生姜(ショウガ)は、半日陰でも育てられるのでプランター栽培向きの野菜です。ここでは生姜(根生姜、葉生姜、筆生姜)のプランター栽培について、植え付けから収穫までの生姜の育て方について、初心者の方でもわかりやすく説明します。
生姜のプランター栽培の手順
用意するもの
- 標準プランター
- 栽培用土(市販の野菜用培養土が便利です)
- 鉢底石
- 種ショウガ
- 肥料
手順
- 手順1種ショウガの準備
生姜は発芽に少し時間がかかるので、植え付け前に、日光に3日ほどしっかり当てて芽を出させる「浴光育苗」をして芽出ししてから植えつけするのがおすすめ。
生姜が大きな塊の場合は、芽を2~3個付いた状態に手で折るか、包丁で切り分けしましょう。
- 手順2プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの2/3程度のところまで敷き詰めます。 - 手順3植えつけ
芽がついている方を上にして、株間は10cmほどの間隔にして置きます。その上に培養土を5cmほどかぶせ、手で押さえてから、水をたっぷり与えます。
- 手順4
- 手順5収穫
葉が3~4枚になったら筆生姜(矢生姜)の収穫の時期です。1か月後葉が6枚~7枚になったら、葉生姜の収穫のタイミングです。一部を間引いて収穫してもよいでしょう。
種生姜まで抜けないように、手で押さえて株元を持ち根元から引き抜きます。葉や茎が枯れてきたら、根生姜の収穫の時期です。地上部をもって根株を引き抜きます。
生姜のプランター栽培の基本情報
生姜の基礎知識
生姜は、収穫する時期により呼び名が変わります。生姜というと思い浮かべる、一年中出回っている塊茎の部分は「根生姜(新生姜)」と呼ばれ、十分に根を太らせてから収穫します。その他、葉が3枚~4枚、根が小さいころに収穫する「筆生姜(矢生姜)」は、焼き魚などに添えられているはじかみとして使われます。葉が6枚~7枚の頃、根が少し太ってきたところを収穫し、葉の部分を食する「葉生姜」の3つに区分されます。
生姜は、春に種生姜植えつけて、夏頃に葉生姜、秋に根生姜を収穫します。生育温度が25℃〜30℃で、寒さに弱いので気温が高くなってから植えつけましょう。日光を好みますが、直射日光が苦手なので、半日程度日が当たる場所でも栽培できるので、ベランダのプランター栽培にも向いています。
作物名 | ショウガ |
---|---|
科目 | ショウガ科ショウガ属 |
原産地 | 熱帯アジア |
発芽適温(地温) | 15℃〜30℃ |
生育適温 | 25℃〜30℃ |
土壌酸度(pH) | 5.5〜6.0 |
育てやすさ | 普通 |
栽培時期
生姜は、春ごろに植え付けをして、葉生姜までは約3か月、根生姜の収穫には約5月程度かかります。
地域 | 植えつけ時期 | 葉生姜・矢生姜収穫時期 | 根生姜収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 5月中旬~5月下旬 | 8月 | 10月 |
中間地 | 4月~5月 | 7月~8月 | 10月中旬~11月中旬 |
暖地 | 4月~5月中旬 | 6月下旬~7月中旬 | 10月上旬~11月下旬 |
品種
ショウガの品種は、根茎の大きさで「大生姜」「中生姜」「小生姜」の3つに分類されます。根生姜を収穫するには大生姜を、葉生姜を収穫するには小生姜の品種を選びます。中生姜は夏に葉生姜を収穫し、秋に根生姜を収穫することもできます。
項目 | 大生姜 | 中生姜 | 小生姜 |
---|---|---|---|
定義 | 晩生で茎や葉が大きく生長し、根茎がよく肥大する品種。最も栽培されており、一般的に国産生姜と呼ばれたりする。 | 中生〜晩生で大生姜に比べると小ぶりの品種。 | 早生で根塊が小さめの品種。 |
味の違い | 香り・辛味ともにマイルドな生姜。 | 爽やかな辛味が広がる生姜。 | 辛味が強く、薬味として最適な生姜。 |
代表的な品種 | 近江生姜、印度生姜、おたふく生姜、生姜土佐一号、生姜長崎一号、オガワウマレ生姜、八郎生姜、土佐大生姜 など | 三州しょうが(※小生姜に分類されることもある)、黄生姜、房州、らくだ など | 金時生姜、谷中生姜 など |
生姜のプランター栽培の育て方
容器・用土
プランターや鉢植えで生姜を育てる場合は、深さ20cm程度の丸鉢か、プランターなら横幅60㎝~65㎝程度の標準プランターを使って育てます。種生姜とプランターが一緒に販売されているものもあります。
