鮮度がよいほど甘いソラマメはプランター栽培がおすすめ。ここでは、ソラマメのプランター栽培について、種まきから収穫までソラマメを初めて育てる方にもわかりやすく、手順や育て方を説明します。
種まきから始めるソラマメのプランター栽培の手順
プランターでソラマメを育てる手順について説明していきます。タネをプランターに直播する手順で説明します。
用意するもの
プランター栽培の手順
- 手順1プランターの準備
プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2種まき
株間25cm~30㎝に、2粒づつ種をまきます。
へそ(お歯黒)の部分を、斜め下にしてタネを半分程度土に押し込みます。
防虫ネットをかけ、発芽するまで乾燥させないように水やりをします。 - 手順3間引き・育苗
葉が開いたら、2粒づつまいた苗を元気な方を残して、1本に間引きます。
水やりは、午前10時以降に土が乾いたら、鉢底から水が出るまで水やりをします。 - 手順4支柱立て・整枝・摘心
株が30cmほどになったら、プランターの縁にそって支柱をたて、周りにヒモを張り、誘引します。
草丈が30~40㎝ほどになったら、1株4本程度に整枝し、土を足して5cmほど盛り上げます。
草丈が70cmほどになったら、枝先を10㎝ほどハサミでカットします。 - 手順5
花が咲く頃(3月の上旬)になったら追肥をします。月に1度化成肥料を、10g程度土にばら撒いて、土寄せします。収穫が始まったら、2週間に1度同量に施肥します。
- 手順6収穫
さやが下を向いてはちきれそうにふくらんできたら、収穫のタイミングです。つけ根をハサミで切り取って収穫します。
ソラマメのプランター栽培 育て方
容器・用土
ソラマメは、標準プランターでも育てることはできますが深型のほうが、大きく育つのでおすすめです。大型プランターや深さ26cm程度の、丸い深型プランターなどがおすすめです。1株あたり20本ぐらいのさやが収穫できるので、1株なら直径30cm、深さ26cm程度のプランターで栽培できます。幅60cm×奥行26cm×高さ26cm程度の600プランターなら、5株程度育てることができます。
プランターには、通常のプランターの他、支柱留めフレームなどがついているものもあります。ソラマメは支柱を立てる必要があるのでそちらもおすすめです。
用土は、マメ類は連作を嫌うので新しい用土を使いましょう。元肥入りの野菜の培養土がおすすめです。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土2、バーミキュライト1を混合します。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
栽培環境・水やり
ソラマメの生育適温は15℃~20℃と、比較的冷涼な気候を好みます。日当たりのよい風通しの良い場所で管理しましょう。
幼苗期(苗ができ始めの頃)は寒さに強く、5℃以上あれば生育します。大苗になってから寒さにあたると株が傷みやすくなるので、霜や寒風にあたらない暖かいベランダや軒下など管理しましょう。タネまきから発芽までは、鳥が種を食べてしまう恐れがあるので防虫ネットをしっかり止めておきましょう。
水やりは、特に発芽するまでは乾燥に注意しましょう。土が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。冬の朝に水やりをすると凍ることがあります。水やりは午前10時過ぎの暖かくなってから与えましょう。
種まき
ソラマメは直まきもできますが、ポリポットで育苗をして植えつける方法もあります。ポリポットで育苗する利点は、植える株数より多く育苗し、よりよい苗を選べること。ポリポットでも直植えでも種まきの方法はかわりません。ポイントはへそ(お歯黒)の部分から根と芽がでるので、その部分を下にして植えつけることです。
- 3号のポリポットに鉢底ネットを入れて、野菜の培養土を入れます。
- へそ(お歯黒)の部分を、斜め下にしてタネを半分程度土に押し込みます。
- 1ポットに2粒まいて、葉が開いたらよい苗を選んで1本に間引きします。
育苗の方法は、こちらに詳しくのっているので参考にしてください。セルトイでの育苗の方法も説明しています。
肥料
ソラマメなどのマメ類は、根粒菌と共生しているのでその働きにより窒素分をを供給されます。そのため少ない肥料でも育つことができます。通常と同様に窒素を与えると、枝葉ばかりが茂ってしまい、莢が付かない、実がつかない「つるぼけ」が発生する恐れがあります。
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
