青汁でおなじみのケールは、栄養が豊富な健康野菜です。苦いイメージがありますが、収穫したてのケールはクセがなく食べやすいので、ベランダでも育てられるプランター栽培におすすめの野菜です。
ここではケールのプランター栽培について、植え付けから収穫までの育て方について、初心者の人にもわかりやすく説明します。
ケールのプランター栽培の手順
植え付け時期になると、ケールの苗はJAやホームセンター、ECサイトなどで販売されます。少量であれば苗から始めるのが簡単です。タネから育苗した苗は、本葉が5枚~6枚程度になったらプランターに植え付けます。
用意するもの
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2苗の植え付け
植え付ける苗の根鉢よりひと回り大きな植え穴を空けます。
ポットから苗を取り出し、植え穴に苗を植えつけて手で軽く押さえ、土と根鉢を密着させます。
定植したら、たっぷりと水を与えます。 - 手順3
- 手順4収穫
草丈50cm~60cm、葉が30cm~40㎝ほどになったら収穫できます。大きく育った外葉から順次ハサミで葉のつけ根から切り取って、収穫します。全部収穫せず、外葉からかき取り収穫すると、長く収穫できます。
ケールのプランター栽培の育て方
ケールの基礎知識
ケールはアブラナ科の二年草、キャベツやブロッコリーの祖先ともいわれ、キャベツの原種と似ており、葉はひらいたままで結球しません。栄養価が高い緑黄色野菜で、野菜の王様やスーパーフードと呼ばれています。
生育温度が18℃~25℃ですが、暑さ寒さにも比較的強く生育が旺盛で丈夫なので、キャベツの仲間のなかでも作りやすい野菜です。市販の苗からがより簡単ですが、育苗も難しくないので、手に入らない時は種からでも育てることができます。タネまきから収穫までは2ヵ月程度。外側の葉からかき取って収穫すると長く収穫が楽しめます。
作物名 | ケール |
---|---|
科目 | アブラナ科アブラナ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 20℃〜25℃ |
生育適温 | 18℃~25℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~7.0 |
育てやすさ | 簡単 |
品種
ケールには、苦みの少ない、葉の縁が縮れているカーリーケールや、青汁によく使われる、縮れのない大きな柔らかな葉のコーラル系ケール、小ぶりなシベリアンケールなどの種類があります。
品種名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
青汁用ケール | コーラル系ケール。 葉が大きく青汁以外にも炒めものに使えます。 | |
カリーノケール・ミスタ | 葉の縁が縮れるカリー・ケール。 苦味や青臭さがなく生のままサラダとして食べれます。 | |
カーボロネロ | イタリヤ野菜のカーボネロもケールの仲間です。 日本では黒キャベツといわれ、煮込み料理に使われます。 | |
切葉レッドケール | ベビーリーフ用の改良品種 プランターに直接種をまいて、葉が5cmほどになったら 収穫できます。 |
栽培時期
ケールは中間地・暖地では春まきと夏秋まきの2回の作型があります。寒冷地では夏まきが一般的です。タネから苗の植え付けまでは2週間程度、種まきから収穫までは2ヵ月ほどかかります。品種により種まきの時期は変わりますので、下記は目安です。種のパッケージに書かれている時期に種まきをしましょう。
地域 | 播種(種まき)時期 | 収穫 |
---|---|---|
寒冷地 | 5月~7月 | 7月下旬~11月上旬 |
中間地 | 3月~4月(春まき) 7月中旬~8月(夏秋まき) | 5月下旬~9月 10月中旬~12月 |
暖地 | 2月~5月(春まき) 7月~9月(夏秋まき) | 5月~10月 10月~翌年1月 |
容器・用土
ケールは深さ30㎝以上の深型プランターを使いましょう。鉢なら9号~10号を使う場合は、1株。横幅60㎝程度のプランターであれば、株間を30~40㎝ほどの間隔をとって苗を植え付ければ、2株栽培することができます。
用土は市販の元肥入りの野菜用の培養土が便利です。元肥が入っていない培養土を使う場合には緩効性肥料を施肥します。
栽培環境・水やり
ケールの生育適温は18℃~25℃と、比較的冷涼な気候を好みます。植え付け後は、日当たりのよい風通しの良い場所で管理しましょう。多湿になると病気が発生しやすいので、雨の多い時期は軒下などで雨が当たらないように監視りましょう。耐寒性が強く雪や霜にも耐えることができるため冬越しは屋外でも可能です。
