ミントは、さわやかな香りが特徴で料理やお菓子、ハーブティー、アロマなどにも広く使われています。丈夫で半日陰でも育てられるので、水耕栽培(水栽培)でも育てやすい植物で、挿し木で増やす時にも、土を使わず水挿しで行うことができます。
この記事では、ミントの茎を使った挿し木から始めるや水耕栽培(水栽培)の方法や、ハイドロカルチャ―への植え替え、育て方のポイントなどを初心者の方にもわかりやすく説明します。
ミントの水挿し(挿し木・挿し穂)の方法
ミントは、挿し木で増やすのが成長も早く、確実に同じ種類のミントをふやすことができるのでおすすめ。水挿しで簡単に発根します。ミントを育てている友人から分けてもらったり、スーパーなどで売っているミントからも増やせます。
挿し木の時期
挿し木は植物の生育期に行うのがおすすめです。ミントの生育期は4月~10月。生育温度が15℃~25℃程度です。おすすめは生育期初期の3月中旬~7月下旬までが適期です。
この時期以外でもミントは、生命力が強く丈夫なので真夏を除いた春から秋まで行えます。
さし木の準備
ミントの苗から挿し木をする場合は、元気の良い若い芽を選んで先端から10㎝~15㎝にカットします。スーパーなどのミントもなるべく新鮮なうちに、挿し木にしましょう。
一番上の葉だけ残し、下葉は切り落とします。一番上の葉が大きいようなら蒸散を防ぐために切り取ります。切り口は斜めにスパッときって断面を広げます。すぐに水に浸けるので先に器に水を入れておきましょう。
準備するもの
- 剪定した茎
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK)
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
発根促進剤について
生命力の強いミントは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 準備したミントの挿し木を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 1週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。7日~10日程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培(水耕栽培)で育てましょう。
ミントの水耕栽培(水栽培)の手順
鉢植えのミントを使う場合
水栽培(水耕栽培)でミントを育てたい場合は、できれば水栽培の挿し木で増やしたものを使うのがおすすめですが、お気に入りの品種がない場合などは、小さな苗使って水栽培に植え替えることもできます。またミントは株分けでも水栽培で育てることができます。
- 植え替える鉢植えのミントは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からミントを取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根がある場合は清潔なハサミで切っておきましょう。
準備するもの
- 水挿しで発根したミントの苗 or 土を洗い流したミントの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水は2日~3日に一度。根腐れ防止剤などを使っている場合は、一週間に1度程度でも大丈夫です。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
ミントは室内で育てる水栽培では、一年中楽しめ大きく成長するので、ハイドロカルチャーで植物を固定することで大きく育つのでおすすめです。
準備するもの
- 水挿しで発根したミントの苗 or 株分けして土を洗い流したミントの苗
- ハイドロボールなどの人工石(事前に水洗いをしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- ミントの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
ミントの水栽培での育て方
ミントの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
ミントは世界各地に分布し、様々な用途で使われています。多くの種類が多年生の植物で、生育旺盛で繁殖力が強いので庭などに植えると、一気に増えることから「爆殖植物」とも呼ばれグランドカバーにも使われます。
暑さ寒さにも強く、品種を選べば雪国でも屋外で育てることができます。また低日照にも強く、明るい日陰であれば元気に成長するので、室内で育てる水耕栽培にも向いています。
学名 | Mentha |
属名 | シソ科ハッカ属 |
原産地 | 北半球温帯地域、ユーラシア大陸 |
樹高 | 2cm~120cm(品種により異なる) |
耐寒性等 | 耐寒性 強い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「美徳」「効能」 |
ミントの種類
ミントには、料理に主に使われるもの、ハーブティーなど飲み物にあうミント、薬用に使われるミントなどがあります。飾るだけでなく、収穫して使う場合にはどんな用途に使いたいのかも検討されるとよいでしょう。
種類 | 用途・特徴 |
---|---|
スペアミント | さわやかな香りの中に少し甘みのある風味 料理に合うミント。モヒートにも使われます。 |
ペパーミント | メントールが配合され、スッキリした風味 飲料によく使われます。 |
ハッカ | メントールの含有量がミントの中で一番 日本のミントといえばこれ。飲料によくつかわれます。 |
アップルミント | リンゴとハッカを合わせたような香り。 デザートや料理、飲料にも使われます |
モヒートミント (イエルバ・ブエナ) | カクテルのモヒートに使われることから、俗名のモヒートミント と呼ばれるミントです。 キューバ原産で、甘い香りとスモーキーな風味が特徴です。 |
置き場所、日当たり
ミントは耐陰性があるので、日当たりの悪い場所でも育つことができます。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。明るい日陰もしくは夏以外は、カーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。
ミントは品種にもよりますが、耐寒性も強い多年草です。屋外などで育てている場合は、冬は寒さで地上部分が枯れたように見えますが、根は生きているのでまた春になると芽吹いてきます。室内で育てる場合には、温度が10℃以下にならないように育てれば、一年中枯れずに楽しめます。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から秋は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から休眠期の冬は成長が鈍化しますが、室内であれば成長しているので同様に水やりをしましょう。乾燥時には霧吹きで葉水を与えて湿度を与えてください。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
収穫を楽しむミント栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
水栽培(水耕栽培)のメリット
水耕栽培は、家庭菜園でも農家でも行われる栽培方法ですが、家庭で水耕栽培をするメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(害虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 植物の生長が早くなるとともに、質が安定しやすい
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
しかし水だけでは土に比べて養分が足りないため、植物を大きく育てることには不向きです。また日光が必要な植物にはLEDライトなど初期投資がかかることもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまでミントの水栽培(水耕栽培)について説明してきました。丈夫で日陰でも耐えられるので水栽培初心者の人にもぴったりです。
水栽培は、土や病気の心配も少なく手入れも簡単です。初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法で、ハーブなどは収穫も楽しめます。料理などで余ったミントがあれば、水挿しから始めてみませんか。
種まきから育てられる栽培キットなども、便利です。
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