つやのある葉美しいベンジャミンは、耐陰性もあり室内で育てる観葉植物として人気があります。生育が旺盛なので、剪定した枝から水挿しで増やすこともできます。
この記事では、ベンジャミンのさし木の水栽培(水挿し)や植え替えから始めるの水耕栽培の方法や、ハイドロカルチャーでの育て方の基本などをわかりやすく説明します。
ベンジャミンの水耕栽培について
ベンジャミンの基本情報
栽培を始める前に、ベンジャミンのことを知っておきましょう。植物を育てるときに、植物のルーツや自生する環境などを知ると、植物がどんな環境を好むか知ることができ栽培しやすくなります。
ベンジャミンは別名ベンジャミンゴムノキ、フィカスベンジャミナとも呼ばれるゴムの木の仲間です。ゴムの木の仲間としては葉は小さく、光沢のある卵型の葉が特徴です。斑入りの品種や、葉がカールする品種など多くの品種があります。
枝がやわらかく、どこからでも芽がでるので好きなところで切って、樹形を整えることができるので大鉢にもミニサイズにも仕立てやすいです。生育温度は20℃~30℃、寒さには弱いので5℃以上、斑入り品種は10℃以上で管理しましょう。生育が旺盛なので栽培がしやすく、ハイドロカルチャーなどの水耕栽培でも育てることができます。
学名 | Ficus benjamina |
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属名 | クワ科フィカス属 |
原産地 | インド、東南アジア |
樹高 | 10~200cm |
生育適温 | 20℃~30℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「信頼」「結婚」「友情」「永遠の愛」 |
品種
品種名 | ベンジャミン バロック | ベンジャミン スターライト | ベンジャミン リッチ | ベンジャミン ゴールデンプリンセス |
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概要 | ||||
特徴 | 小さな葉がカールする品種 ベンジャミンの中では栽培難易度が高め | 緑色の葉に大きな乳白色の斑が入る品種 成長が遅めで、寒さに弱い | 濃い緑色の葉が美しい品種。 斑の入らない品種で、ベンジャミンとして売られている品種はこれが多いです。 | 葉っぱに黄緑色の斑が入る品種。 スターライトのように白い斑が入ることもあります。 |
ベンジャミンの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
丈夫で耐陰性もあるので室内で育てる水耕栽培でも育てることができます。ハイドロカルチャーなど土の代わりとなる培土を使って育てるのがおすすめです。ハイドロカルチャーでは、土より生育が遅くなるのでコンパクトに育てたい人にはおすすめです。またベンジャミンは水栽培でふやすのは簡単ですので、水栽培(水挿し)で発根した後に土に植え替えることもできます。
ベンジャミンの水耕栽培を始めたい人は、挿し木から始めるか、ハイドロカルチャーですでに育てられている苗を買うのがよいでしょう。小さな苗であれば、土壌栽培から水耕栽培に移行することも可能です。
ベンジャミンの水耕栽培の始め方
水耕栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。ベンジャミンの生育期は4月〜10月の春から秋です。この時期であればいつでも行えますが、できれば真夏を避けた、生育初期の5月~7月頃が最適です。冬は剪定された親株も成長が止まるため、ダメージがおおきいので避けましょう。
挿し木から始める場合(水挿し)
剪定した茎をつかった、挿し木の水栽培(水挿し)で発根させる方法について説明します。
さし木の準備
挿し木は、枝の部分を使ってさし芽にします。葉の部分、葉柄では新芽がでる生長点がないためさし木には使えないので注意しましょう。さし木にする枝は、当たりの良い場所で育った苗の枝で、元気な充実した枝を選びましょう。
枝は、節が3節~4節ほどついている状態で、10㎝から15㎝に切り分けます。一番上部の葉を2枚だけ残し、下の葉は切り取ります。残した葉からの蒸散を防ぐため、上部の葉が大きければ、半分から3分の1残して切り取ります。切り口はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。反対側からも切り返しておきます。切った際に白い樹液がでてきます。これに触れるとかぶれたりすることがあるので、手袋などをして触れないようにて洗いながします。
準備するもの
- ベンジャミンの挿し穂
- 透明な容器(茎が倒れない高さのもの。花瓶やペットボトルなどでも可)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
発根促進剤について
生命力の強いベンジャミンは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- ベンジャミンの挿し穂を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 明るい日陰で室内で管理しましょう。2週間~1か月程度で新しい根っこが生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや土に植え替えして育てましょう。
鉢植え(苗)から始める場合
