玉ねぎの栽培は、家庭菜園初心者でも比較的簡単にプランターで育てることができます。ここでは玉ねぎをプランターで育てる方法について、種まき、苗の植え付けから水やりや追肥などの栽培管理から収穫までわかりやすく説明します。
玉ねぎのプランター栽培のポイント
プランターでは玉ねぎは大きくならないと思っている方もいるかもしれませんが、深植えせず、株間をきっちりとり、適期に肥料を与えて育てればプランターでも大きな玉ねぎを収穫することができます。
玉ねぎの栽培は、9月ごろからタネをまいて育てる方法や、11月頃に出回る苗を入手して育てる方法、夏にオニオンセット・セット球・ホームタマネギなどの名前で出回る子球(タネ球)から育てる方法があります。
育苗には2か月ほどかかるので、初心者の人は苗や子球から始めるのがおすすめです。
玉ねぎは根がそれほど深く張らないため、深さ20cmほどのプランターで栽培が可能です。ホームセンターなどでよく見かける標準サイズのプランターがおすすめです。
標準サイズのプランターは横幅が65cm程度、容量が15ℓほどなので、野菜の培養土が1袋13ℓ~14ℓなので、ちょうど1袋分になります。
苗から始めるプランター栽培
ホームセンターの苗は、植え付け時期になるとホームセンターなどに並びます。プランター栽培で葉の苗の数も多く必要ではないので、苗から始めるのがおすすめです。
植え付け時期
購入した苗を植えつける場合、苗の植え付けの時期は、品種により異なりますが11月中旬~12月上旬です。
早生品種は11月中旬から下旬、中生~中晩生品種は11月下旬から12月上旬が植え付け適期です。
用意するもの
手順
- 手順1
苗はできるだけ買ってきた当日に植え付けします。鉛筆と同じぐらいの太さの苗を選びましょう。太すぎるとトウが立ちやすいので避けましょう。
ポット苗などの場合は、バケツに水を入れ、苗をポットから外し、水の中で土をやさしく落とします。傷んでいる苗がある場合は、除いておきます。
- 手順2
プランターに野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
標準プランターでは2列、株間は15cm間隔で苗を植えつけます。苗は、根元の白い部分の半分ほど、根元から2cmほどの部分まで。植え付けした後に、茎の白い部分が地上に出るように浅植えします。植え付けたら、プランターの底から水がでるまで水やりをします。
- 手順3
追肥は2回行います。1回目は植え付けから25日後と、2回目は2月下旬から3月上旬に化成肥料をまき、土を足して土寄せしておきます。
- 手順4収穫
球の肥大が終わると、葉の根元が空洞化して葉が倒れます。これが収穫の合図です。根元をもって引き抜き、数時間風にあてて乾かしましょう。
子球から育てるホームタマネギ栽培
植え付け時期
ホームタマネギとは、玉ねぎの球根で、種からミニサイズの玉ねぎまで育てられたもの。栽培期間が短く夏に植え付けをすると冬には収穫ができます。
植え付け時期は8月下旬から9月上旬が適期です。
用意するもの
- 玉ねぎの子球(種球)
- プランター(標準プランター)
- 培養土(元肥入りの野菜の培養土)
- 化成肥料
手順
- 手順1
プランターに野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
標準プランターでは2列、株間は15cmほどとり、指で1cmほどの深さの植え穴をつくります。植え穴に、子球を植えつけます。子球の先端が見える程度、2/3ほどが埋まる程度、浅く植えつけます。植え付けたら、プランターの底から水がでるまで水やりをします。
- 手順2
栽培期間が短いため、追肥は1回。9月下旬から10月上旬に1度、速効性の化成肥料を施しましょう。
- 手順3収穫
球の肥大が終わると、葉の根元が空洞化して葉が倒れます。これが収穫の合図です。根元をもって引き抜き、数時間風にあてて乾かしましょう。
