シーザーサラダなどによく使われるロメインレタスは、葉が肉厚でサクサクとした食感と甘味があり、サラダだけでなく、炒めものなどにも使えるレタスです。
ここでは、ロメインレタスの栽培について、育て方の基本はもちろんのこと、肥料や除草剤、さまざまな害虫の防除方法まで、初心者の方から、レベルアップを目指したい方にもわかりやすく説明します。
ロメインレタスの栽培について
ロメインレタスの基礎知識
レタスには、通常の玉レタスのように結球するもの、サニーレタスのように結球しないリーフレタスなどがありますが、ロメインレタスは半結球状で、和名は「立ちチシャ」と呼ばれるように、立った状態で成長します。エーゲ海のコス島でよく栽培されていたため、「コスレタス」とも呼ばれます。
収穫は、植え付けから50日~60日程度、種から育てる場合は70日~80日ほど。冷涼な気候を好み、生育時期に温度が高くなると、分球や抽だい(とう立ち)、葉のねじれなどが起きやすくなるため、高温期の栽培は避けた方がよいでしょう。
土質は選びませんが、土壌水分の多く含まれた有機質の多い土壌を好みます。種から始める場合は、直播ではなく、ポットなどで育苗してから畑に植え付けして育てます。
作物名 | ロメインレタス(立ちチシャ) |
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科目 | キク科アキノノゲシ属 |
原産地 | エーゲ海コス島、地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 15℃~20℃ |
生育適温 | 15℃~20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
連作栽培 | 不可 2年以上 |
育てやすさ | 栽培時期を選べば、難しくない |
品種
品種名 | ロマリア | 晩抽ロマリア | スプラッシュ1号 | スプラッシュ2号 | レッド ロメインレタス |
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概要 | |||||
特徴 | 幅広い作型に適応 低温時に肥大化 | 高温期栽培向き。 晩抽性で、暑さに強い | 高温期栽培向き 中生種 チップバーンに強い | 低温期栽培向き 中性種 チップバーンに強い | 葉色が濃赤色になる 生食向き |
栽培時期(作型)
ロメインレタスの栽培時期(作型)は、周年行われていますが、春まき栽培と秋まき栽培が一般的です。夏まきは温度が温度調整が必要なため、寒冷地で行われます。
作型 | 播種(種まき)時期 | 収穫時期 | 備考 |
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春まき栽培 | 2月~3月 | 5月~6月 | 播種が遅くなるほど、とう立ちやすくなります。 |
夏まき栽培 | 7月中旬~8月中旬 | 10月~11月 | 寒冷地向け |
秋まき栽培 | 9月 | 11月~12月 | 栽培が長くなると保温が必要になります |
初心者の人には春まき栽培がおすすめ。育苗時に保温が必要な場合もありますが、定植してからは病害虫も少なく手間のかからない作型です。秋まき栽培では、畑では平均気温が10℃以下になる晩秋には、防霜、保温が必要になります。
栽培する地域に合わせて、播種・定植の時期を決めること、時期にあった品種を選んで種をまくことが成功のポイントです。
ロメインレタスの育苗の方法
ロメインレタスの栽培は、種か苗から始めます。種から定植までは30日間ほどかかります。早く収穫したい場合には、苗もホームセンターなどで販売されています。
地植えの場合は、直まきは発芽がそろわず、欠株、間引きなどの手間がかかるため育苗後、定植する方法が一般的です。プランターなどでは、直播して育てることができます。育苗には、育苗箱やセルトレイ、ポットなどを使って育てます。ここではセルトレイでの育苗方法について説明します。
