~7月です。
フィットニアの苗の準備
水耕栽培を始める前に、まずはフィットニアの苗を準備しましょう。株分けと挿し木から始められますが、古い株は生育が悪くなるため、株分けより挿し木がおすすめです。
剪定した茎を使う場合
フィットニアの苗から挿し木をする場合は、元気の良い若い芽を選んで先端から7㎝~8㎝にカットしてさし芽にします。一番上の葉だけ残し、下葉は切り落とします。一番上の葉が大きいようなら蒸散を防ぐために半分に切り取ります。切り口は斜めにスパッときって断面を広げます。すぐに水に浸けるので先に器に水を入れておきましょう。
株分けした子株を使う場合
鉢がいっぱいになったら、植え替えが必要です。植え替え時に株分けして、一部を水耕栽培で育ててみましょう。小さな苗を植え替える時も、同様の方法で土を洗い流しておきましょう。
株分けの手順
- 植え替える鉢植えのフィットニアは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からフィットニアを取り出し、根から土をほぐして古い土を1/4ほど落とします。
- ハサミで株を2~3株にわけます。
- 水栽培に使う株は、根を水でよく洗い土を落とします。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
フィットニアの水挿しの手順
それでは、準備できた苗を使って水挿しの手順を説明します。
準備するもの
- 剪定した茎
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK)
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- フィットニアのさし芽を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 1週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。7日~10日程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培(水耕栽培)で育てましょう。
発根促進剤について
フィットニアは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
フィットニアの水栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根したフィットニアの苗 or 株分けして土を洗い流したフィットニアの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
水栽培で育てたフィットニアは、水耕栽培で育てたいときには、ハイドロカルチャーに植え替えて育てるのがおすすめです。小さな苗や株分けした子株なども直接ハイドロカルチャーへ植え替える方法もありますが、土で育った根は水耕栽培にうまく移行できないことがあるため、できれば上記の水栽培で水耕栽培用の根を発根させてから移行させましょう。
準備するもの
- 水挿し、水栽培で発根したフィットニアの苗
- ハイドロボールなどの人工石(事前に水洗いしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- アグラオネマの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロボールは使う前に一度洗っておきましょう。ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
フィットニアの水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
フィットニアは、直射日光に当てると葉焼けを起こします。年間を通して室内の明るい半日陰で管理しましょう。
生育期の春から秋は、風通しのよい半日陰か明るい日陰で管理し、冬は寒さに弱いので明るい窓際などの室内で、10℃以下、できれば15℃以上にならないようば場所で管理しましょう。窓際は夜になると急激に温度が下がるので注意が必要です。生育適温は20℃~30℃です。
水やり
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
またフィットニアは空中湿度を好みます。葉水は1日に2~3回与えて空中湿度を上げて育てます。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。葉水を1日2回~3回与えましょう。
水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、乾かし気味に育てます。葉水はつねに与えて育てましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、ハイドロカルチャーに最適な肥料は液体肥料です。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、水耕栽培用の肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。植え替えは5月~6月が適期です。フィットニアは株が古くなると生育が悪くなるので、生育が悪くなってきたら挿し木をして株を更新するとよいでしょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
フィットニアは種類も豊富で、最近では小さなものならダイソーなどの100均でも手に入る手軽な観葉植物です。しかし、熱帯の植物の中でも寒さに弱く、高い湿度を好むため、冬越しは難易度が高い植物です。寒さに当てると一気にかれてしまうことも。温度と湿度に気をつけて管理しましょう。
挿し木は比較的簡単に発根するので、春にはいくつか作っておくと安心です。また1本ではなく、鉢に複数植えるとこんもりと育てることができます。ぜひ好みのフィットニアを見つけて水耕栽培で育ててみてください。
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