葉先が濃い紅色をしているサニーレタスは、葉が大きくやわらかいのでサラダだけでなく、サンチュのようにお肉をまいて食べたり、煮たり焼いたりとさまざまな調理法で食べることができます。
ここでは、サニーレタスの栽培について、育た方の基本はもちろんのこと、肥料や除草剤、さまざまな害虫の防除方法まで、初心者の方から、レベルアップを目指したい方にもわかりやすく説明します。
サニーレタスの栽培について
サニーレタスの基礎知識
サニーレタスは、リーフレタス(葉レタス)の品種のうち、葉色が濃い赤紫色になる品種の総称です。葉先がカールして縮れたように見えることから、アカチリメンチシャとも呼ばれます。
一般的な結球する玉レタスより栄養価も高く、栽培が簡単で成長した外側からかき取って収穫できることから家庭菜園でも人気の野菜です。
種から60日、苗から30日程度で収穫ができます。冷涼な気候を好み、25℃以上の高温と長日で花芽分化し抽だいします。抽だいすると株が大きくならないので栽培時期に25℃以上にならない時期に、植え付けをすることが大切です。
土質は選びませんが、土壌水分の多く含まれた有機質の多い土壌を好みます。種から始める場合は、直播ではなく、ポットなどで育苗してから畑に植え付けして育てます。
作物名 | サニーレタス |
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科目 | キク科アキノノゲシ属 |
原産地 | 西アジア、地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 15℃~20℃ |
生育適温 | 15℃~20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
連作栽培 | 不可 2年以上 |
育てやすさ | 時期を選べば、やさしい |
品種
品種名 | レッドウェーブ | レッドファイヤー | ロザンナ | サンブライト | 晩抽サーフレッド |
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概要 | |||||
葉っぱ | 葉が厚くてジューシー | 葉は幅広くやわらか | 葉数が多く、鮮やかな赤色 | 葉数が多く、 肉厚くで柔らか | 葉肉の厚さは中くらいでやや硬め |
耐寒性・耐暑性 | 耐暑性△耐寒性〇 | 耐暑性△耐寒性〇 | 耐暑性△耐寒性〇 | 耐暑性〇耐寒性〇 | 耐暑性〇耐寒性△ |
特徴 | 低温でもよく育つ 冬春どり作型向き | 早生の多収種 栽培しやすい | 低温期に株が大きくなる早生種 | 高温期でも赤色の発色がよい極早生種 | 極晩抽性の中生種。 高温期栽培向き |
栽培時期(作型)
サニーレタスの栽培時期(作型)は、周年行われていますが、春まき栽培と秋まき栽培が一般的です。夏まきは温度が温度調整が必要なため、寒冷地で行われます。
作型 | 播種(種まき)時期 | 収穫時期 | 備考 |
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春まき栽培 | 2月~3月 | 5月~6月 | 播種が遅くなるほど、とう立ちやすくなります。 |
夏まき栽培 | 7月中旬~8月中旬 | 10月~11月 | 寒冷地向け |
秋まき栽培 | 9月中旬~10月上旬 | 12月~4月 | 播種が遅くなると、冬に保温が必要になります。 |
初心者の人には春まき栽培がおすすめ。育苗時に保温が必要な場合もありますが、定植してからは病害虫も少なく手間のかからない作型です。秋まき栽培では、畑では平均気温が10℃以下になる晩秋には、防霜、保温が必要になります。
栽培する地域に合わせて、播種・定植の時期を決めること、時期にあった品種を選んで種をまくことが成功のポイントです。
サニーレタスの育苗の方法
サニーレタスの栽培は、種か苗から始めます。種から定植までは30日間ほどかかります。早く収穫したい場合には、苗もホームセンターなどで販売されています。
