カラテアには多くの種類がありますが、美しい葉に個性的な模様が入る品種が、多くあり観葉植物として人気があります。カラテアは、パキラやモンステラよりは難易度は上がりますが、水耕栽培でも育てることができます。
この記事では、カラテアの水耕栽培について、その始め方の手順や水苔への植え替え、上手に育てるポイントなどをわかりやすく説明します。
カラテアの水耕栽培について
水耕栽培とは
水耕栽培は、土を使わず「水で栽培をする方法」を指します。水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、観葉植物だけでなく、野菜や果物などのさまざまな植物を衛生的に育てることができます。
プロの農家だけでなく、家庭園芸や家庭菜園でも人気の方法で、室内やベランダで収穫野菜を楽しんだり、栽培キットなども販売されています。
ハイドロカルチャーも土を使わず「水で栽培をする方法」の一つです。土の代わりにハイドロボールなどの無菌の培土を使い、育てます。水だけで育てるより、植物を固定することができ、空気の層があるため根が育ちやすいという特徴があります。観葉植物によく使われています。
カラテアの基本情報
カラテアはクズウコン科の常緑多年草。熱帯が原産なので、暑さには比較的強いですが、寒さが苦手。高温多湿を好み、直射日光が苦手です。耐陰性もありますが日に当たらないとヒョロヒョロと徒長することもありますので、明るい日陰で育てるとよいでしょう。
生育が旺盛なので、新芽がでて株が増えるため株分けをして増やします。過湿を好み、寒さに弱いので冬は特に葉が枯れたり、丸まったりしやすくなるため温度と湿度管理が大切です。品種によって栽培の難易度もかわるので、初心者の人はなるべく育てやすい品種を選びましょう。
学名 | Calathea |
---|---|
属名 | クズウコン科カラテア属 |
原産地 | 熱帯アメリカ |
樹高 | 10㎝~150m(品種による) |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「飛躍」「あたたかい心」「強い思い」 |
カラテアの品種
品種 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
カラテア・マコヤナ | カラテアの代表品種。和名はゴシキヤバネショウ。クジャクの羽のような光沢のある葉が特徴。 比較的に育てやすい品種 | |
カラテア・ランシフォリア | 別名インシグニス。葉は細長く、鳥の羽のような独特の模様で、葉裏は赤紫色。 カラテア初心者向けの育てやすい品種です。 | |
カラテア・フレディ | ミントグリーンの葉に、緑の模様が入る落ちついた雰囲気の品種。白い花が咲きます。育てやすい品種です。 | |
カラテア・オビフォーリア | 丸い明るい鮮やかなグリーンの葉に、シルバー色の筋模様が入ります。葉が大きめなので、乾燥に弱く水耕栽培では少し難易度が高い品種です。 | |
カラテア・ホワイトフュージョン | 緑色の葉に白い斑が美しい品種。その見た目の美しさから人気の品種ですが、葉に亀裂が入りやすく、先祖返りで斑が消えるなど、初心者には難しい品種です。 |
水耕栽培の始め方と時期
カラテアの水耕栽培は株分けか、小さな苗であれば植え替えから始めます。株が大きいものを土から水耕栽培に植え替えると、うまく根付かないこともあるので、できれば株分けして複数作ると安心です。
水耕栽培を始めるには植物の生育期がおすすめ。植え替え時期と同じ、5月~7月が適期です。苗を手に入れた時期が適期でない場合は、そのまま土壌栽培で適期まで育ててから始めましょう。ポット苗などであれば、一回り大きな鉢に植え替えて育てるとよいでしょう。
カラテアの苗の準備
水耕栽培を始める前に、まずはカラテアの苗を準備しましょう。
株分けの手順
カラテアは成長すると親株の横から子株(新芽)がでて増えていきます。株をいくつかに分けて植え替えしていきます。
- 植え替える鉢植えのカラテアは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からカラテアを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- ハサミなどで株を2~3株にわけます。
- 水栽培に使う子株は、根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
植え替えの手順
小さな苗であれば、株分けせずそのまま植え替えます。
- 植え替える鉢植えのカラテアは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からカラテアを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
