ハオルチア(ハオルシア)は、放射状に広がる葉が特徴の多肉植物です。サイズも小型の品種が多く、他の多肉植物に比べて太陽の光をそれほど必要としないので、室内でも育てやすい多肉植物です。
この記事では、ハオルチアを使った水栽培(水耕栽培)の始め方や育て方などを、初心者の人でもわかりやすく説明します。
ハオルチアの基礎知識と水栽培を始める時期
ハオルチアの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
多肉植物はその生育期によって、春秋型・夏型・冬型を区分けされておりハオルチアは、 春と秋に盛んに生育する「春秋型」です。10〜25°Cの範囲で生育が旺盛になります。夏は暑さのせいで生育が悪く、根腐れや蒸れを避けるために、休眠させる必要があり、冬は寒さのために自然に休眠します。茎や葉が柔らかく、色鮮やかで草花のような雰囲気を持つ多肉タイプです。
多湿が苦手なのに、水栽培で育てられるのはどうしてでしょうか。実は多肉植物の枯らす原因は水やりの失敗による根腐れが一番多い原因。水栽培は水の交換は必要ですが水やりは不要。さらにハオルチアは、強い光が苦手なので半日陰で育てるので、室内での水栽培に向いています。
園芸分類 | 多肉植物・観葉植物 |
学名 | Asphodeloideae Haworthia |
属名 | ツルボラン科ハオルチア属 |
原産地 | 南アフリカ |
草丈・樹高 | 2㎝~20㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 普通 |
花言葉 | 「小さな愛」 |
種類
ハオルチアは、園芸上「軟葉系」と「硬葉系」に分かれます。軟葉系は、柔らかい葉に透明な窓を持つのが特徴で、硬葉系は、硬い葉がシャープなフォルムになるのが特徴です。
品種名 | 特 徴 |
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ハオルチア・オブツーサ | 軟葉系。ハオルチアの原種の一種です。学名のトゥルンカータや、 和名の雫石などで流通しているものもあります。 直径4㎝~10㎝ほどの小型種で、初心者でも育てやすい品種です。 |
京の華 | 軟葉系。別名ハオルチア・シンビフォルミス。 明るく澄んだ緑色の葉がロゼット状につく、美しい品種で人気 丈夫な品種で生長も早い品種です。 |
玉扇(ギョクセン) | 軟葉系。平たい葉を扇状に広げる、個性的な形で、 まるで水平に切断されたように葉先の上部に窓ができます。 |
万象(マンゾウ) | 軟葉系。直径5㎝~10㎝に生長し、中心から太い葉を伸ばして 水平に切られたような葉がロゼット状に広がります。 模様が美しいものは百万円を超えるものもあります。 |
十二の巻(ジュウニノマキ) | 硬葉系の代表品種。先のとがった葉に、鮮やかな白色の模様が入った 昔から人気の品種です。アロエに似ていますが近隣種です。 |
ビスコーサ | 直径2㎝~3㎝で、小さな三角の葉を塔のように重ねて生長します。 休眠期でも根を乾かさないように育てます。 生育は遅いですが、丈夫で株分けなどで簡単に増やせます。 |
水栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期が適期です。ハオルチアの生育期は春と秋、3月から6月、9月~10月までです。できれば、生育期初旬の3月下旬か、9月下旬に行うと、植え替え後の生育期が長くなるので、失敗しにくくなります。
真夏や冬に苗を購入した場合は、生育もゆるやかですので、そのまま土で育て、適期に始めましょう。
ハオルチアの水栽培の手順
ここでは、鉢植えのハオルチアの苗をつかった、水栽培への植え替えの手順について説明します。ハオルチアは、群生して育つタイプであれば株分けして、子株を水栽培にするのもおすすめです。
準備するもの
- ハオルチアの苗
- 透明なガラスの器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK)
- ハサミ、カッター(ライターなどであぶって消毒しておく)
手順
- 土から水に植え替えるハオルチアは1週間ほど水を上げずに乾燥させてから、鉢から外します。
- 根っこをほぐすように土を落とし水で洗い流します。
- 根元を2㎝ほど残して、カッターやハサミで切り落とします。カッターやハサミはライターなどであぶって消毒をしておきましょう。
- 室内の日の当たらない場所で、新聞紙などの上で2~3日乾かします。切り口が湿ったままだと病原菌が発生する恐れもあり、根の傷口をふさぐためにも大切なステップです。ここで土で育っていた根が役割を終えます。
- 切り口が乾いたら、ハオルチアの根が、水面ギリギリになるように水をいれて、器にセットします。
- 室内に日陰に置いて、2~3日に一度水を交換して発根するまで待ちます。早ければ2~3週間で根がでてきます。
発根促進剤について
ハオルチアは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります
ハイドロカルチャーでの植え替え方法の手順を説明します。鉢植えで育った苗は土をよく水洗いして、乾燥させてから植えつけるやり方もありますが、できれば土の根を終えて水栽培用の根を発芽させてから使うのがおすすめです。
準備するもの
- 水栽培用に発根したハオルチアの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- ハオルチアの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もありますのでハイドロカルチャ―に興味のあるかたはお読みください
ハオルチアの水栽培での育て方
置き場所、日当たり
多肉植物は日当たりの良い風通しのよいところが大好きです。しかしハルオチアは、強い光を嫌うため一年中半日陰で育てます。半日陰で風通しの良い場所が最適な栽培環境です。
直射日光は苦手ですが、日に当たらないと株が弱ったり徒長したりします。日当たりのよくない洗面所や寝室などに置く場合は、1週間ごとに明るい日陰へ入れ替えるなど、ローテーションさせてるとよいでしょう。植物用のLED照明も効果的です。
室内で育てている場合は問題ありませんが、寒さには強くありません。5℃以下にならない場所で管理しましょう。冬などは窓際に置いておくと、夜に急激に温度が下がることもあるので注意しましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
多肉植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから3日~5日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから3~5日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。多肉植物の場合は葉水といっても、葉ではなく根元を濡らしましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
水位計は、ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
ハオルチアの水栽培は、肥料がなくても育ちます。肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料や水草用メネデールなどがあります。
水栽培(水耕栽培)のメリット
水耕栽培は、家庭菜園でも農家でも行われる栽培方法ですが、家庭で水耕栽培をするメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 植物の生長が早くなるとともに、質が安定しやすい
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
しかし水だけでは土に比べて養分が足りないため、植物を大きく育てることには不向きです。また日光が必要な植物にはLEDライトなど初期投資がかかることもあります。
水耕栽培のコンテンツ
水栽培は、土や病気の心配もすくない初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。
多肉植物の他にも、観葉植物や花を楽しむ球根、育てて収穫できる野菜やハーブも水耕栽培で育てることができます。100均などで購入した苗やタネを使って、簡単に育てることができます。興味のある方は下記の記事も参考にしてください。育てたい品種や野菜・ハーブ名から育て方がわかります。
まとめ
ハオルチアは、品種によっては高額になるものも多く、盗難事件も起きるほどです。その反面、100均で買えるものもあり、室内で育てやすい多肉植物です。最近では、ガラスの中に小さな庭をつくることができる「テラニウム」でも多肉植物は人気です。
まずは、1種類の多肉植物から始めて水栽培のコツをつかんだら、テラリウムにも挑戦してみてください。