ベンジャミンは、土で栽培されているポット苗がダイソーなどの100均でも見かけることがあります。少し弱っている苗でも水栽培で復活させれることもあります。
手順
- 鉢から苗を取り出します。
- 竹串などでつついて根鉢を崩し、古い土を落とします
- 根を水で洗い流して、土を良く落とします
- 傷んでいる根や長すぎる根は、カットします。
- 日陰で根を乾かしておくと、病気を防ぐことができます。
水耕栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根したベンジャミンの挿し穂 or 土を洗い流したベンジャミンの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへ植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
培土を使わず水だけで育てることも、ある程度の大きさまでであれば可能ですがベンジャミンは、背丈が大きくなるためハイドロカルチャーでの栽培がおすすめです。水耕栽培にこだわらないのであれば、土に植え替えたほうが大きく成長します。
準備するもの
- 水挿しで発根したベンジャミンの挿し穂 or 水耕栽培で育てた苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- 苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ベンジャミンの育て方
容器
水栽培は、透明な容器であれば根も観察できます。コップや空き瓶、花瓶などを使って育てるのがおすすめです。ただし、肥料を与えると藻が発生しやすいので注意しましょう。
ハイドロカルチャーでは、穴が開いていない容器なら水位計を使えばどんな器にも植え付けが可能です。内鉢にハイドロカルチャー専用の栽培ポットに植え付けしてから、お気に入りの外鉢に植え付けると水位計がセットする場所もあり、植え替え時も簡単です。水やりが心配な人は、自動給水鉢などもあります。
栽培環境
基本は風通しの良い、明るい室内に置きましょう。窓辺などが適しています。ガラスの鉢で育てている場合は、夏の直射日光はガラス越しの光で中の温度が上がってしまう心配や葉焼けすることもあるので避けましょう。
ベンジャミンは耐陰性もあるので、日陰でも育ちますが、本来は日当たりの良い場所を好みます。日当てないとヒョロヒョロと徒長してしまうこともあります。春から秋の生長期はカーテン越しの光が当たる、明るい場所で管理しましょう。冬は窓際で日が当たるように育てます。
寒さが苦手です。冬は窓辺に置いておくと夜間に急激に寒くなりますので、窓辺から部屋の中央に移してあげましょう。冬は斑入りは10℃以下、その他の品種は5℃以下にならないようにして冬越します。
水やり・水の交換
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
乾燥が続く時には夕方に霧吹きなどで、葉水を与えてあげましょう。葉が落ちるのは乾燥が原因のことが多いので、葉水の回数を増やします。
ハイドロカルチャーの水やり
植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。ベンジャミンは、春から秋は生育期で、冬は休眠期です。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるので通常の観葉植物でも、水がなくなってから2日~3日ほど待って水やりをします。生育期には、水やりはハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いので、3日~5日ほど待ってから与えましょう。水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。
水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから3~5日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。休眠期は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。冬に葉が落ちる場合は、空気の乾燥が原因のことが多いので、葉水の回数を増やしましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、水耕栽培では水耕栽培用の肥料を使いましょう。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
ベンジャミンは「幸運を呼ぶ木」とも呼ばれ、風水でもよい効果があるといわれています。インテリアグリーンとしても昔から人気が高く、フェイクグリーンでもベンジャミンはよく使われています。仕立て方も様々で、苗木を複数植え付けて、ねじって仕立てる模様木仕立ても人気があります。
生育が良いので大鉢に育てるのであれば、土壌栽培がおすすめですが植え替えなどの手間を減らしたいのであれば、肥料を少なめにしてハイドロカルチャーで育てるのがおすすめです。
ハイドロカルチャー用の苗も販売されています。すでにハイドロボールに植え付けられているものや、水やりやすい鉢や水位計などがセットされているものもあります。苗から育てたいのであればこちらもおすすめです。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。
品種名から栽培方法を探すことができます。