かわいらしい実がなるイチゴのプランター栽培は、とても人気があります。ここでは苗から育てる、イチゴのプランター栽培について、植え付けから収穫までの育て方の基本から、翌年の苗づくりまで、初心者の人にもわかりやすく説明します。
イチゴのプランター栽培の手順
それではここからは、イチゴの苗から始めるプランター栽培の手順について説明します。
植え付け時期
イチゴの植えつけ時期は10月~11月上旬。この頃になるとホームセンターやインターネットショップでもイチゴの苗が販売されるようになります。
苗木の選び方
購入した苗は、できれば購入したその日もしくは翌日、遅くとも1週間以内には植え付けしましょう。それまでは日当たりの良い場所に置いて、早朝に1回たっぷりと潅水(水やり)しましょう。夕方の水やりは徒長の原因となるので控えましょう。
準備するもの
- イチゴの苗
- プランター(6号)
- イチゴの培養土
- 鉢底石
- 肥料
植え付けの手順
- 手順1プランターの準備
プランターの底に底が見えなくなる程度、鉢底石をいれます。その上にイチゴの培養土をプランターの6分目までいれます。
- 手順2植え付け
ポットの底穴に指を入れて、苗を押し出すように抜きだします。根が回っているようなら、根鉢の底を少し指でほぐしておきます。
苗をプランター置き、クラウン(根元にある王冠のような部分)は土に埋めないように植えつけ、根元を押さえ落ち着かせます。
植え付けたら、水をたっぷり与えます。 - 手順3
植え付けから約1ヶ月後、追肥を始めます。その後は、冬越しした2月上旬〜中旬頃に2回目の追肥、必要であれば4月上旬頃に3回目の追肥をします。
肥料を土の表面にまいて、軽く土と混ぜておきます。 - 手順4ランナー取り
暖かくなると、ランナー(苗から出る茎)が成長してきます。実を太らせるために、ランナーは株元からハサミで切り取ります。
- 手順5人工受粉
花が咲き始めたら、人工受粉を行います。穂先の柔らかい筆で優しく花粉を取り、たくさんある雌しべに付けてあげると形の良い果実がなります。
- 手順6収穫
開花から30日後ぐらい、実が真っ赤に熟したら、ハサミで切り取って収穫します。赤くなると鳥に狙われやすいので、注意しましょう。
- 手順7苗づくり
収穫が終わったら、花がらや枯れ葉などを取り除き、ランナーを伸ばします。
ランナーから子株ができたら2番目以降の子株を、ポットに用土を入れ植えつけます。根が張ったら、ランナーから切り離し苗として育てます。
イチゴのプランター栽培の育て方
イチゴの基礎知識
イチゴは、バラ科の多年草植物です。初めて栽培するときは市販の苗から始めますが、その後は自分は栽培している苗から子苗を作って栽培することができます。
冷涼な気候を好み、暑さと乾燥を嫌うので秋に植え付けをして、翌年の春に収穫します。果菜類の中では比較的低温かつ、弱い光でも栽培することができます。但し、0℃近くなると寒害を受けてしまうので注意しましょう。
学名 | Fragaria × ananassa |
---|---|
属名 | バラ科オランダイチゴ属 |
原産地 | 北アメリカ、南アメリカ |
生育適温 | 15〜25℃ |
土壌酸度(pH) | 5.5〜6.5 |
栽培難易度 | 普通 |
私たちが食べるイチゴのいわゆる果肉部分は「花托(もしくは花床)」と呼ばれる部位で、「実」ではありません。花の根元部分が生長して食用の果肉となるのです。イチゴの表面のつぶつぶは、いかにも「種」に見えますが、これが「実」です。この「実」の中に「種」が入っています。
イチゴの品種について
品種の系統は大きく2つあり「一季なり」品種と「四季なり」品種があります。一季なりは、一年に1度、旬の時期(5~6月頃)に収穫することができます。それに対して四季なりは5月〜11月頃まで長い間収穫することができます。家庭菜園初心者の方には、実が大きくなり育てやすい「一季なり品種」がおすすめです。
品種名 | 系統 | 特徴 |
---|---|---|
女峰(にょほう) | 一季なり | 甘酸っぱく、ショートケーキによく使われます 栽培が簡単で初心者向き |
とよのか | 一季なり | 暖地で育てやすい品種 強い香りと糖度が高く、大きな実が特徴 |
宝交早生(ほうこうわせ) | 一季なり | 甘味・酸味ともに強く、果肉はやわらか うどんこ病、炭疽病にも強い育てやすい品種 |
とちおとめ | 一季なり | 甘みと酸味の取れた人気品種 寒地での栽培には向きません |
容器と土
イチゴを栽培する鉢やプランターは、通気性に優れた素焼きのものが適しています。深さは15cm〜20cm程度のものが良いでしょう。プランターで育てる場合は、株間は15cm〜20cmほど。株数は6号鉢で1株、65cmほどの標準プランターで3株ほど栽培できます。