用意するもの
- 好きなロメインレタスの種子
- セルトレイ(200穴)
- セルトレイ用育苗土
育苗の手順
- セルトレイに育苗土を均等にいれます。トントンと叩いて土をならし、空いた隙間に土をいれます。
- 水やりをして、しっかり土に水を含ませます
- セル穴を軽く鎮圧しながら、播種穴を作り、各穴に2粒づつまきます。(コーティング種子のときは1粒)
- 軽く覆土(3㎜程度)します。ロメインレタスは光がないと発芽しない好光種なので、被せる土が多いと発芽しにくくなります。
- 種が流れないように、細めのジョウロで十分灌水させます。
- 発芽するまでは、新聞紙をかけて日陰で管理します。
- 発芽したら、新聞紙を取りすぐに日当たりの良い場所へ。レタスは日照時間が少ないとすぐに徒長します。
- 本葉がでたら、育ちのよい苗を1本に間引きします。
- セルトレイは乾燥しやすいので、こまめに毎日午前中に水やりをしましょう
- 種まきから20日ほど、本葉が3~4枚程度になれば定植の時期です。
ロメインレタス栽培の手順(畑)
それでは、ここでは畑でロメインレタスを栽培する手順について説明していきます。個別の詳しい説明は、ロメインレタスの育て方で説明しています。
用意するもの
手順
- 手順1
種をまく前の2週間前~10日前までに土づくりと施肥をします。
肥料は、全面施肥で行います。
畑に、堆肥と苦土石灰を入れよく耕します。その後、化成肥料を施肥し、
土とよく混ぜます。
畝幅70~80cmの平畝をたて、ポリマルチを張ります。 - 手順2定植
株間とも25~30cmに植え穴を掘り、苗を植えつけます。
深植せず、根鉢が隠れる程度に植え付けた後、株元にかん水しておきます。 - 手順3
- 手順4
品種にもよりますが、結球が20cm~30㎝、結球の頭の部分が閉じてきた頃が収穫のタイミングです。
収穫が遅れると、苦みがでたりチップバーンがおきることもあるので、早めに収穫しましょう。
ロメインレタスの育て方
畑の準備
栽培前に畑を準備しましょう。手順は下記のとおりです。
- 牛糞などの堆肥を、1㎡あたり1kg程度をまいてよく施します。
- 堆肥を撒いてから1週間ほどたってから、苦土石灰を1㎡あたり150gと元肥として有機肥料や化成肥料を施肥し、土とよく混ぜて耕してから畝を立てます。
- 2から10日ほどたってから、種をまきます。
土づくり
よい野菜を作るには、土づくりが大切です。ロメインレタスのの適性な土壌酸度は、6.0〜6.5ですが、土壌酸度の適応力が高く、土をあまり選ばない野菜です。
一般的に野菜を栽培している畑などでは、土は酸性に傾くことが多いため、苦土石灰を使って酸度調整をします。アルカリ性に傾いている場合には、ピートモス(無調整)や、硫安を使って調整しましょう。
酸性に傾いているときは、堆肥と苦土石灰を使います。しかし堆肥と石灰を一緒にまくと堆肥に含まれている窒素がアンモニアとして逃げてしまうので、1週間ほどあけましょう。また石灰をまいてからphの数値に変化がでるまで1週間から10日ほどかかるので、種まきはそれから行うとよいでしょう。
元肥
ロメインレタスは、栽培時期が短いため肥料は元肥をしっかり施しましょう。
堆肥にも肥料は含まれます。堆肥は完熟したものを使いましょう。完熟牛糞堆肥などがよいでしょう。肥料は、窒素・リン酸・カリが同量はいった8-8-8などの化成肥料や有機肥料が使えます。
畝立て
土づくりと元肥の散布が終わったら、畝を立てましょう。畝(ウネ)とは、栽培をするために畑の土を細く盛り上げた栽培床です。畝幅や条間、通路幅などの用語は下の図を参考にしてください。
畝幅 | 畝高 | 条間 | 株間 |
---|---|---|---|
70~80cm | 10cm | 25~30cm | 25~30㎝ |
マルチについて