玉ねぎの育苗(種まきから育てる場合)
畑などで育てる場合は、育苗畑で育てますが、プランター・鉢植えなどではタネを直播して、そのまま栽培していきます。
用意するもの
- 玉ねぎの種
- プランター(標準サイズ)
- 培養土(元肥入りの野菜の培養土)
- 不織布、寒冷紗、新聞紙など
手順
- プランターに、培養土を入れます。用土はプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。
- 種をまきやすくするために、軽くまき溝を作ります。標準プランターであれば、2列がよいでしょう。
- まき溝を作ったら、その溝に合わせて5mm間隔で条播き(すじまき)します。
- まき終わったら、5mm程度覆土しましょう。覆土のときには、周りの土を寄せるより培養土をさらにかぶせてあげるとやりやすいです。覆土をしたら、軽く手で鎮圧してやります。その後、水やりをしましょう。不織布や新聞紙、寒冷紗などの資材でその上を覆うと乾燥しづらくなるのでおすすめです。
- 1週間程度で発芽してきます。発芽するまでは乾燥に気をつけて、表面が乾燥しているようであれば、水やりをしましょう。発芽してきたら、不織布などべた掛け資材を外してやります。
- 発芽してきたら、間引きを行います。間引きは2回。1回目は発芽したら株間が2cm程度になるように間引きします。2回目は草丈が10cm程度になったら、株間が5cm程度になるように間引きます。
- 種まきから1か月ほどしたら、追肥をします。2週間に1度2回~3回化成肥料を施肥します。苗が順調にそだっているようなら、その後は苗から育てるのと同様に、春になるまで追肥は必要ありません。
玉ねぎ栽培 プランターでの育て方
日当たり・水やり
玉ねぎは日当たりの良い場所を好みます。できるだけ日の当たる場所で管理しましょう。また乾燥が苦手なので、水切れをおこさないように育てます。
特に苗の植えつけ後は、根がつくまでは十分に水を与えます。土の表面が乾いたら、プランターの底から水がでるまで水やりをしましょう。玉ねぎが肥大する時期(4月~5月)は、水を切らさず育てると球を大きく育てることができます。
苗の準備
苗は、植え付け時期より少し前にホームセンターや種苗店で出回ります。しかし植え付け時期より、早く植え付けすると、トウ立ちのリスクが高まります。それぞれの植えつけ時期にあった品種を選びましょう。品種がわからない場合には、お店の人に相談しましょう。
苗を選ぶときには、草丈が20cm~30cm、太さは6㎜~7㎜程度、葉が真っすぐ伸びており、根が白く良く伸びているものが良い苗です。
ポット苗など土の付いている苗は、バケツに水を張り、水の中で優しく土を落としてよい苗を選んで植えつけましょう。裸苗は、定植後は十分にかん水して発根を促しましょう。
植え付け
苗や子球を植えつける場合のポイントは、浅植えです。苗であれば、白い部分の半分程度が土に埋まる程度に植え付けます。子球の場合も、先端は土の上から出るように植えつけします。深植えすると、春の生育が悪くなりやすいので、気をつけましょう。
植え付けは、親指と人差し指で、苗の株元の白い部分(葉梢基部)をつかみ、土に押し込むように差し込んで、土の中に埋めて株元をしっかり押さえましょう。
株間、条間は15cmが基本ですが、品種により玉の大きさは違うので、大きさに合わせて株間・条間は調整しましょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、種、苗、子球から育てる場合に追肥の時期が異なるので、注意しましょう。春まき栽培では、畑などでは追肥は不要ですが、プランターの場合は水やりで肥料が流れやすいため、苗の植え付けから1か月後に、化成肥料を追肥しましょう。