用土は、野菜用の培養土かイチゴ用の培養土があるのでそちらをつかうのがおすすめです。自分で配合する場合は、赤玉土6:腐葉土3:ピートモス1の比率で混ぜ合わせて用土を作ると良いでしょう。肥料が入っていない培養土を使う場合は、緩効性肥料を元肥として入れましょう。
栽培環境・水やり
イチゴは、日当たりのよい風通しの良い場所で栽培しましょう。イチゴは寒さに強いので冬の対策は特にいりませんが、寒冷地などで氷点下になるようでしたらワラを敷いたりマルチングをしたりして管理します。
水やりは、鉢の表面が乾いたら鉢底から水が出るまでたっぷり与えます。乾燥すると生育が悪くなるので、休眠期の冬も水やりは行います。
肥料
イチゴは、水はけ(排水性)が良く、土壌中の養分が高すぎない土壌を好みます。イチゴは特に肥料やけしやすい作物ですので、施肥の量や土壌の塩類過剰(養分過剰)には注意が必要です。
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土やイチゴの培養土が便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
プランターの追肥には、化成肥料がおすすめ。化成肥料は早く効く速効性とゆっくり効く両方の成分を持っているものが多いです。有機肥料は、臭いや虫などが気になるためベランダなどで鉢植えで育てる場合は、有機入りの化成肥料もおすすめです。
イチゴは肥料やけしやすいので、強い肥料は使わないようにしましょう。イチゴは専用の肥料が多く販売されているので、専用肥料は使用量もそれぞれの肥料に記載されているので安心です。錠剤であれば置くだけなのでプランター栽培におすすめです。
肥料の与え方や時期については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
葉かき・ランナー取り・摘花・摘果
葉かき(下葉かき)
越冬後、新葉が伸び始めますので下のほうにある老化葉(古い葉)を取り除きます。老化葉(古い葉)は、光合成の能力が落ちていますので残しておいても、植物の成長への寄与が少ないです。逆に古い葉を残したままにしておくと、病害虫の温床になりますのでご注意ください。
おおよそ7〜8枚の葉を残しておくと生長にも影響が出ませんので、7〜8枚を目安に管理をしていくと良いでしょう。
ランナー取り
日長が長日となり、気温が上昇してくる春頃に新しいランナーも伸びてきます。収穫後に自分で来年の苗を育てる期間以外には、ランナーは不要ですので見つけ次第、適宜切り取ります。
ランナーは、短いものはそのまま株元から取れたりもしますが、長く伸びたものはハサミなどで切除する必要があります。
摘花・摘果
花の形や実の形が、いびつなものについては人の手で摘花・摘果しても良いでしょう。ただし、形などを気にしないのであれば、そのままにしておいても問題ありません。
人工授粉
イチゴは虫によって花粉が運ばれて、受粉します。受粉がうまくいかないと奇形果になりやすいため、人工授粉をしましょう。筆や耳かきの羽毛などをつかって、花の中心部を軽くなでるだけ。これだけで自然に花粉が雄しべにつきます。
苗づくり
収穫がすんだら、来年のために苗を作りましょう。ランナーの1節目についた子株は、親株の病気を受け継いでいる恐れがあるので2株目から3番目の本葉が3枚以上の子苗を選んで育てましょう。
- ポリポットに培養土をいれる。
- 1のポリポットの上に子株をのせ、U字に曲げた針金などで子株を固定させます。
- しっかりポリポットに根づいたら、親株のランナーを2cm~3㎝残して切り、子株側のランナーを根元からカットします。
- 植え付けまで、育苗します。
病害虫
イチゴはアブラムシ、ハダニ、ナメクジなどの害虫が発生したり、うどんこ病、灰色かび病などの病気にかかりやすいので注意しましょう。
アブラムシが発生したら、筆などを使って払い落とすなど早めに駆除しましょう。病気は、風通しをよくし、実がなっている時期は雨のあたらない場所で管理するとよいでしょう。また枯れた葉や下葉などはきれいにして密植は避けましょう。
病害虫が発生してしまったら農薬の使用も有効です。こちらからイチゴに使える農薬がわかります。
その他のイチゴの栽培方法
プランター以外にも、畑や土を使わない水耕栽培でも栽培することができます。室内で栽培できるキットなどの説明もしているので、興味のある方はこちらもお読みください。
まとめ
イチゴの栽培は、栽培期間は長いですが秋から冬にかけて栽培するので、害虫の心配もすくなく、初心者の人でも栽培ができます。人気の植物なので、専用の肥料や培養土があるのでそれを使えば失敗のリスクも減らせます。1株からでも十分楽しめるので、初心者の人はまず1株から始めてみませんか。
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