植え付け後、2~3日はかん水をしてしっかり株を定植させます。乾燥が苦手なので、その後も水やりは表面がかわいたら底から水がでるまでたっぷりと与えましょう。
肥料
ケールは収穫しながら育てる場合は肥料を与えながら育てる必要があります。プランター栽培では肥料が水やりと同時に流れ出てしまうことが多いので、しっかりと元肥と追肥を行います。
元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は植え付け後3週間後から始めます。1株あたり化成肥料を10g程度、株の周りにばらまき土と軽くまぜ、軽く土寄せしておきます。その後は2週間に1度同様に肥料を与えましょう。収穫期間が長いので肥料切れをおこさないようにすることがポイントです。液体肥料を週に1度、水やり代わりに与えてもよいでしょう。
固形肥料には、キャベツの専用肥料や、野菜用につくられた肥料、ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や「マイガーデンベジフル」などはホームセンターなどでも買え、初心者の人にも使いやすい肥料です。
プランターでは液体肥料も便利です。住友化学園芸の「マイガーデン液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
支柱立て
品種により草丈が高くなるものもあります。株が大きく育ちすぎて傾きそうな場合は、支柱を立てましょう。株の横に支柱を1本立てて、茎と支柱を麻紐などで8の字に結んでおきます。根を傷つけないように気をつけましょう。
収穫
球の直径が2.5cm~3㎝ほどになったら収穫のタイミングです。プチヴェールは葉の大きさが5cm程度になったら収穫のタイミングです。下から順に収穫しましょう。
つけ根にハサミをいれてカットするか、手でもぎ取ることもできます。
病害虫予防
ケールはアブラナ科の野菜のため、アオムシ、ヨウトウムシ、コナガ、アブラムシなど害虫の被害に遭いやすいので、防虫シートなどをつかって害虫予防をしましょう。また冬期は、鳥害も受けやすいので注意が必要です。
日当たりや水はけが悪い場合、べと病、灰かび病、黒ぐされ病にかかりやすくなるため、風通しのよい場所で管理し、雨が多い時期には雨のあたらない軒下などで管理しましょう。
ケールの育苗(種まきから育てる場合)
ケールは、プランターに直まきも可能ですが、できればポリポットやセルトイなどで多めに育苗して、よりよい苗を選ぶと失敗が少なくなります。ここではポリポットでの育苗の方法について説明します。
用意するもの
- ケールの種
- ポリポット(直径9cm)
- 種まき用培土
- 新聞紙、寒冷紗など
手順
- 直径9㎝のポットに用土をいれ、指で3ヵ所くぼみをつけて、そこに1粒づつ種をまきます。
- 2㎜~3㎜程度覆土し軽く押さえて、たっぷり水やりをします。
- 発芽までは新聞紙や寒冷紗をかけて乾燥しないようにし、夏は高温にならないよう風通しのよい日陰で管理します。
- 双葉がそろったら3本に、本葉が2枚で2本に、本葉が3~4枚で1本に間引きます。
- 本葉が5枚~6枚になったら、プランターに植え付けします。
育苗のポイント
- 夏まき栽培では、高温期に育苗することになるため、風通しのよい日陰もしくは冷房の効いた室内で行いましょう。30℃以上になると徒長したり、病気にかかりやすくなります。
- 発芽したら、徒長しないように、すぐに新聞紙などを取り、日に当てて育てます。(夏は直射日光に当てない)
- 水やりは午前中に行い、夜は土が乾いているのが理想的です。
まとめ
ケールは、和名で「羽衣甘藍(はごろもかんらん)」「緑葉甘藍(りょくようかんらん)」ともよばれ、観賞用の葉牡丹もケールを品質改良されたものといわれます。青汁だけでなく、サラダや炒めものにも使えます。加熱すると甘みが増すので、スープやおひたしなどでもおいしく食べられます。
苦いイメージのあるケールですが、品種を選べば苦味がすくないものや、ベビーリーフ用に作られた品種もあります。畑では土を耕したり、畝を作ったりする手間がありますがプランターなら手軽に始められます。収穫したばかりのケールはクセがなく食べやすいのでぜひ、家庭菜園で育ててみてください。
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