ロメインレタスの栽培は、マルチ栽培がおすすめです。畝を立て終わったら、マルチシート(マルチ)を張りましょう。マルチには黒、白、シルバーなどいろいろな種類があります。マルチを張ることによって、土の乾燥防止、地温の上昇や保温、除草に有効です。また、肥料の流亡を防ぐこともできます。
ロメインレタス栽培時には、高温期の栽培では白黒ダブルマルチもしくはシルバーマルチ、低温期に栽培する場合には黒マルチがよいでしょう。
追肥
畑で栽培するときには、栽培期間が短いため追肥は不要です。プランター栽培などでは、水やりで肥料が流れてしまうため、液体肥料などを追肥することもあります。秋まきなどで栽培期間が長い場合には、元肥の肥料の量を増やすなどをして対応しましょう。
元肥をしっかり上げていないと肥料切れすることもあります。葉の色が薄く、生育があまりよくない場合は、化成肥料を1株あたりひとつまみ程度、もしくは液体肥料などを上げて様子をみるとよいでしょう。
収穫
品種にもよりますが、結球が20cm~30㎝、結球の頭の部分が閉じてきた頃が収穫のタイミングです。頭を押して弾力があるようでしたら収穫しましょう。
ロメインレタスは高温期の収穫で5日間、低温期でも10日間ほどです。収穫が遅れると、抽だい(とう立ち)や、葉に苦味がでる、チップバーンやねじれなどもおきやすいので、早めの収穫を心がけましょう。
除草について
栽培が比較的簡単で栽培期間も短いロメインレタスですが、雑草が生えると、ロメインレタスの生長に影響を及ぼすだけでなく病害虫のリスクも高まります。栽培前にしっかりと除草しておきましょう。
畑の場合は、マルチ栽培が雑草の発生に有効です。除草剤を使う場合は、ロメインレタスは収穫頃に散布できる除草剤は少なく、非選択性の除草剤を使うとロメインレタスに薬害が出やすく手間がかかります。栽培期間も短いので、雑草の発芽を止めて生えさせない「土壌処理剤」で、雑草が生えさせないことが大切です。種まきと同時に、土壌処理剤を散布することで収穫まで雑草の繁殖を防ぐことができます。
土壌処理剤は、播種後発芽前までに散布することで雑草の発生を抑制します。ロメインレタスには、ゴーゴーサン細粒剤Fやトレファノサイド乳剤などが使えます。
除草剤はその野菜に適用のあるものしか使えません。ロメインレタスの場合は、立しししゃ、非結球レタス、レタス類、葉菜類、野菜類に適用があるものです。レタス、リーフレタスにしか適用がない場合は使えないので注意しましょう。
防除について
防除という言葉をご存じでしょうか。防除とは、農業でよく使われる言葉で、「農業害虫や病害の予防および駆除」を意味します。
具体的には、農作物の栽培時に発生する、害虫や病気を事前に予防したり、既に発生している場合、それを駆除、排除すること、を指すと言えるでしょう。「防除」はこのように、「予防」という観点が入っていることから、「防除」と「駆除」は意味が異なってきます。また、防除は別名で、ペストコントロールとも呼ばれます。
農作物を作る際には、病害虫は避けられない問題です。それぞれに合った農薬を使うか、農薬を使いたくない場合には、病害虫の発生を抑えるためには、排水がよくない場所では畝を高くしたり、雨よけトンネルやマルチなどが有効です。
ロメインレタスは、害虫や病気には比較的強いですが、秋冬のトンネル栽培などで発生する可能性が高くなります。病気は、べと病・灰色かび病・菌核病が発生しやすくなります。また緑腐れ病(チップバーン)が、玉レタスより発生しやすくなります。害虫はアブラムシ類、オオタバコガ、スリップスが発生しやすくなります。
それぞれに適用のある農薬等を使って、対応しましょう。
まとめ
加熱してもサラダにしてもおいしいロメインレタス。時期を選べば、それほど手間もかからず玉レタスより栽培も簡単です。畑だけでなく、プランターや水耕栽培でも栽培が可能です。
農家webには、ロメインレタスの他にもサニーレタスやリーフレタス、レタスやサンチュ水耕栽培の記事もあります。