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除草剤

除草剤とは? 

除草剤の棚 除草剤

除草剤の種類について

除草剤は大きくわけると、生長した雑草に葉や茎に散布する「茎葉処理剤」と、雑草の生育前、もしくは生育初期に土に散布してつかう「土壌処理剤」があります。また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。

茎葉処理剤

液体タイプの除草剤はほとんどが、茎葉処理剤と呼ばれる除草剤で、茎や葉に薬剤をかけることで植物を枯死させます。茎葉処理剤には、薬液がかかった部分のみ枯れる接触型の除草剤と、葉や茎にかけることで、地下茎や根まで薬液が移行し(吸収移行性)、根まで枯らすことができる除草剤があります。

土壌処理剤

土壌処理剤とは、一般的には雑草が発芽する前、もしくは生育初期に土に散布することで、雑草の発生を抑制したり、枯死させる除草剤で粒剤と呼ばれる顆粒タイプのものに多い除草剤です。

非選択性と選択制

除草剤の中には、特定の植物をターゲットにして、作物は枯らさず雑草だけからすことのできる「選択性除草剤」と、接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」があります。

選択制の除草剤は対象となる作物に散布しても枯れないことから、全面散布することができる便利な除草剤で、除草剤の散布の手間を省きます。芝生などによく使われます。

除草剤の種類や、種類ごとの代表的な除草剤などの説明は詳しい記事があります。

除草剤の有効成分と作用効果

除草剤を散布するとなぜ雑草が枯れるのでしょうか。除草剤の多くは、植物特有の代謝・生長システムをターゲットポイントにして攻撃して、雑草を枯らしています。それぞれの作用効果と有効成分について説明します。

光合成を阻害

植物は、生長するために光合成を行い、空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)と水に光のエネルギーを加えて炭水化物を生成し、酸素を放出する機能を有していますが、その中の光が関与する明反応の部分を阻害して、枯らす作用のタイプです。代表的な薬剤として、トリアジン系(CAT、シメトリンなど)、酸アミド系(ジフルフェニカンなど)、尿素系(DCMUなど)、ダイアジン系(ベタゾンなど)、ダイアゾール系がこれに当たります。

植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害する

植物の生長に必要なオーキシンというホルモンの類を施用して、主に広葉の雑草の生長のリズムを撹乱(かく乱)し、整体機能を衰退させることで枯らしてしまうタイプです。代表的な薬剤として、フェノキシ系(2,4PA , MCPなど)がこれに当たります。

植物固有のアミノ酸の生合成を阻害

植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して、枯らしてしまうタイプです。なぜアミノ酸の合成を阻害すると植物は枯れるのでしょうか。主な理由は、植物も人間と同様に体の中の成分は水以外はほとんどがタンパク質です。タンパク質の基となるのはアミノ酸で、人は動植物を食することで体内にアミノ酸を取り込んでいますが、植物は自分でアミノ酸を作り出して、タンパク質をつくらないといけないのです。よってアミノ酸の合成を阻害すると、植物の成長が止まり枯れていきます。

代表的な薬剤として、スルホニルウレア系(ベンスルフロンメチル、イマゾフルフロン、ピラゾスルフロンメチルなど多数)、除草剤として最も使われている非選択性接触型のアミノ酸系(グリホサートグルホシネート、ビアラホスなど)がこれに当たります。

除草剤の安全性について

農薬登録されている除草剤は、農薬取締法による審査を受け、合格している証になります。つまり、その効力、安全性、毒性、残留性などに関する試験成績を提出して審査を受け、行政庁(農林水産大臣)に承認されているものです。使用方法を守って使う限りは、安全性が担保されているものと言えます。

しかし、農薬登録されている除草剤にも、農薬上の毒物に該当するものなどや、海外では期限切れとなっている除草剤もあります。除草剤の安全性には、真偽が不明なものも含め、多くの議論がされています。安全性については、こちらの記事でも詳しく説明しています。

農薬ではない除草剤について

パッケージを読むと、赤字で「本剤は農薬ではありません。農作物や植木・芝・花き等の植物の栽培・管理に使用すると罰せられます」との記載がある除草剤があります。これはどのような意味なのでしょうか。

除草剤には、農薬に登録されている除草剤と登録されていない「登録外除草剤」があります。農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています。農薬への登録は、安全を担保するため、薬効、薬害・残留性、動植物への毒性・影響を調査し、国の厳しい基準を満たす必要があります。

一方農薬に登録されていない除草剤は、同じような成分で価格が安価なため手に取る人も多いですが、作物を栽培したり、有用植物が植えられている農耕地では使えません。農薬登録の手続きをとっていないため、作物等の影響を調査していない可能性もあります。農薬登録には莫大なコストがかかります。そのため農薬として登録されていない除草剤が安価で販売されているのです。

これらの除草剤は2019年3月に「農薬として使用できない」旨の表記が義務付けされています。農耕地で使うと農薬取締法違反で罰せられますので、必ず使用方法を守ってください。

農耕地用除草剤・非農耕地用除草剤

除草剤には、農耕地用除草剤と非農耕地用除草剤があります。まず農耕地と非農耕地がどこを指すのか。きちんと理解しておきましょう。

農耕地とは、畑、果樹園、田んぼ、畦畔、山林などで、自宅の庭でも植物を植えた庭も、農耕地扱いです。非農耕地は、駐車場や道路、鉄道や堤防などで、人が植えた植物がない場所(周りに守るべき作物がない場所)です。

農耕地用除草剤とは

農耕地では、農薬登録されている除草剤しかつかうことができません。農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています。まずこの記載があるか確認しましょう。

次に農薬登録されている除草剤には、ラベルに適用表が記載されており、その除草剤が使える作物名・適用場所・使用時期・使用量や使用回数などが書かれています。散布する場所や作物に使えるかどうか確認して使う必要があります。

非農耕地用除草剤とは

非農耕地用除草剤には、農薬登録されていない「登録外除草剤」と、農薬登録はされているが「非農耕地用」の除草剤もあります。

農薬登録されていない登録外除草剤は、「道路、駐車場、グランドなど農作物等の栽培・管理以外の目的で用いられる場所」でしか使用ができません。農耕地に隣接している土地でも、除草剤の流入の恐れがあるため使えません。

農薬登録されている除草剤は、ラベル記載のとおりに使えば緑地管理に使えます。家庭用などとかかれているものは、例えば、ラベルの作物名に樹木等と書かれている場合には、植栽地を除く樹木等の周辺地に散布することが可能なものなどがあります。

登録外除草剤は、道路や木のない駐車場などで、人が植えていない植物が全くない場所にしか使えません。農薬登録されている除草剤には適用表が必ずあります。適用表にそって使えば安全です。安価で手に入れやすいことから登録外除草剤を選んでしまうと、間違った使い方をして周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。農薬や除草剤の取り扱いに慣れている方は大丈夫かと思いますが、知識に自信がないかたは、できれば農薬登録されている除草剤がおすすめです。

執筆者・監修者情報
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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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