地植えの場合は、直まきは発芽がそろわず、欠株、間引きなどの手間がかかるため育苗後、定植する方法が一般的です。プランターなどでは、直播して育てることができます。育苗には、育苗箱やセルトレイ、ポリポットなどを使って育てます。ここではセルトレイでの育苗方法について説明します。
用意するもの
- 好きなサニーレタスの種子
- セルトレイ(200穴)
- セルトレイ用育苗土
育苗の手順
- セルトレイに育苗土を均等にいれます。トントンと叩いて土をならし、空いた隙間に土をいれます。
- 水やりをして、しっかり土に水を含ませます
- セル穴を軽く鎮圧しながら、播種穴を作り、各穴に数粒づつまきます。
- 軽く覆土(3㎜程度)します。サニーレタスは光がないと発芽しない好光種なので、被せる土が多いと発芽しにくくなります。
- 種が流れないように、細めのジョウロで十分灌水させます。
- 発芽するまでは、新聞紙をかけて日陰で管理します。
- 発芽したら、新聞紙を取りすぐに日当たりの良い場所へ。レタスは日照時間が少ないとすぐに徒長します。
- 播種後10日以内に、一番良い苗だけを残しセル穴に1株になるよう間引きします。
- セルトレイは乾燥しやすいので、こまめに毎日午前中に水やりをしましょう
- 種まきから30日ほど、本葉が3~4枚程度になれば定植の時期です。
サニーレタス栽培の手順(畑)
それでは、ここでは畑でサニーレタスを栽培する手順について説明していきます。個別の詳しい説明は、サニーレタスの育て方で説明しています。
用意するもの
手順
- 手順1
種をまく前の2週間前~10日前までに土づくりと施肥をします。
肥料は、全面施肥で行います。
畑に、堆肥と苦土石灰を入れよく耕します。その後、化成肥料を施肥し、
土とよく混ぜます。
畝幅60~70cmの平畝をたて、黒マルチを張ります。 - 手順2定植
株間25~30cmに植え穴を掘り、苗を植えつけます。
深植せず、根鉢が隠れる程度に植え付けた後、株元にかん水しておきます。 - 手順3
- 手順4
品種にもよりますが、定植から30日程度、葉長が20cm~25cmになったら収穫の時期です。
株元から切り取って収穫する、もしくは外側から少しずつ収穫するかき取り収穫をすると収穫期間が長く楽しめます。
サニーレタスの育て方
畑の準備
栽培前に畑を準備しましょう。手順は下記のとおりです。
- 牛糞などの堆肥を、1㎡あたり5kg程度をまいてよく施します。
- 堆肥を撒いてから1週間ほどたってから、苦土石灰を1㎡あたり150gと元肥として有機肥料や化成肥料を施肥し、土とよく混ぜて耕してから畝を立てます。
- 2から10日ほどたってから、種をまきます。
土づくり
よい野菜を作るには、土づくりが大切です。サニーレタスのの適性な土壌酸度は、6.0〜6.5ですが、土壌酸度の適応力が高く、土をあまり選ばない野菜です。土壌水分が多く含まれた土を好むため、保水性を高めるため堆肥を多めに使い、有機質の多い土壌にするとよいでしょう。
一般的に野菜を栽培している畑などでは、土は酸性に傾くことが多いため、苦土石灰を使って酸度調整をします。アルカリ性に傾いている場合には、ピートモス(無調整)や、硫安を使って調整しましょう。
酸性に傾いているときは、堆肥と苦土石灰を使います。しかし堆肥と石灰を一緒にまくと堆肥に含まれている窒素がアンモニアとして逃げてしまうので、1週間ほどあけましょう。また石灰をまいてからphの数値に変化がでるまで1週間から10日ほどかかるので、種まきはそれから行うとよいでしょう。
元肥
サニーレタスは、栽培時期が短いため肥料は元肥をしっかり施しましょう。
堆肥にも肥料は含まれます。堆肥は完熟したものを使いましょう。完熟牛糞堆肥などがよいでしょう。肥料は、窒素・リン酸・カリが同量はいった8-8-8などの化成肥料や有機肥料が使えます。
畝立て
土づくりと元肥の散布が終わったら、畝を立てましょう。畝(ウネ)とは、栽培をするために畑の土を細く盛り上げた栽培床です。畝幅や条間、通路幅などの用語は下の図を参考にしてください。
畝幅 | 畝高 | 条間 | 株間 |
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60~70cm | 10cm | 25~30cm | 25~30㎝ |
