東京や埼玉で栽培されている、のらぼう菜は江戸時代から栽培されている伝統野菜です。日持ちしないので、関東以外ではあまり見かけたことがないかもしれませんが、寒さに強く育てやすい野菜で、プランターでも育てることができます。
この記事では、種から始めるのらぼう菜のプランター栽培について、種まきから収穫までの手順や育て方の基本を、初心者の人にもわかりやすく説明します。
のらぼう菜栽培について
のらぼう菜の基礎知識
のらぼう菜はアブラナ科のナバナの一種です。見た目は、菜の花に似た見た目をしていますが、菜の花のような苦味やクセがなく、茎の部分は甘くアスパラガスのような、ほどよい歯ごたえが特徴的な春野菜です。
生命力が強いナバナの在来種なので、摘心しながら育てるとわき芽が次々とでてくるので長く収穫が楽しめます。冷涼な気候を好み、耐寒性が強いので、栽培は秋に種をまき、冬の寒さに当った後、春に収穫するのが一般的です。栽培期間は長いですが、栽培自体はそれほど難しくないので家庭菜園初心者の人でも栽培できます。
作物名 | ノラボウナ |
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属名 | アブラナ科アブラナ属 |
原産地 | 日本 |
発芽温度 | 18℃~22℃ |
生育適温 | 15℃~25℃ |
土壌ph | 6.0~6.5 |
栽培難易度 | 簡単 |
栽培時期
春はトウ立ちがしやすいため、秋に種まきや苗を植えつけて翌年の春に収穫します。種まきから収穫まで6カ月程度かかるので、定期的に肥料を与えながら育てます。低温期に育てることで病害虫の被害も少なくなります。
地域 | 播種(タネまき)時期 | 収穫時期 |
---|---|---|
寒冷地 | 8月~10月上旬 | 翌年4月~5月中旬 |
中間地 | 9月~10月 | 翌年3月下旬~4月 |
暖地 | 9月~11月中旬 | 翌年3月中旬~4月 |
のらぼう菜のプランター栽培の手順
のらぼう菜は、関東であれば市販の苗が販売されていることもあり少量であれば、苗を植えつけてもよいでしょう。播種(タネまき)からも発芽率もよく、育苗も難しくありません。プランターなら直まきして育てることができます。発芽温度が保てない場合などは、温度管理のしやすいポリポットなどで育苗してから育てましょう。
準備するもの
- のらぼうなの種
- 標準プランター
- 野菜栽培用の培養土
- 鉢底石
- 肥料
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2種まき
タネまきは、点まきで行います。
株間10~15cmになるよう間隔をあけて、指やペットボトルのフタをつかって深さ1cmのまき穴を作ります。
まき穴にタネを3粒~4粒まき、覆土をして手で軽く鎮圧します。
プランターの底からから水がでるまで水やりをします。 - 手順3間引き
発芽がして双葉がそろったら1回目の間引きをします。育ちの悪い苗や形の悪い苗を、根元から切り、1ヵ所に2本にします。
本葉が3枚~4枚になったら2回目の間引きをして1カ所につき1本にします。ハサミで切るか、そっと根を引き抜きます。間引き菜は食べられます。
- 手順4
- 手順5摘心・収穫
まずは頂花蕾を摘心を兼ねて収穫します。主茎にトウが立ち、蕾ができてきたら先端から10㎝ほどの花茎の部分を、手でポッキと折って収穫します。
頂花蕾を収穫すると、側枝がでてきて次々と収穫ができます。花が咲くと茎が固くなるので、蕾のうちに早めに収穫をしましょう。
のらぼう菜のプランター栽培の育て方
容器・用土
のらぼう菜は栽培期間は長いですが葉物野菜なので、深さはそれほど必要ありません。標準タイププランター(幅65×奥行20×高さ20 cm程度)なら3株ほど栽培することができます。
のらぼう菜は土壌酸度(Ph)6.0~6.5と弱酸性の土壌を好みます。プランターで育てる場合は、市販の元肥入りの野菜の培養土などが便利です。自分で配合する場合は、赤玉土6、腐葉土3、バーミキュライト1に配合します。そこに苦土石灰を用土1ℓ当たり1~2gほど混ぜます。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します
置き場所・環境・水やり
のらぼう菜は日当たりの良い風通しの良い場所で管理しましょう。日の当たらない場所で育てると、ひょろひょろと細い茎が伸びてしまう徒長が起きてしまいます。芽がでたらすぐに日の当たる場所で管理しましょう。またのらぼう菜は、発芽のときに光を必要とする好光性種子なので、タネをまいたら、覆土は厚くならないようにし明るい場所で管理しましょう。
水やりは、発芽までは土が乾かないように注意し、芽が出てからは土の表土が乾いたらプランターの底から水がでるまで、たっぷり与えます。寒さに強いのらぼう菜は、冬でも成長しますので冬にも水やりを忘れずに。暖かくなってきた昼間に与えましょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
のらぼう菜は、栽培期間が長いので追肥をしながら育てます。種をプランターに直播した場合は、追肥は3回が目安です。1回目は2回目の間引きの後、2回目はその後1か月後に行います。冬は生育が鈍るので肥料は控え、暖かくなる直前2月下旬~3月上旬に3回目の追肥を行います。苗を植え付けする場合には、植えつけてから1か月後と、春先の2回施肥するとよいでしょう。
標準プランターであれば、化成肥料20gを葉っぱにかけないように、土にばら撒いて、土と軽く混ぜ株元に土を寄せます。プランターなどでは元肥や追肥にも使えるハイポネックスジャパンの「いろいろな野菜用粒状肥料」や住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」などの野菜用の肥料を使うとよいでしょう。
病害虫
のらぼう菜は、アブラムシ類、ヨトウムシ、アオムシ、コナガ、カブラハバチなどの害虫が付きやすくなります。これらは食害により葉に穴を開けたり、株を弱らせたりします。またアブラムシはウイルスを媒介するため、病気を発生させるので見つけたらすぐに駆除しましょう。
また収穫の頃にはヒヨドリがのらぼう菜を好むため、鳥害も発生しやすくなります。できれば種まきから収穫までは防虫ネットをかぶせておくと安心です。
長雨にあたるとべと病や白さび病にかかりやすくなるので、春や秋の長雨の時期にはプランターを軒下などに移して育てるとよいでしょう。
種子の採取
のらぼう菜は、自家受粉のため交配の心配のないので、タネを収穫して来年また植え付けることができます。タネを取る場合は、1株残して花を咲かせてそのままサヤができるのを待ちます。サヤが茶色くなったら、刈り取って風通しの良い場所で乾かします。
サヤからタネを取り出して、瓶やビニール袋などにいれて冷蔵庫に保管しておきましょう。
まとめ
のらぼう菜は古文書に「闍婆菜(じゃばな)」として江戸自体の危機を救った野菜として載っている伝統野菜です。埼玉の比企地域では、「比企のらぼう菜」として復活させて特産化しています。栽培期間は長いですが、肥料と水やりだけで育つので、育てやすい野菜です。菜の花よりクセがなく苦みもないので食べやすいので、胡麻和えや、おひたし、炒め物など和食や洋食にも使えるのでぜひ家庭菜園で育ててみませんか。
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