小さなキャベツのような見た目の芽キャベツは、1株に50個ほど収穫できるので、手軽にできるプランター栽培におすすめの野菜です。ここでは芽キャベツのプランター栽培について、種まき・苗の植え付けから収穫までの育て方についてわかりやすく説明します。
苗から始めるプランター栽培
芽キャベツの苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどに並びます。1株で50個程度収穫できるので、1株でよいなら苗を購入するのもおすすめです。
用意するもの
手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2苗の植え付け
植え付ける苗の根鉢よりひと回り大きな植え穴を空けます。
ポットから苗を取り出し、植え穴に苗を植えつけて手で軽く押さえ、土と根鉢を密着させます。
定植したら、たっぷりと水を与えます。 - 手順3
- 手順4下葉摘み(摘葉)
わき芽が直径6㎜~10㎜(プリヴェールの場合は葉が2~3㎝)になったら、下から葉を順次摘み取ります。最終的には上の葉が10枚程度残します。摘み取った葉は、ケールと同様にジュースにしたり、煮込み料理に使えます。
- 手順5支柱立て
株が大きくなったら、倒伏防止に支柱を立てます。細めの支柱を株の周辺に3本立てる、3点式がおすすめです。
- 手順6収穫
球の直径が、2.5cm~3㎝ほどになったら収穫のタイミングです。下から順に大きくなったわき目をのつけ根にハサミをいれて、1つずつ切り取ります。
芽キャベツの育苗(種まきから育てる場合)
芽キャベツはプランタに直まきして育てることもできます。ポリポットなどで育苗してから定植すれば、よりよい苗を選んで植え付けすることも可能です。
用意するもの
- 芽キャベツの種
- ポリポット(直径9cm)
- 培養土(元肥入りの野菜の培養土)
- 新聞紙、寒冷紗など
手順
- 直径9㎝のポットに培養土をいれ、5粒から6粒種をまきます。
- 2㎜~3㎜程度覆土し、水やりをします。
- 発芽までは新聞紙や寒冷紗をかけて、夏は高温にならないよう風通しのよい日陰で管理します。
- 双葉がそろったら3本に、本葉が2枚で2本に、本葉が3~4枚で1本に間引きます。
- 本葉が5枚~6枚になったら、プランターに植え付けします。
育苗のポイント
- 夏まき栽培では、高温期に育苗することになるため、風通しのよい日陰もしくは冷房の効いた室内で行いましょう。30℃以上になると徒長したり、病気にかかりやすくなります。
- 発芽したら、徒長しないように、すぐに新聞紙などを取り、日に当てて育てます。(夏は直射日光に当てない)
- 水やりは午前中に行い、夜は土が乾いているのが理想的です。
芽キャベツ栽培の基礎知識
芽キャベツの基礎知識
芽キャベツは、キャベツの変種で子持甘藍(コモチカンラン)とも呼ばれます、ミニキャベツのようなわき芽が茎にびっしりつくので、そのわき芽を1つずつ収穫します。健全な株であれば1株で、2~3か月の間に50個ほど収穫することができます。
基本的な特性はキャベツと似ていますが、キャベツよりも耐寒性が強く、耐暑性が弱く25℃以上になると芽球が結球しずらくなるので、注意が必要です。キャベツより甘みが強く、結球野菜の中では一番栄養価が高く、シチューなどの加熱料理に向いています。
種まきから育てても収穫まで4か月程度。6月頃になるとホームセンターなどで苗が出回ります。1本でも十分楽しめるので苗から栽培するのがおすすめです。
作物名 | メキャベツ |
---|---|
科目 | アブラナ科アブラナ属 |
原産地 | ベルギー |
発芽適温(地温) | 15℃~25℃ |
生育適温 | 18℃~22℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~7.0 |
育てやすさ | 普通~少し難しい |
品種
家庭菜園では収穫期間までが短い早生種がおすすめ。芽キャベツは結球しますが、メキャベツとケールの交配で生まれた非結球の「プチヴェール」も芽キャベツと同様の育て方で栽培することができます。
品種名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
子持甘藍 | 植え付け後90日で収穫可能な早生種 耐寒性が強く、丈夫で育てやすい | |
ファミリーセブン | 早取りできる早生種 株が倒れにくく育てやすい | |