マルチについて
サニーレタスの栽培は、保水効果もあるマルチ栽培が基本です。畝を立て終わったら、マルチシート(マルチ)を張りましょう。マルチには黒、白、シルバーなどいろいろな種類があります。マルチを張ることによって、地温の上昇や保温、除草に有効です。また、肥料の流亡を防ぐこともできます。
サニーレタスには、春先や晩秋の低温期に定植することが多いので、地温上昇効果がある「黒マルチ」がおすすめです。それ以外の時期に定植する場合は、地温を抑制する効果が高い「白黒マルチ」を張るとよいでしょう。
追肥
畑で栽培するときには、栽培期間が短いため追肥は不要です。プランター栽培などでは、水やりで肥料が流れてしまうため、液体肥料などを追肥することもあります。秋まきなどで栽培期間が長い場合には、元肥の肥料の量を増やすなどをして対応しましょう。
元肥をしっかり上げていないと肥料切れすることもあります。葉の色が薄く、生育があまりよくない場合は、液体肥料などを上げて様子をみるとよいでしょう。
収穫
草丈が20cm~25cmほどになったら収穫の時期です。家庭菜園などでは、かき取り収穫もおすすめです。外側から少しずつかき取って収穫することで、収穫期間を長くすることができます。かき取り収穫をする場合は、芯葉を7枚以上残しておきましょう。
除草について
栽培が比較的簡単で栽培期間も短いサニーレタスですが、雑草が生えると、サニーレタスの生長に影響を及ぼすだけでなく病害虫のリスクも高まります。栽培前にしっかりと除草しておきましょう。
除草剤を使う場合は、サニーレタスは収穫頃に散布できる除草剤は少なく、非選択性の除草剤を使うとサニーレタスに薬害が出やすく手間がかかります。栽培期間も短いので、サニーレタスには雑草の発芽を止めて生えさせない「土壌処理剤」で、雑草が生えさせないことが大切です。種まきと同時に、土壌処理剤を散布することで収穫まで雑草の繁殖を防ぐことができます。
土壌処理剤は、播種後発芽前までに散布することで雑草の発生を抑制します。サニーレタスには、ゴーゴーサン細粒剤Fやトレファノサイド乳剤などが使えます。
除草剤はその野菜に適用のあるものしか使えません。サニーレタスは商品名ですので、リーフレタスに適用があるか確認しましょう。ラベルをしっかり読んで、使い方を間違えないようにしましょう。
防除について
防除という言葉をご存じでしょうか。防除とは、農業でよく使われる言葉で、「農業害虫や病害の予防および駆除」を意味します。
具体的には、農作物の栽培時に発生する、害虫や病気を事前に予防したり、既に発生している場合、それを駆除、排除すること、を指すと言えるでしょう。「防除」はこのように、「予防」という観点が入っていることから、「防除」と「駆除」は意味が異なってきます。また、防除は別名で、ペストコントロールとも呼ばれます。
農作物を作る際には、病害虫は避けられない問題です。それぞれに合った農薬を使うか、農薬を使いたくない場合には、病害虫の発生を抑えるためには、排水がよくない場所では畝を高くしたり、雨よけトンネルやマルチなどが有効です。
サニーレタスは、害虫や病気には比較的強いですが、秋冬のトンネル栽培などで発生する可能性が高くなります。病気ではベト病、灰色カビ病、軟腐病、害虫はアブラムシ類、ネキリムシ、ハンモンヨトウなどが発生しやすくなります。
栽培時期、地域により発生する病害虫はことなります。農家などでは、防除暦と呼ばれる、作物ごとの病害虫を防除するために、農薬名・希釈倍数・散布時期・散布回数・使用方法などが記載された表が、各地域で作成され配布されています。
農家webには、各地域、作物、を選ぶと、その作物に発生する病害虫、それを防除するための複数のおすすめ農薬を一覧で見ることがwebで検索できる「農家web防除暦」があります。害虫や病気に困ったら、こちらも活用してみてください。
その他のサニーレタスの栽培方法
サニーレタスは、サラダにしてとれたてを食べることができるので、ベランダ栽培や水耕栽培も人気があります。収穫量はすくないですが、気軽につくれる栽培方法です。