用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土3などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
種生姜の選び方
生姜栽培は、種生姜の出来の良し悪しで決まると言っても過言ではありません。種生姜の見極め方についてポイントは下記のとおりです。
- 根塊の外皮がみずみずしく、色つやが良い
- 黒い病斑や病害痕、カビなどがない
- 白く伸び始めた小さな芽がたくさんある
栽培環境・水やり
生姜は、日光を好みますが、半日陰でも育てることができます。多湿を好み、乾燥を嫌いますが過湿になりすぎると根腐れするので注意が必要です。植えつけから夏頃まで敷き藁をするのも乾燥防止によいでしょう。
水やりは、表面の土がかわいたらたっぷりと与えます。葉茎にかけずに、株元に水を与えるようにしましょう。特に夏場の乾燥する時期には、水切れに注意が必要です。夏は午前中の涼しい時間帯に水やりをするようにしましょう。
肥料
生姜のプランター栽培では、肥料は元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は葉色をみながら、3回程度行います。1回目は草丈が15cmぐらいのころ、2回目は草丈30cmごろ、3回目は2回目の一カ月後に施肥します。速効性の化成肥料を10g程度、プランター全体にばら撒いて、土と軽く混ぜて株元に土寄せしておきます。葉生姜を収穫した後に、根生姜も収穫する場合は収穫後に追肥するとよいでしょう。
肥料は、有機肥料や化成肥料が使えますが、プランター栽培ではベランダなどで育てるため、有機肥料は臭いや虫が気になるという方は、化成肥料や有機配合肥料がおすすめです。ホームセンターなどで手に入りやすいのは、メーカーから販売されている野菜用の肥料をつかってもおいでしょう。ハイポネックスジャパン「花と野菜と果実の肥料」や住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」などがあります。しょうが用の肥料もあります。
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。液体肥料を使う場合は、草丈15cm程度になったら追肥をはじめ、その後は2週間に1度薄めた液肥を水やりがわりに与えます。液肥には、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
収穫
筆生姜(矢生姜)は、葉の枚数が3枚~4枚程度、葉生姜は、葉の枚数が6枚〜7枚程度になったころに収穫します。収穫するときには、古根(植え付けたときの種生姜)を残したまま、かき取ります。地中の種生姜を可能な限り傷めないように収穫すると、残った芽がまた伸び、最終的に地下部に残った根茎は、根生姜として収穫することができます。
根生姜は、秋に葉が黄色く枯れてきたら収穫のタイミングです。霜が降りる前、温度が10℃以下になると腐りやすいため、その前に全株引き抜いて収穫しましょう。収穫したてのものを「新生姜」と呼び、これを数カ月寝かせて保管したものを「ひね生姜」と呼びます。
収穫した根生姜は、茎を切り土を洗い流して、新聞紙などでくるみ冷暗所で保存しましょう。最初に植え付けした種生姜もひね生姜として、薬味などに使うことができます。
病害虫
生姜の栽培で、特に重要な病害は根塊腐敗病です。発生を防ぐには、連作をさけ新しい用土を使うこと、また病気に感染していない種生姜を使うことが大切です。
また害虫では、アワノメイガやアズキノメイガ(フキノメイガ)、ハスモンヨトウによる被害が多いです。新葉を食害するため、見つけ次第捕殺しましょう。早めの対策が重要です。アワノメイガにはオルトランなどの農薬をつかうこともできます。
まとめ
生姜は、半日程度しか日が当たらないベランダなどでも育つので、プランター栽培に向いている野菜です。
生姜の辛み成分には、殺菌効果と消臭効果があり、体を温める効果もあります。家庭菜園で育てると葉生姜も収穫できるのでそのまま味噌をつけてたべたり甘酢づけにしたり、新生姜はジンジャエールを自家製で作ることもできます。栽培期間は長めですが、あまり手間のかからない野菜ですのでぜひプランター栽培にチャレンジしてみてください。
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