ここでは、玉ねぎ(タマネギ)に発生しやすい病害虫と、それを防除するためのおすすめ農薬、そして玉ねぎ(タマネギ)栽培に使える除草剤もあわせて紹介します。
より詳しいたまねぎの情報は、農家web防除暦をご利用ください。
玉ねぎに発生しやすい病害虫とおすすめ農薬
アザミウマ類
アザミウマはアザミウマ目に属する昆虫です。現生種は約5000種、スリップス(英名Thrips)とも呼ばれています。大きさは一般に1mm以下で翅があり、細長く、色もまちまちです。うち、農作物をエサにするのは44種と言われています。
アザミウマは直接植物の汁を吸うことで、その傷が農作物、蕾が大きくなるにつれ、非常に見た目が悪くなることや、作物の萎縮、変形、変色の原因となり、出荷できない物が増える(花木だと開花しないものが増える)といった食害があります。
また、最も厄介なのは、アザミウマはウイルスを運ぶということです。アザミウマは、果菜類、葉菜類、根菜類、豆類を含むほとんどの野菜や果樹、花きとさまざまな作物の茎葉、花弁を吸い漁りながらウイルスを広げていきます。一度、保毒すると、ウイルスを一生まき散らしてしまうのです。
アザミウマが媒介するウイルスは主に以下のようになります。
ウイルス名 | 主な発生植物 | 媒介するアザミウマの種類 |
---|---|---|
トマト黄化えそウイルス(TSWV) | トマト、ピーマン、ナス、レタスや、トルコギキョウ、マリーゴールド、ガーベラなどの花きなど | ミカンキイロアザミウマ ヒラズハナアザミウマ ネギアザミウマ ダイズウスイロアザミウマ |
スイカ灰白色斑紋ウイルス(WSMoV) | スイカ、トウガン、ニガウリ、キュウリ | ミナミキイロアザミウマ |
メロン黄化えそウイルス(MYSV) | メロン、キュウリ、スイカ | ミナミキイロアザミウマ |
インパチェンスネクロティックスポットウイルス(INSV) | トルコギキョウ、シクラメン | ミカンキイロアザミウマ ヒラズハナアザミウマ |
アイリスイエロースポットウイルス(IYSV) | タマネギ、ネギ、ニラ、トルコギキョウ | ネギアザミウマ |
タマネギで特に問題になるのは、ネギアザミウマです。
タマネギで、ネギアザミウマに使えるおすすめ農薬
ネギアブラムシ
ネギアブラムシはアブラムシの中でも、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニクなどに多く発生する黒いアブラムシです。羽のない成虫(無翅型)は体長がおおよそ2mm前後、黒色で光沢があります。羽のある成虫(有翅型)は無翅型よりもやや小さく、写真のように、羽の脈に黒い縁どりがあるのが特徴です。
ネギアブラムシは他のアブラムシと同様、ウイルスを媒介します。口針を植物に探り挿入するため、ウイルスを持っていると口針から簡単にウイルスの感染が広がってしまうのです。ネギアブラムシが運ぶのはネギ萎縮病ウイルスです。感染してしまうと葉が奇形となり、萎縮して最悪枯死し、収穫、収量に影響がでてしまいます。特に苗のときは注意しましょう。
タマネギで、ネギアブラムシに使えるおすすめ農薬
タネバエ
タネバエはタマネギにとって厄介な害虫で、幼虫が、苗や茎盤部を食害し、生育不良や、多発すると枯死を引き起こしてしまいます。
タマネギで、タネバエに使えるおすすめ農薬
さび病
さび病はカビ(糸状菌)の一種で、ネギ属の植物によく見られる病気です。葉にオレンジ色の小さい斑点が発生し、悪化すると枯死を引き起こします。
タマネギで、さび病防除に使えるおすすめ農薬
べと病
べと病とは?