肥料は玉ねぎ専用の肥料や、有機肥料なども使えます。プランターの場合は、有機肥料だと臭いが気になるという人には、化成肥料がおすすめです。住友化学園芸の「マーガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「花と野菜と果実の肥料」などを使うとよいでしょう。
玉ねぎにおすすめの肥料については、下記に詳しい記事があるのでこちらも参考にしてください。
玉ねぎは肥料切れになると、葉が黄色くなったりとう立ちがしやすくなります。肥料切れかもしれないと思ったらこちらの記事も参考にください
容器・用土
玉ねぎの容器はプランターや鉢植えで育てることができます。深さが15cm以上あれば、発砲スチロールなどでも栽培できます。
用土は、元肥入りの野菜の培養土が便利ですが、連作につよいため古土もつかうことができます。植物を育てた土は、酸性に傾いていることが多いので、土壌酸度を測り酸性に傾いているようなら、苦土石灰20ℊ程度を土に混ぜておくとよいでしょう。
玉ねぎ栽培の基本情報
玉ねぎの基礎知識
玉ねぎの栽培は、畑だけでなく、プランターや鉢植えでも育てることができます。苗の植えつけから収穫まで90日~160日と栽培期間は長いですが、あまり手間がかからず、病害虫の被害も少ないことから、初心者の人でも育てやすい野菜です。
寒さに強く、冷涼な気候を好みます。おいしくて大きな玉ねぎを栽培するためには、花芽の分化・トウ立ちを防ぐことです。とう立ちした玉ねぎは、中心に芯が入って硬くなり味が落ちたり、球(りん茎)が大きくなりません。そのためには播種・定植の時期、肥料の与え方に気をつけてとう立ちを防ぐ必要があります。
作物名 | タマネギ |
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科目 | ヒガンバナ科 |
原産地 | 中央アジア |
発芽適温(地温) | 20℃前後 |
生育適温 | 15℃~25℃(品種による) |
土壌酸度(pH) | 6.0〜7.0 |
育てやすさ | 比較的簡単、初心者でもOK |
栽培時期と品種
玉ねぎが大きく育つためには、日長と温度によります。日本での栽培は、大きく2つ。北海道や寒冷地では春まき栽培、それ以外は秋まき栽培が基本です。
玉ねぎは、品種が多くありますがタネまきから収穫までの期間を基準にして、極早生・早生・中早生・中生・中晩生・晩生と分けられています。極早生~早生は生がおいしくみずみずしいですが、日持ちはしません。中晩生から晩生の品種は、辛みが強く、加熱甘みがまし日持ちするのが特徴です。秋まき栽培では、極早生から中晩生を、春まき栽培では、晩生の品種を栽培します。
子球(種球)から育てるホームタマネギ(オニオンセット)は、収穫までの期間が短いので育てやすいです。8月下旬に植え付けすれば、年内に収穫することもできます。低温期でも育ちやすい極早生・早生品種がおすすめですが7℃以下になると肥大しにくくなるので、暖地向きです。
作型 | 播種(種まき)時期 | 定植時期 | 収穫 | 備考 |
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春まき栽培 | 2月~3月 | 4月 | 9月 | 北海道・寒冷地向き |
秋まき栽培 | 8月下旬~10月初旬 | 10月下旬~11月 | 4月~5月 | 一般地・暖地向き |
ホームタマネギ(種球) | ー | 8月下旬~10月 | 11月~翌年3月 | 暖地向き |
まとめ
玉ねぎのプランター栽培は、手軽に始めたい人にも、本格的に種から始めたい人でも栽培できる方法です。新たまねぎは、長期の貯蔵には向きませんが収穫したての生の玉ねぎは甘くておいしいので家庭菜園でもおすすめです。
玉ねぎは品種が多くあるので、プランターや鉢植えなら、さまざまな品種の玉ねぎをたのしむこともできます。ぜひプランターの玉ねぎ栽培にチャレンジしてみてください。
本格的に畑で栽培したい人には、こちらの記事がおすすめです。玉ねぎの品種についても詳しく説明しています。