レタスは温度に敏感で、栽培温度により、結球異常が起こりやすい野菜です。育てる地域の気象状況に十分注意し、播種時期や品種を選ぶことが成功のポイントです。
ここでは、レタスの地域ごとの栽培時期について、それぞれの地域にあった作型や栽培のポイントなどをわかりやすく説明します。
レタス栽培について
レタスの種類
レタスというと結球する玉レタスを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。この他にもレタスには下記のような種類に分けれます。栽培方法は似ていますが、リーフレタスは栽培期間が短く高温期でも栽培が容易です。
分類 | 種類 |
---|---|
結球レタス | 玉レタス。文字通り結球するレタス。 日本で栽培されているレタスのほとんどがこのレタスです。 |
リーフレタス (カキチシャ) | サニーレタスやグリーンリーフなど、結球しないレタス 栽培時期が短く玉レタスに比べて栽培が容易 サンチュもこの仲間です。 |
立ちチシャ | ロメインレタス(コスレタス)で呼ばれます。 立性して、半結球のタケノコ型になるレタス。 |
茎チシャ | 立ちレタス、ステムレタス、アスパラガスレタスとも 呼ばれます。茎の部分が食用になります。 これを乾燥したものが「山くらげ」 |
レタスの特徴
レタスは冷涼な気候を好みます。発芽時に25℃以上になると発芽不良になり、生育期間中に高温・多湿になると生育が抑制されて、病気の発生が増えます。玉レタスは、結球開始時に15℃以下になると結球肥大が抑制され、25℃以上になると結球異常が増えるので、この時期に生育適温になるように栽培期間を決めるとよいでしょう。
レタスはあまり土壌を選びませんが、柔らかく水はけのよい土壌を好みます。カルシウムが不足するとチップバーンが発生しやすくなるので、苦土石灰などを使って調整するとよいでしょう。
作物名 | レタス |
---|---|
科目 | キク科アキノノゲシ属 |
原産地 | 西アジア、地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 18℃~20℃ |
生育適温 | 18℃~22℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
連作栽培 | 不可 2年以上 |
育てやすさ | 時期を選べば、やさしい |
レタスの栽培時期
一般的にレタスの種まきの時期は春と秋といわれます。玉レタスが播種から収穫まで2か月~3か月ほど。リーフレタスであれば50日~60日程度で収穫できます。玉レタスは秋まき栽培が、リーフレタスは春まき栽培が栽培しやすいといわれます。
作型は、冬どり栽培、春どり栽培、夏秋どり栽培の3つに大きく分けられます。それぞれの地域にあった作型、品種を選ぶことが、レタス栽培の成功のポイントです。
冬どり栽培
冬どり栽培の栽培時期は秋に種をまいて冬に収穫します。暖地・温暖地向きの作型です。
冬どり栽培には、年内どりと翌年の1月~2月どりの2種類があります。年内どりは播種時期は高温ですが気温が徐々に下がるので、栽培がしやすい作型です。1月~2月どりは、べたがけやトンネル被覆などの保温対策が必要になります。
作型(冬どり栽培) | 播種時期 | 収穫時期 | 栽培ポイント |
---|---|---|---|
年内どり | 8月下旬~9月上旬 | 11月~12月 | 晩抽性の品種がおすすめ 栽培しやすい作型 |
1月~2月どり | 9月中旬~10月上旬 | 1月~2月 | 中晩抽性の品種がおすすめ 10℃以下になる時期には保温が必要 |
春どり栽培
春どり栽培の栽培時期は、秋から冬に種をまいて春に収穫します。暖地・温暖地向きの作型です。
春どり栽培は、3月~4月どり、5月~6月どりの2つに分けられます。結球開始時期に温度が低いと、生育に影響を及ぼすのでこの時期に、気温が上昇する時期を見極めて種まきの時期を決めましょう。栽培初期はトンネル被覆やハウスなどの保温が必要です。
作型(春どり栽培) | 播種時期 | 収穫時期 | 栽培ポイント |
---|---|---|---|
3月~4月どり | 10月中下旬~12月中旬 | 3月 | 耐寒性が強い品種 |
5月~6月どり | 1月下旬~3月上旬 | 5月~6月 | 高温でも育つ、トウ立ちしにくい品種 |
夏秋どり栽培
夏秋どり栽培の栽培時期は、春から初夏に種をまき夏から秋に収穫をします。寒地・寒冷地向けの作型です。とう立ちや病害虫の被害もおきやすい最も難しい作型です。
夏秋どり栽培は、初夏どりと夏秋どりの2つに分かれます。生育期にレタスの生育適温になるため、生育が早く、トウ立ちが最も起きやすい作型です。草勢があまり強くない品種を選びましょう。また夏秋どりは早期抽だいがおきやすいので、晩抽性の品種がおすすめです。
作型(夏秋どり栽培) | 播種時期 | 収穫時期 | 栽培ポイント |
---|---|---|---|
初夏どり | 4月~5月 | 6月~7月 | 多湿の時期に重なるため病気が発生しやすい 草勢の強くない品種がおすすめ |
夏秋どり | 6月~8月上旬 | 8月~10月 | 晩抽性の品種がおすすめ。 高温時に病気やチップバーンなどの異常球 が現れやすい。最も難しい作型。 |
レタスの品種
レタスは、品種ごとに耐寒性や耐暑性、晩抽性、草勢などが異なります。栽培時期に適した品種を選びましょう。種の袋などにも、特徴が書いてありますのでそちらを参考にするとよいでしょう。いくつか玉レタスの代表的な品種を紹介します。
品種名 | シスコ | バークレー | サウザー |
---|---|---|---|
概要 | |||
特徴 | 冬どり向き 耐寒性に優れる 低温時でも結球がよい | 春どり向き 早生の多収種 春に気温上昇しても腰高球・ 大玉軟球の発生が少ない | 初夏から秋どり向き 晩抽・早生種 草勢はやや控えめ。 変形球の発生が少ない |
レタスの栽培方法
レタスの栽培方法は似ていますが、種類により育て方や肥料、栽培時期も異なります。それぞれの栽培方法については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
畑だけでなく、水耕栽培でも育てることができます。収穫は少ないですが土の管理がいらず、温度管理も容易です。室内やベランダなどで育ててみたい人には水耕栽培もおすすめです。