カラテアの水耕栽培の手順
準備するもの
- 根を水洗いしたカラテアの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
- 新しい根がでるまでは、半日陰で管理し、こまめに葉の両面に葉水をあたえましょう。
水苔への植え替え
観葉植物はハイドロボールなどを使ったハイドロカルチャーが人気ですが、カラテアは水苔用土で育てるのがおすすめです。小さな苗や株分けした株なども直接水苔へ植え替える方法もありますが、土で育った根は水耕栽培にうまく移行できないことがあるため、できれば上記の水栽培で水耕栽培用の根を発根させてから移行させましょう。
準備するもの
- 水挿し、水栽培で発根したカラテアの苗
- 水苔
- 素焼き鉢
手順
- 水苔は水でもどしておきます。
- 水苔を、カラテアの根に巻き付けます、鉢より少し大きめなるようにします。
- 鉢に押し込むようにして、苗を植えつけます。鉢の上部は2cmほど空くようにし、鉢を持ち上げても苗が落ちないぐらいに水苔は入れます。
カラテアの水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
カラテアは、直射日光に当てると葉焼けを起こします。耐陰性もあるので日陰でも育ちますが、ずっと日陰に置いておくと株が軟弱になることがあります。
生育期の4月~9月は明るい日陰で管理し、秋から冬は寒さに弱いので明るい窓際などの室内で、10℃以下にならないようば場所で管理しましょう。窓際は夜になると急激に温度が下がるので気をつけましょう。
冬越しのポイント
熱帯が原産のカラテアは、寒さと乾燥が苦手です。生育適温は20℃~30℃、湿度は60%以上が理想的です。10℃以上で冬越しは可能ですが、なるべく暖かい場所で管理しましょう。葉水はこまめに与えるのはもちろんですが、加湿器などを使って部屋の温度を上げてあげましょう。
ビニールなどを被せて簡易的な温室を作ってあげると、湿度と温度が保てるのでおすすめです。ビニール袋には数か所空気の穴を空けて置きましょう。観葉植物用の温室や、発砲スチロールなどに鉢を入れるだけでも温度は上がります。簡易的な温室なら見た目もおしゃれです。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
またのカラテアは乾燥を嫌います。空中湿度が低いと葉が丸まったり、枯れたりするので葉水を与えて育てます。葉水は葉の表だけでなく裏にもしっかり与えます。基本的に葉水は午前中に与え、夜には葉が乾いているようにしましょう。夜に水が残っていると葉にしみができたり、変色してそこから枯れてしまうので、水が残っている場合はキッチンペーパーなどでふきとってあげましょう。
水苔栽培の水やり
水苔で植えつけた場合は、水やりは水苔が乾いたら水やりします。水苔は表面が乾いても中が湿っていることがあるので、水のやりすぎには気をつけましょう。水苔で育てる場合も、葉水を与えて育てましょう。
夏は水やり、葉水をたっぷり与えましょう。秋からは回数を減らし、冬は控えめに与えます。生育温度が保てる場合は、水やりは通常通りに行います。
肥料
カラテアは生長期には肥料を使って育てます。水栽培は土から栄養が取れないため、水耕栽培用の肥料を使って育てましょう。水耕栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めたり、粉末状のものを水に溶かして使います。春から秋まで月に1回ほど肥料を与えます。水の交換のときか、水苔で栽培する場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料や水草用メネデールなどがあります。活力剤は、元気がない時などにも使えます。
病害虫
カラテアはアブラムシやハダニの被害が多くあります。葉が乾燥するとハダニがつきやすいので、葉水は葉表だけでなく葉裏にもスプレーし、空中湿度を高くすることで予防できます。ハダニやアブラムシがついたときには、水で洗い流すか、布等で優しくふき取ります。殺虫剤も有効です。殺虫剤の使用が心配な人には、野菜やハーブなどにも使える植物成分が原料の殺虫剤もあります。
まとめ
カラテアは、土壌栽培で育てると1年に1度植え替えが必要なほどどんどん新芽がでて、大きな株になります。栽培は土の方が簡単ですが、水耕栽培でも育てることはできます。水耕栽培では、あまり大きく育ちません。鉢植えでも有機質の土を使わず、無機質の土でコンパクトに育てている人も多くいます。湿度に気をつけてまずは育てやすい品種から始めてみましょう。
夜になると、葉を閉じる就眠運動をするので、葉の動きを妨げないように容器は浅いものがおすすめですよ。
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