夏野菜のズッキーニは実だけでなく花も食することができ、畑だけでなくプランターでも栽培が可能です。ここではズッキーニのプランター栽培について、種や苗から始める手順や、収穫までの育て方をズッキーニを初めて育てる方にもわかりやすく説明します。
ズッキーニのプランター栽培の手順（苗の植えつけ）
ズッキーニの苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどでも販売されます。少量であれば、ほしい品種が見つかれば市販のポット苗も便利です。葉がきれいで、新芽がしっかりしている、茎が徒長（ひょろひょと間延び）していないものを選びましょう。（品種は必ず確認してください）
準備するもの
- ズッキーニの苗（種から育苗したもの or 市販の苗）
- 大型プランター（深さ、直径30cm以上）
- 野菜用の培養土
- 鉢底石
- 肥料
手順
- 手順１プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順２苗の植えつけ
プランターの中央に、根鉢よりも大きめの植穴を掘って水を注ぎ入れる。
ポットから根鉢をこわさないように苗を抜き、穴に苗を植えつけます。
株元を軽く押さえ、たっぷり水やりをします。 - 手順３
- 手順４人工授粉
あまり実がならない時は、人工授粉をします。
雌花が咲いたら、その日の朝早くできれば9時頃までに人工授粉をします。
雄花を摘みとり、花びらを取り除いて雌花の中にある雌しべの柱頭に雄しべの花粉をこすりつけます。 - 手順５収穫
開花から4日～10日、長さ20cm～25cmになったら収穫のタイミングです。
つけ根をハサミで切って収穫します。
大きくなると実が固くなるので、早めに収穫しましょう。
ズッキーニのプランター栽培 育て方
ズッキーニの育苗（種まき）
ズッキーニの種まきは直まきでも可能ですが、高温を好むので、幼苗期の温度管理がしやすいポリポットでの育苗について説明します。
用意するもの
- ズッキーニの種
- ポリポット（4号 12cm）
- 培養土（元肥入りの野菜の培養土）
手順
- ポットに培養土をいれ、2か所、深さ1cmほどの穴を空けます。
- ひとつの穴に1粒づつ種を入れ、土をかぶせて手でかるく押さえます。
- タネをまいたら、たっぷり水やりをします。
- 双葉が開いたら、生育の良い方を残し、1本をハサミで切って間引きます
- 本葉が4枚～5枚になったら、植えつけます。
育苗のポイント
- カボチャの発芽温度は25℃～30℃は高めです。最低15℃以下にはならないように保温マットや寒冷紗、ホットキャップなどをつかって、低温から守ります。
- 発芽までは、タネが乾燥しないように気をつけましょう。水やりは午前中の暖かくなってきてからあげるとよいでしょう。
- 芽がでたら、すぐに日に当てて徒長しないように育てましょう。
- 種まきから発芽まで3日～7日、育苗期間は20日～30日程度です。
容器・用土
容器は、深さ30cm以上の大型プランターがよいでしょう。できれば横幅55cm程度の大型プランターがおすすめですが、スペースがない場合には直径30cm程度、12号の鉢でも育てることができます。横に広がって育つので、基本的には1つのプランターに1株植え付けます。
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用土は市販の元肥入りの野菜の培養土がよいでしょう。自分で配合する場合は、赤玉土6腐葉土3、バーミキュライト1の割合に苦土石灰を1ℓあたり1g、緩効性肥料を10g程度配合します。
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栽培環境・水やり
ズッキーニは日当たりが良く、風通しの良い場所を好みます。発芽温度・生育温度ともに高めなので育苗時はホットポットや苗カバーなどをすると発芽率や生育がよくなります。
育苗時期の水やりは、発芽までは、タネが乾燥しないように気をつけましょう。水やりは午前中の暖かくなってきてからあげます。植えつけ直後はたっぷり水を与え、その後は土の表面が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
ズッキーニは、生育初期に肥料が効きすぎると、葉ばかりがのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきやすくなります。ズッキーニは吸肥力が強いので、元肥は控えめにして実がついてからの追肥で実を大きく育てます。追肥は実が付いたら、2週間に1度追肥をします。化成肥料10g程度を株の周りにばらまいておきます。葉色を見て緑色が濃いようなら肥料は控えましょう。
肥料は化成肥料や、有機肥料、液肥も使えます。窒素分が多くなくリン酸が多いものがおすすめ。ハイポネックスの「今日から野菜 野菜の肥料」や住友化学園芸「マイガーデンベジフル」なども使えます。ズッキーニ用の肥料もあります。