肥料は化成肥料や、有機肥料、液肥も使えます。窒素分が多くなくリン酸が多いものがおすすめ。まめの専用肥料であれば、チッソが控えめに配合されえています。またハイポネックスの「花と野菜と果実の肥料」なども使えます。葉の色が悪くなったら、速効性のある液体肥料もおすすめです。
支柱立て・整枝・摘心
支柱立て
支柱はプランターでは、あんどん式で立てます。
あんどん式は、プランターの縁にそって120cmほどの支柱をたて、支柱と支柱を紐で結んで、プランター周囲を囲んでいきます。20cm~30㎝間隔で数本の紐をはります。
整枝
草丈が20cm~30㎝ほどになったら、株元から伸びる枝を整理し風通しをよくします。1株あたり4~5本程度に整枝しましょう。小さい枝を根元からハサミでカットして行います。整枝が終わったら、新しい培養土を株元にいれ5cmほど盛り上げておきます。
摘心
摘心は草丈が70cmほどになったタイミングで行います。枝先を10㎝ほどハサミでカットしましょう。摘心は、草丈の伸びをとめ養分をサヤを太らせるために回すほかにも、害虫(アブラムシ)の防虫効果もあります。
収穫
開花後35日~40日で収穫の時期です。さやが下向きになり、はちきれそうにふくらんできたら、収穫のタイミングです。さやのつけ根を、ハサミで切って収穫します。鮮度が落ちやすくおいしいとりごろは3日間ほどともいわれます。収穫の時期を見逃さないようにしましょう。
またさやを剥くと一気に鮮度が落ちてしまいます。調理する場合は直前にさやを剥きましょう。
ソラマメ栽培の基本情報
ソラマメの基礎知識
ソラマメは、さやが天に向かって実ることから「空豆」、形が繭に似ている、蚕が繭を作る頃に実るため「蚕豆」とも書きます。収穫と同時に鮮度が落ちていくので、採れたての価値が高い野菜です。
ソラマメの生育適温は15℃~20℃と、比較的冷涼な気候を好みます。冬の低温にあうことで花芽をつけるので、秋に種をまいて春に収穫するのが一般的です。本葉が5枚程度の幼苗期(苗のでき始めの頃)は、耐寒性が強いのでこの頃に冬越しさせるのが成功のポイントです。
品種にもよりますが、種まきから植え付けまで10日~2週間、種まきから収穫までは約3か月ほどかかります。日当たりの良い場所で、適期に種をまいてしっかり肥料を与えて育てれば、栽培の難易度はそれほど難しくありません。
作物名 | ソラマメ |
---|---|
科目 | マメ科ソラマメ属 |
原産地 | 地中海沿岸、西南アジア |
発芽適温(地温) | 18〜20℃ |
生育適温 | 15〜20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
育てやすさ | 普通 |
品種
品種は豆の大きさが3cm(1寸)ほどになる大粒の一寸系と呼ばれるものが人気です。生食できるものや、長いさやに5粒ほどの中粒の豆ができるものもあります。
品種名 | 概要 | 特徴 |
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仁徳一寸 | マメは3cmほどの大粒。 やわらかく甘みのある豆。 | |
初姫 | 豆は赤褐色でホクホクとした食感 耐寒性が強く、冬越が容易 | |
大天 | 豆はボリュームのある大粒 生育旺盛で育てやすい品種 | |
打越一寸 | 大粒の3粒入りのさやにそろいやすい 耐寒性が強く、栽培が容易 | |
城陽長莢 | 2~2.5cmの中粒豆が6~7粒さやに入る 生食もできる中早生種 |
栽培時期
ソラマメの栽培時期は、中間地・暖地では秋に種をまいて春から初夏に収穫をします。寒冷地では、春に種をまいて初夏から夏にかけて収穫をします。
地域 | 播種(タネまき)時期 | 植え付け時期 | 収穫時期 |
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寒冷地 | 2月中旬~3月上旬 | 3月中旬~4月上旬 | 6月中旬~7月中旬 |
中間地 | 10月上旬~11月上旬 | 11月上旬~11月下旬 | 4月下旬~5月上旬 |
暖地 | 10月下旬~11月中旬 | 11月下旬~12月上旬 | 5月上旬~5月下旬 |
まとめ
採れたてのソラマメのおいしさは、家庭菜園の醍醐味です。中粒種や小粒種などはなかなかスーパーなどでは見かけないので、ぜひ種から育ててみてください。
プランター栽培に成功したら、ぜひ地植えにも挑戦してみてください。ソラマメの地植えの育て方については、こちらの記事を参考にしてください
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