イタリアンパセリは、パセリの仲間で香りが強く水耕栽培で育てやすいハーブです。この記事では、イタリアンパセリの水耕栽培の始め方から、失敗しない育て方のポイントなどを、わかりやすく説明します。
イタリアンパセリの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
葉物野菜は水耕栽培に向いており、リーフレタスやベビーリーフ、ルッコラ、大葉、クレソンなどのハーブ類は水耕栽培に向いています。イタリアンパセリは栽培が簡単で、日当たりを好みますが直射日光が苦手なので、室内で育てる水耕栽培に向いている植物です。
イタリアンパセリの水耕栽培は、苗から始めるのが一般的です。種からも育てることはできますが、初期成長が遅く、苗になるまでに2か月以上。収穫には100日以上かかります。家庭では一株あれば十分ですので、園芸店やホームセンターなどで苗を買ってきて始めるのがよいでしょう。
苗から始める イタリアンパセリの水耕栽培
ではまず苗から始める水耕栽培について説明します。イタリアンパセリは、草丈が大きくなるハーブです。苗が小さいころであれば、ペットボトルとスポンジを使った方法でも育てることは可能ですが、倒れやすくなります。
ここではハイドロボールをつかったハイドロカルチャーでの水耕栽培の手順を説明します。
準備するもの
- イタリアンパセリの苗 or育苗した苗
- ハイドロボール 小粒or中粒 (事前に水洗いをしておきます)
- 穴の開いていない容器(透明なものだと、外から水量がわかりやすい)
- 根腐れ防止剤(ゼオライト・ミリオンAなど なくても可)
- 水耕栽培用の肥料
手順
- 手順1イタリアンパセリの苗を準備する
ポット苗をポットから出します。土をほぐしながら落とします。
散水ノズルを使って、根の周りについている土をきれいに落とします。スポンジで育苗した苗は、スポンジは外さず、そのまま植え付けます。
- 手順2容器に植え付け
穴の開いていない容器に、底が見えなくなるぐらい根腐れ防止剤を入れます。その上に、ハイドロボールを3分の1ほど入れます。
イタリアンパセリの苗を、中央に置きハイドロボールを追加して、隙間ができないよう割り箸等で突いて固定させます。
- 手順3培養液を入れる
培養液(肥料を入れた水)を、容器の5分の1ほどの量を入れる。水位計があれば水位計のOPまで入れます。
- 手順4培養液で育てる
ハイドロボールが乾いたら、培養液を足して育てます。
- 手順5収穫
本葉が12~13枚ほどになったら収穫の時期です。外葉から2~3枚づつ収穫しましょう。一度に大量に収穫していまうと株が弱ります。
種まきから始めるイタリアンパセリの水耕栽培
家庭では苗から育てるのがおすすめですが、播種(種まき)からも育てることができます。ペットボトルやスポンジを使って育苗をした後、ハイドロボールを使ったハイドロカルチャーへ植え替えするのがおすすめです。
種まきの時期
イタリアンパセリの発芽温度は15℃~25℃と幅広く、時間がかかりますが8℃ぐらいでも発芽します。露地栽培では、3月~5月の春まきと9月~10月の秋まきが種まきの適期です。室内であれば20℃ぐらいを維持できれば発芽させることができます。
準備するもの
- イタリアンパセリの種
- スポンジ(キッチンスポンジでOK やわらかいものを選びましょう。メラニンスポンジは不可)
- ペットボトル(350mlか500ml)
- ハサミ・水・竹串
育苗の手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を2~3粒差し込みます。イタリアンパセリの種は好光性種子なので、あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。発芽までは10日~20日程度かかります。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
本葉が2~3枚出てきたら、成長していない苗があれば間引きしておきます。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
横に這うように成長するので、背の低い陶器のコップなどもおすすめです。
- 手順7植え替える
本葉が5葉~6葉ほどになれば、植え替えの時期です。スポンジのまま苗をペットボトルから外し、ハイドロカルチャーへ植え替えます。上述の苗から始めるイタリアンパセリの手順にそって植え替えましょう。
イタリアンパセリの水耕栽培の育て方
イタリアンパセリの基礎知識
栽培を始める前に、イタリアンパセリのことを知っておきましょう。植物を育てるときに、植物のルーツや自生する環境などを知ると、植物がどんな環境を好むか知ることができ栽培しやすくなります。
イタリアンパセリは、料理の添え物などに使われるパセリの仲間ですが、パセリのように葉が縮れてカールしておらず、平坦な葉をしておりパクチーと似た見た目をしています。一般的なパセリより香りが強く、味はくせがないので料理の風味つけなどによく使われます。
耐暑性や耐寒性も強いほうですが、25℃以上になるとひょろひょろと茎ばかりのびる徒長気味になりやすく、5℃以下になると成長が鈍化します。栽培はプランターや露地栽培(地植え)、水耕栽培でも育てることができます。
学名 | Petroselinum neapolitanum |
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属名 | セリ科オランダゼリ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
発芽温度 | 15℃~25℃ |
生育適温 | 15℃~20℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 やや強い 耐暑性 やや強い |
置き場所、日当たり
イタリアンパセリは日の当たる場所を好みます。基本的には日当たりがよく風通しの良い場所で育てましょう。比較的暑さにも強いので、室内であれば夏でも育てることはできますができれば25℃以上にならない場所で管理しましょう。また夏の直射日光は、葉焼けや容器内の温度が高すぎる可能性があるので、カーテン越しの光で育てましょう。
寒さにも強いので、冬も収穫することも可能です。ただし5℃以下になると成長が止まりますので、8℃以下にならない環境で育てましょう。窓辺などで育てると夜間急に冷えるので注意が必要です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
育苗をする場合の、理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。休眠期の冬は成長が鈍化しますが、室内であれば成長しているので同様に水やりをしましょう。乾燥時には霧吹きで葉水を与えて湿度を与えてください。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
収穫を楽しむイタリアンパセリ栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換のときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
まとめ
イタリアンパセリは、二年生の植物で、種をまいた翌年の春に花を咲かせます。収穫を楽しむ場合は、一年目の柔らかい葉を収穫して楽しみます。
水耕栽培は、室内でも土を使わずに育てられるので、部屋が汚れず虫が付きにくいのも魅力です。本格的な野菜づくりにはエアポンプなどが必要ですが、ハーブ類や葉物野菜など水と肥料だけで育ちます。ハイドロボールなどは100均などでも手に入りやすく、土のように処理に困ることもないので水耕栽培にはおすすめです。
ぜひ一度水耕栽培で、収穫したての野菜の楽しみを味わってみてください。
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