大きな葉っぱが南国ムードを感じさせるクワズイモは、丈夫で育てやすいことから観葉植物として人気があります。クワズイモは、耐陰性もあるので水耕栽培(水栽培)でも育てやすい植物で、株分けや挿し木で増やす時にも、土を使わず水挿しで行うことができます。
この記事では、土で育ったクワズイモの苗から、株分け、さし木、植え替えで始める水栽培や、ハイドロカルチャーや水耕栽培での育て方についてわかりやすく説明します。
クワズイモの基礎知識と水栽培を始める時期
クワズイモの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
クワズイモは、正式名称はアロカシア・オドラ。アロカシア(アローカシア)としても流通しています。サトイモの仲間で、茶色い根茎部分がサトイモは塊状になりますが、クワズイモは棒状に伸びて生長します。最近人気のある塊根植物(コーデックス)にも似た姿が特徴的です。
茎や芋の部分には、不溶性のシュウ酸カルシウムが含まれているため、食すると中毒症状がでます。また樹液にも含まれていますので、カットするときには樹液が触れないようにしましょう。
クワズイモは、温帯や熱帯に多く自生しています。品種に差はありますが、暑さに強く、寒さは苦手です。日当たりの良い場所を好みますが、直射日光は葉焼けするので避けて育てます。小笠原諸島や沖縄などでは自生しているので、暖地では地植えも可能です。生長が早く丈夫で育てやすい植物です。
学名 | Alocasia odora |
属名 | サトイモ科クワズイモ属 |
原産地 | インドから東南アジア |
樹高 | 10cm~2m |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「仲直り」「復縁」 |
水栽培を始める時期
クワズイモの水栽培は、苗、さし木、株分けから始めることができます。水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。クワズイモの生育期は、春から秋、5月~9月頃までです。植え替えや株分けは、真夏を避けた生育初期の5月下旬~7月が適期です。
植え替えや株分けは手術と一緒です。植物の育ってきた環境を大きく変えるため、夏や冬に行い、根や茎を傷つけると修復できない可能性もあります。
クワズイモの水挿し(水栽培)の手順
まずはクワズイモの水栽培で、発芽させる手順の説明をします。
クワズイモは、樹液にシュウ酸カルシウムが含まれており、皮膚に触れると炎症やかぶれ、かゆみなどを伴うことがあるので、カットするときには手袋などをするか、樹液に触れないよう注意しましょう。
さし木の準備
クワズイモは、葉が大きく成長しますが、緑色の葉の部分(葉柄)を、さし芽にすることはできません。茶色くなった根茎の部分をカットして使います。根は茎節からでてくるため、2節~3節の茎節を残して切りましょう。ハサミなどでは切りにくいのでナイフや包丁などで切ります。
切り口は雑菌が入るのを防ぐため、風通しのよい日陰で2日程度、乾燥させます。乾燥したら、葉は全部ハサミでカットします。新芽が出る部分を残してカットしましょう。葉は小さいものでしたら1~2枚ほど残しておいても大丈夫です。
それでは、準備できた苗を使って水挿しの手順を説明します。ハイドロカルチャーで育てる場合も、水挿しで水耕栽培用の根を育ててから植え替えると、発根を確認できるため安心です。
準備するもの
- クワズイモのさし芽
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK)
- メネデール(発根促進剤なくても可・発根の成功率が上がります)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- クワズイモのさし芽を入れます。根や節が水につかるまで入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 明るい日陰で室内で管理しましょう。2~4週間程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培で育てましょう。
発根促進剤について
生命力の強いクワズイモは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
クワズイモの水耕栽培の手順
それでは、土のかわりの培土を使わず水と肥料だけで育てる、水耕栽培から説明します。さし木を水挿しで発根させて、新芽がでてくるようになったら肥料を与えて育てます。
土で育った苗や、株分けで育った苗からも水耕栽培に移行させることはできます。しかし土から育ったクワズイモは、根が土から栄養をとりやすいような根のため、うまく水耕栽培に移行できないことがあります。水耕栽培用の根が発芽するまでは、乾燥しているようなら葉水を与えて乾燥させないようにしましょう。
苗を使う場合
土で育った苗を水耕栽培に移行することもできます。
- 植え替える鉢植えは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からマドカズラを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水で良く洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を半日から1日程度乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
株分けした子株を使う場合
クワズイモは成長すると親株の横から子株がでて増えていきます。この子株を植え替え時に株分けして水栽培してみましょう。
- 植え替える鉢植えは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 親株と子株の根を丁寧にほぐして分けましょう。
- 水栽培に使う子株は、根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
準備するもの
- 水挿しで発根したクワズイモの苗 or 土を洗い流したクワズイモの苗
- 容器(透明なガラスのほうが、水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。根は酸素が必要です。根茎が全部つかると根腐れが起きやすいので、3分の2ほどの水位にしましょう。
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤と使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
水栽培で育てて、水耕栽培用の根がしっかり張ってきたら、ハイドロカルチャーでの植え付けして栽培するのもおすすめです。
準備するもの
- 水挿しで発根したクワズイモの苗 or 土を洗い落としたクワズイモの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- クワズイモの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
クワズイモの水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
クワズイモは、日光を好みます。しかし水耕栽培では、直射日光に当てると葉焼けや水温が上がりすぎる危険もあります。直射日光を避けた明るい日陰もしくは夏以外は、カーテン越しの光が当たる窓際で管理しましょう。耐陰性もある程度はありますが、徒長したり姿が乱れることがあります。
クワズイモは熱帯に自生しているので耐寒性はそれほど強くありません。特にインドクワズイモは寒さに弱いため、10℃以下にならないように冬は室内で管理しましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の5分の1程度まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
クワズイモの水耕栽培は、肥料はそれほどなくとも育ちます。しかし水耕栽培は土から栄養が取れないため肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料や水草用メネデールなどがあります。
まとめ
クワズイモは、最近ではダイソーなどの100均でも見かけるようになった人気の観葉植物です。水耕栽培では生育が緩慢になります。大きく育てたい人は、土での栽培がおすすめです。コンパクトに育てたい人には、ハイドロカルチャーがおすすめです。
ハイドロカルチャーで育てる場合は、透明なガラスなどはおしゃれですが、日光に当てると藻が発生しやすいので容器をこまめに洗う必要があります。遮光できる容器は水やりが難しくなるので、専用のポットや水位計がセットになったものを使うのもおすすめです。
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