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人工受粉
受粉はハチなどの虫が自然に行いますが、あまり実がならない場合には、人工受粉させます。先に雌花が咲きます。雌花と雄花の違いは、蕾の下がふくらんでいるかいないか。蕾の下がふくらんでいるほうが雌花です。
授粉は朝8時～9時に行いましょう。雄花を摘みとり花弁を取り除きます。雄しべ（葯）を当日咲いた雌花の柱頭に花粉を軽くなすりつけましょう。
収穫
開花から4日～10日、長さ20cm～25cmになったら収穫のタイミングです。実が25cm以上になると、実が固くなるため、収穫は適期に早めに行いましょう。
ズッキーニは実だけでなく、花も食べることができます。花ズッキーニは、開花前のつぼみの頃から開花直後まで。フリットや天ぷら、生でもたべることができます。
病害虫
ズッキーニは比較的病害虫に強い植物ですが、病気はうどんこ病、疫病、灰色カビ病などにかかりやすくなります。うどんこ病と間違えがちですが、ズッキーニの葉にある白い模様はズッキーニ特有の模様で、病気ではありません。模様が葉脈に沿っていれば問題ありません。葉を触ってみて粉がついたらうどんこ病の可能性が高いです。
予防には、日当たりの良い風通しの良い場所で育て、梅雨は雨のあたらない軒下などで管理するとよいでしょう。枯れた葉や雄花などは切り取って風通しをよくしておきます。
ズッキーニの葉が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。アブラムシ、ハダニ、ウリハムシ、コナジラミなどの害虫がつきやすいです。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
特に幼苗期は、ウリハムシの食害のダメージが大きくなるので、植えつけたら、防虫シートかけておくのが効果的です
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ズッキーニの栽培の基本情報
ズッキーニの基礎知識
見た目はキュウリ、食感はナスに似ていますがカボチャ（ペポカボチャ）の仲間です。カボチャと違うのは、完熟させず未熟果の実を収穫して料理に使います。1株で8本～10本程度収穫できます。育苗もそれほど難しくはありませんが、発芽温度が高めのため保温などの手間がかかります。プランターでは横に広がるので1株で育てるため、市販の苗を使うと簡単です。
β―カロテンやカリウム、ビタミンCやビタミンBが含まれ夏バテ防止に役立つほか、カロリーが低いのでダイエットの食材としても向いています。煮込み料理のラタトゥイユやパスタ、てんぷらなどにしてもおいしく、生でも食べれるのでさまざまな料理に使えます。
| 作物名 | ズッキーニ |
|---|---|
| 科目 | ウリ科カボチャ属 |
| 原産地 | 北米西部～メキシコ |
| 発芽適温（地温） | 25℃～30℃ |
| 生育適温 | 20℃～25℃ |
| 土壌酸度(pH) | 6.0～6.5 |
| 育てやすさ | 普通 |
ズッキーニの栽培時期
ズッキーニの栽培時期は、春にタネをまいて夏に収穫します。
| 地域 | 播種（タネまき）時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
|---|---|---|---|
| 寒冷地 | 4月下旬～5月中旬 | 5月中旬～6月 | 7月中旬～9月上旬 |
| 中間地 | 4月中旬～5月上旬 | 4月下旬～5月 | 6月中旬～8月下旬 |
| 暖地 | 4月～5月上旬 | 4月中旬～5月上旬 | 6月～8月上旬 |
ズッキーニの品種
ズッキーニには、緑色の円筒型をよく見かけますが、果皮が黄色のものや丸いたまご型の品種もあります。家庭菜園ではあまりスーパーなどで見かけない品種も作れます。
| 品種名 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| ダイナー |  | 果皮は濃緑で霜降りの斑が入る 多収で、栽培が簡単、家庭菜園向き |
| オーラム |  | 皮は濃黄色で多収穫。ダイナーの姉妹種 節間が極めて詰まるため、小スペースでの 栽培が可能。 |
| グリーンエッグ |  | 薄緑色のたまご形のズッキーニ たまご形の中でも収穫量が大きく、 果肉がやわらか |
| ブラック・ボー |  | 濃緑色の円筒型で、収穫量が多い。 病気（うどんこ病・ウイルス病）に強い。 |
まとめ
ズッキーニは、別名「つるなしかぼちゃ」とも呼ばれるようにツルが伸びないので、支柱立ても不要で、プランターでも育てやすい野菜です。日本では歴史の浅いズッキーニですが、イタリア料理やフランス料理などに使われます。黄色い品種や卵型のものなどの変わった品種や、花を食べれるのも家庭菜園ならではです。ぜひプランターでのズッキーニ栽培にチャレンジしてみてください。
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