早生子持 | 植え付け後90日で収穫可能な早生種 球のしまりがよく海外でも人気 | |
プチヴェール | 結球せず、バラの花のような形 一口サイズで甘みが強い 種子の流通はないので、苗から育てる |
栽培時期
芽キャベツは寒冷地以外では、夏まき栽培で冬に収穫します。春まき栽培は生育時期が高温になりすぎるため寒冷地以外では不向きです。
地域 | 播種(種まき)時期 | 定植時期 | 収穫 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 5月 | 6月 | 8月下旬~11月 |
中間地 | 7月 | 8月~9月上旬 | 11月中旬~2月 |
暖地 | 7月 | 8月~9月上旬 | 11月~2月 |
芽キャベツのプランター栽培の育て方
容器・用土
芽キャベツは深さ30㎝以上の深型プランターを使いましょう。鉢なら9号~10号を使う場合は、1株。横幅65㎝程度のプランターであれば、株間を40㎝ほどあければ2株栽培することができます。
用土は市販の元肥入りの野菜用の培養土が便利です。元肥が入っていない培養土を使う場合には緩効性肥料を施肥します。
栽培環境・水やり
芽キャベツの生育適温は15℃~25℃と、比較的冷涼な気候を好みます。植え付け後は、日当たりのよい風通しの良い場所で管理しましょう。芽球に日をしっかり与えることが大切です。株元から10㎝程度は老化した下葉や、芽球は不結球になることが多いので早めに摘み取り、株元に光が当たるようにしましょう。
植え付け後、2~3日はかん水をしてしっかり株を定植させます。乾燥が苦手なので、その後も水やりは表面がかわいたら底から水がでるまでたっぷりと与えましょう。
肥料
芽キャベツは水と肥料を好みます。特にプランター栽培では肥料が水やりと同時に流れ出てしまうことが多いので、しっかりと元肥と追肥を行います。
元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は植え付け後3週間後から始めます。1株あたり化成肥料を10g程度、株の周りにばらまき土と軽くまぜ、軽く土寄せしておきます。その後は2週間に1度同様に肥料を与えましょう。収穫期間が長いので肥料切れをおこさないようにすることがポイントです。液体肥料を週に1度、水やり代わりに与えてもよいでしょう。
固形肥料には、キャベツの専用肥料や、野菜用につくられた肥料、ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や「マイガーデンベジフル」などはホームセンターなどでも買え、初心者の人にも使いやすい肥料です。
プランターでは液体肥料も便利です。住友化学園芸の「マイガーデン液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
支柱立て
茎が長く伸びる芽キャベツは、草丈が30cm~40㎝ほどになったら、支柱を立てます。プランターでは株をもたれかせて支える、三点式がおすすめです。太さは8㎜程度、長さは120cmのものがよいでしょう。支柱を立てるだけで、紐による誘導もないので簡単に支柱が立てられます。
- 株から4~5cm離れた場所に、成長した茎葉の間から支柱を深さ10~15cmほど差し込む
- 同様に、2本支柱を立てる
収穫
球の直径が2.5cm~3㎝ほどになったら収穫のタイミングです。プチヴェールは葉の大きさが5cm程度になったら収穫のタイミングです。下から順に収穫しましょう。
つけ根にハサミをいれてカットするか、手でもぎ取ることもできます。
病害虫予防
芽キャベツはアブラナ科の野菜のため、アオムシ、ヨウトウムシ、コナガ、アブラムシなど害虫の被害に遭いやすいので、防虫シートなどをつかって害虫予防をしましょう。また冬期は、鳥害も受けやすいので注意が必要です。
日当たりや水はけが悪い場合、べと病、根こぶ病、苗立枯病にかかりやすくなるため、株元まで光があたるようにしましょう。
まとめ
芽キャベツは、1株で小さなミニキャベツが鈴なりになります。たくさん収穫でき早生種なら植え付けから90日間で収穫できるので、プランターで手軽に始めてみませんか。家庭栽培では、使いたい分だけ収穫できるのも魅力です。
栽培のポイントは害虫に気をつけて、わき目に日を当てて育てること。良い苗であれば、意外と簡単に作れますよ。
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