べと病は卵菌のうちツユカビ科(Peronosporaceae科)に属する菌による病害に対して名づけられる植物病害です。「露菌(ろきん)病」とも呼ばれます。
水滴と合わさって拡大していくため、雨が続くと多発すること、また葉が湿るとベトベトになることから「べと病」と呼ばれています。
ベト病は非常に広い範囲の植物に感染しますが、特にウリ科、アブラナ科野菜(キュウリ、タマネギ、ほうれん草、ブドウ、レタス、メロン、キャベツ、ブロッコリー、すいか)・ブドウなどで大きな問題となる病気です。
タマネギで、べと病防除に使えるおすすめ農薬
灰色かび病
灰色かび病(白斑葉枯病)はカビ(糸状菌)によって起こり、灰色の粉(分生子)が生じてしまう病害です。通称、灰カビ病とも呼ばれます。
春から秋にかけて発生(4~11月)し、ある程度の温度と多湿な環境で多発生します。梅雨時期は特に発生が目立つ病害です。
灰色かび病はほとんどすべての野菜や花を冒すばかりでなく、多くの果樹や畑作物、林木までも冒し、その範囲はかなり広いのが特徴です。
灰色かび病が発病すると、花びらや蕾(つぼみ)にシミができたり、下葉に小さい白っぽい色の小班ができたり、果実の一部が灰色のシミを形成したり、葉の一部が灰色、黒、褐色に変色して枯れたようになります。
灰色かび病の防除に使える、おすすめ農薬
アフェットフロアブル(FRAC 7)
アフェットフロアブルは担子菌、子のう菌、不完全菌に属する幅広い植物病原菌に対し、高い活性を示す新規なチオフェン系殺菌剤で、多くの病害に優れた予防効果を有する薬剤です。
カンタスドライフロアブル(FRAC 7)
カンタスドライフロアブルは、灰色カビ病菌、菌核病菌にたいして卓効があり、浸透移行性があることから散布ムラなどがなく葉裏まで十分な効果が期待できます。
また残効性もあり、発病初期からの散布で高い防除効果を示します。灰色カビ病にたいして、従来とは作用機作の異なるため、体系防除に組み入れることができます。
その他、タマネギに発生しやすい病気に、黒斑病などがあります。詳しくは、下記を参考にしてください。
玉ねぎ栽培に使える除草剤
モーティブ乳剤
有効成分 ジメテナミドP 19.70%、 ペンディメタリン 23.10%
モーティブ乳剤は、土壌処理剤です。玉ねぎの土壌処理剤には「ゴーゴーサン乳剤」もよくつかわれますが、ペンディメタリンはゴーゴーサン乳剤の有効成分で、一年生イネ科雑草及び広葉雑草に効果があります。ジメテナミドPはイネ科雑草やカヤツリグサに効果が期待でき2つの成分で、しっかり雑草の発生を抑制します。玉ねぎには、定植後から使えるため体系的に使う場合は、最初の土壌処理剤としてつかうことができます。
グラメックス水和剤
有効成分 シアナジン 50.00%
グラメックス水和剤は、土壌処理剤でメヒシバ,イヌビエ,スズメノカタビラ,イヌビユ,スベリヒユ,ノボロギク,ハコベ,ナズナなどの一年生雑草に効き、ジャガイモ,タマネギ,アスパラガス,日本芝と幅広く使用できる除草剤です。
玉ねぎには、定植活着後(雑草発生前)但し、収穫90日前まで使うことができます。直播栽培にも使うことができる土壌処理剤です。活着後ですので定植時の土壌処理剤の後に体系的に使える除草剤です。
ナブ乳剤
有効成分 セトキシジム 20.00%
ナブ乳剤は、畑作のイネ科雑草に使われる選択制の茎葉処理剤です。玉ねぎには直接かかっても影響がないため、薬液がかかることを気にせず全面散布することが可能です。浸透移行性に優れているので、葉や茎に散布するだけで根まで枯らすことができます。
イネ科以外の広葉雑草やカヤツリグサ科には効果がないため、それらの雑草が生えている場所にはこれ以外の除草剤(バサグラン液剤など)を使う必要があります。
バサグラン液剤
有効成分 ベンタゾンナトリウム塩 40.00%
バサグラン液剤は、畑作用除草剤や水稲用中後期除草剤としても、広く利用されている「茎葉処理剤」です。玉ねぎには、「春播栽培の移植後6月上旬まで 但し 収穫30日前まで」「秋播栽培の移植後生葉4葉期まで 但し 収穫30日前まで」使うことができます。雑草の茎葉処理が基本ですが全面散布も可能です。
一年生雑草や広葉雑草に効果がありますが、イネ科には効果がないのでイネ科の雑草が生えている場所には、ナブ乳剤などと組み合わせて使うとよいでしょう。
その他玉ねぎに関する情報
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農家webかんたん農薬希釈計算アプリ
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