フィカス・ウランベータは生育が旺盛なので、剪定した枝から水挿しで増やすこともできます。ここではフィカス・ウンベラータのさし木の水栽培(水挿し)の方法や、水耕栽培やハイドロカルチャーでの育て方の基本などをわかりやすく説明します。
フィカス・ウンベラータの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
水耕栽培で育てやすいのは、大葉やバジルなどのハーブやリーフレタスなどの葉物野菜があげられます。観葉植物では、パキラやシュフレラ、サンスベリアなどが水耕栽培では育てやすいですが、多肉植物やサボテンなどでも水の管理をきちんと行えば水耕栽培でも育てることが可能です。
大きく育つウンベラータは土の栽培の方が容易ですが、ハイドロカルチャーでも育てることができます。またウンベラータは水栽培でふやすのは簡単ですので、水栽培(水挿し)で発根した後に土に植え替えることもできます。
フィカス・ウンベラータの水挿しの方法
剪定した茎をつかった、挿し木の水栽培(水挿し)で発根させる方法について説明します。
さし木の時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。ウンベラータの生育期は4月〜9月の春から秋です。この時期であればいつでも行えますが、できれば真夏を避けた、生育初期の5月下旬~7月頃が最適です。冬は剪定された親株も成長が止まるため、ダメージがおおきいので避けましょう。
さし木の準備
ウンベラータは成長が早く、剪定をせずに育てると小さな苗は、上にどんどん伸びていきます。先端を剪定することで、枝が分岐します。この枝を使ってさし木にすることができます。葉が伸びている茎の部分でも節があれば、さし木として使えます。しかし節のない葉、葉柄では新しい芽がでる生長点がないためさし木には使えないので注意しましょう。節は2~3節あるのが理想です。
切り取った茎は、葉を落とします。上の葉は大きい場合は、半分に切っておくことで葉から蒸発を防ぐことができます。切り口は斜めにカットしておきます。切った際に白い樹液がでてきます。これに触れるとかぶれたりすることがあるので、手袋などをして触れないようにて洗いながします。
準備するもの
- ウンベラータの茎
- 透明な容器(ウンベラータの茎が倒れない高さのもの。花瓶やペットボトルなどでも可)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- ウンベラータの茎を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 明るい日陰で室内で管理しましょう。2週間~1か月程度で新しい根っこが生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや土に植え替えして育てましょう。
発根促進剤について
生命力の強いウンベラータは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
ハイドロカルチャーへ植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
培土を使わず水だけで育てることも、ある程度の大きさまでであれば可能ですがウンベラータは成長も早く、背丈が大きくなるためハイドロカルチャーでの栽培がおすすめです。水耕栽培にこだわらないのであれば、土に植え替えたほうが大きく成長します。
準備するもの
- 水挿しで発根したウンベラータの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- ウンベラータの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
フィカス・ウンベラータの育て方(ハイドロカルチャー)
フィカス・ウンベラータの特徴
栽培を始める前に、フィカス・ウンベラータのことを知っておきましょう。植物を育てるときに、植物のルーツや自生する環境などを知ると、植物がどんな環境を好むか知ることができ栽培しやすくなります。
フィカス・ウンべラータはゴムの木の仲間で、熱帯アフリカ原産の常用樹。大きな葉と白い幹が特徴的で、耐陰性もあり室内でも育てやすいことから、インテリアプランツとして近年人気の観葉植物です。一般的にはウンベラータとして流通していることもあります。
丈夫で成長が早く、自生地では10m以上にもなる高木です。熱帯が原産のため暑さに強く、耐寒性もそれほど弱くありません。10℃以下になったら室内で栽培すれば冬越しもできます。生育旺盛なのでさし木や取り木で簡単に増やすこともできます。
学名 | Ficus umbellata |
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属名 | クワ科フィカス属 |
原産地 | 熱帯アフリカ |
樹高 | 80~170cm |
生育適温 | 20℃~30℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 普通 耐暑性 強い |
花言葉 | 「永久の幸せ」「夫婦愛」 |
栽培環境
基本は風通しの良い、明るい室内に置きましょう。窓辺などが適しています。ガラスの鉢で育てている場合は、夏の直射日光はガラス越しの光で中の温度が上がってしまう心配や葉焼けすることも。
ウンベラータは耐陰性もあるので、日陰でも育ちますが、日当たりの良い場所を好みます。日当てないとヒョロヒョロと徒長してしまうこともあります。春から秋の生長期はカーテン越しの光が当たる、明るい場所で管理しましょう。冬は窓際で日が当たるように育てます。
寒さが苦手です。冬は窓辺に置いておくと夜間に急激に寒くなりますので、窓辺から部屋の中央に移してあげましょう。冬は5℃以下にならないようにして冬越します。
水やり
多肉植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。ウンベラータは、春から秋は生育期で、冬は休眠期です。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるので通常の観葉植物でも、水がなくなってから2日~3日ほど待って水やりをします。生育期には、水やりはハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いので、3日~5日ほど待ってから与えましょう。水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。
水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから3~5日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。休眠期は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、ハイドロカルチャーに最適な肥料は液体肥料です。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
ハイポネックスにはハイドロカルチャー用の液体肥料もあります。ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
剪定
ウンベラータは、生長が早く剪定をしないと、背丈だけが伸びてしまいます。生長に合わせて毎年剪定をしましょう。先端をカットすれば、Y字に枝分かれするようになります。深く切り戻しして、葉がない状態になっても、すぐに新芽がでるので生育期であれば、あまり心配せずに剪定することができます。
太い幹の部分を剪定する場合は、切り口の保護を保護する「癒合材」を使って、雑菌がはいらないようにしましょう。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
ウンベラータは成長が早いので、上手に育てればハイドロカルチャーでも、お部屋のインテリアツリーとしてある程度の大きさに育てることができます。土で育てる場合も、一度水栽培で発根させてから、赤玉土などに挿して育てると、発根が確認できるため安心です。土に移行する場合には、うまく水を吸収できないこともあるので、葉水などで乾燥を防ぎましょう。
ハート型の葉は、花言葉も素敵ですのでプレゼントとしても喜ばれます。ぜひフィカス・ウンベラータを水栽培でふやして、育ててみてください。
ハイドロカルチャー用の苗も販売されています。すでにハイドロボールに植え付けられているものや、水やりやすい鉢や水位計などがセットされているものもあります。苗から育てたいのであればこちらもおすすめです。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。
品種名から栽培方法を探すことができます。