雑草を徹底駆除するための最強の除草剤の使い方を紹介しています。除草剤の選び方や効果的な使用法、グリホサート系や土壌処理剤のおすすめ商品、防草シートの利用などを詳しく解説します。
雑草を除草するポイント
除草剤を使ったが、全部枯れなかった、また生えてきてしまったという方もいるかと思います。除草剤は、雑草に合った種類、散布タイミング、希釈濃度などを正しく散布しないと効果が落ちます。
また、地下茎を張り巡らせて生長するスギナやドクダミ、葛(クズ)などの多年生の難雑草が何年も生えている場所には、地下に茎がびっしりと生えてしまっている可能性もあります。そのような場合には、1度除草剤をまいただけでは、なかなか全部を駆除することは難しいため、時間をかけてしっかり駆除しましょう。駆除のポイントは下記の4つです。
- 雑草に合った除草剤を、散布すること
- 展着剤で除草剤の効果を高める。
- 除草剤の茎葉処理剤は、適期に複数回散布する
- 土壌処理剤などで生育初期に防除する
では、順に細かく説明していきましょう。
雑草に合った除草剤を散布する
除草剤には、成長してきた茎や葉に散布する「茎葉処理剤」と、土に散布して、生育初期に発芽を止めたり、枯らしたりする「土壌処理剤」があります。
まず雑草が生えている場合には、「茎葉処理剤」を使って雑草を枯らす必要があります。多年生の雑草が生えている場合は、「グリホサート系の除草剤」がおすすめです。
有効成分にグリホサートが含まれている、グリホサート系の除草剤は吸収移行性を持っているため、茎や葉に散布するだけで、根まで枯らすことができます。多年生の植物は、表面が枯れても土の中で根が残り、翌年にはまた新しい芽を出してきます。
バクサやザクサなどのグリホシネート系の除草剤などの接触型と呼ばれる除草剤は、薬液がかかった部分のみ枯れます。速効性がありますが、地上部の葉や茎が枯れるだけで根は残ります。1年生雑草しか生えていない場合には、接触型の除草剤も有効です。
こちらから雑草名・雑草の写真から雑草に合った除草方法がわかります。
展着剤で除草剤の効果を高める
展着剤とは、界面活性剤や接着剤となるパラフィンや樹脂酸エステルを有効成分としたもので、薬剤の付着性や浸達性を高めたり、溶けにくい水和剤や乳剤などの混用性を高めて、農薬の効果のムラを減らす働きをしてくれます。
展着剤は、使う農薬に合わせて選ぶのが大切です。グリホサート系には、「サーファクタントWK、30」という除草剤に機能性展着剤(アジュバンド)などが使えます
また展着剤ではないですが、肥料の尿素も、農薬に混ぜると農薬の効果を高めるといわれています。尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。
葉茎処理剤は適期に複数回散布する
除草剤は、薬剤や雑草の種類によって散布の時期は異なりますので、除草剤のラベルをよく読み適期に散布することが重要です。
グリホサート系の除草剤は、雑草の生育期に散布するのが一般的です。生育期ならいつでも散布できますが、効果的なのは、開花期~生長が止まった時期。葉や茎の生育が止まると、根に養分が多く運ばれます。この時期に散布すると養分と一緒に根まで薬液が多く届くので根がしっかり枯れます。
しかしすべての雑草が同時に生長するわけではなりません。1回目の散布から10日ほどたってから、まだ緑色の部分が残っていたらそこに再度噴霧器やジョウロを使って散布します。
接触型の除草剤の場合は、薬液がかかった部分しか枯れないので大きく育ちすぎると、散布する量も多く、散布もれが生じやすいので散布時期をのがさないようにしましょう。
除草剤の散布回数は作物や適用場所によって決められていますので、ラベルにかかれた散布回数以上は散布しないようにしてください。
生育初期に防除する
秋から冬になると、多年草の雑草の地上部は衰退し枯れたように見えますが、土の中では、完全に枯死せずに生きて冬越し、春を待っています。グリホサート系の除草剤で、生育期にしっかり除草したつもりでも、しっかり除草剤がかからなかった、またはかかっても根まで枯らすほどの十分な薬液ではなかった場合などが原因です。また新しいタネがどこからか飛んでくる可能性もあります。
そこで生育初期に土壌処理剤を散布しましょう。雑草が芽を出す直前にしっかり撒けば、雑草が新しく生えてくることを長期間防ぐことができます。しかし土壌処理剤は非選択性で、ほとんどが農耕地では使えません。土壌処理剤は土に散布することで、薬剤が土に残り根から吸収して植物を枯らす効果と、土の上に処理膜を張って発芽を阻害します。
他の有用植物がある場合は、使えません。また木の根が土の中にあると、木が枯れることもあります。散布する場所だけでなく、近隣の木の根がつながっていて、枯れたという話も聞かれます。使用には十分な注意が必要です。
おすすめのグリホサート系除草剤
グリホサート系の除草剤は、多く販売されています。最もメジャーなグリホサート系の除草剤、ラウンドアップマックスロードや、初代ラウンドアップのジェネリック製品のサンフーロン液剤は経済的にお得です。カダンのザッソジーエースは希釈済みですので、ジョウロなども準備しなくてもよいですが希釈率が約50倍ですので、厄介な雑草などは25倍希釈などが使われる場合は、たっぷり散布しましょう。
グリホサート系の除草剤は他にもたくさんあります。商品について知りたいときには詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
おすすめの土壌処理剤
クサノンEX粒剤
住友化学園芸が販売するクサノンEY粒剤は、ターバシル・フルミオキサジン、2種類の有効成分で、スギナ、ドクダミ、ススキ、ヤブガラシ、シロツメクサなど各種雑草の葉や茎だけでなく根までスッキリ枯らすことができる微粒の土壌処理剤です。低温時にも使え、植栽地を除く樹木等の周辺地に撒くことを想定した薬剤です。
カダン除草王
フマキラーが販売する、「カダン除草王」の成分カルブチレートは、非ホルモン型吸収移行性の尿素系の微粒(粒状)除草剤であり、雑草・草の光合成阻害により除草します。
カダン除草王は、細粒の非選択制除草剤で枯れにくい雑草まで、根っこまで枯らすことができます。効果は最大約6ヵ月間と長期間持続することも特徴です。
非選択性で全ての植物、庭木に影響を与えるため、植物、庭木を植えている、植える予定の花壇やまた畑、水田といった農地ではなく、道路や空き地等で撒けることを想定した商品です。
カソロン
スギナに効果のある土壌処理剤は、農耕地で使えるものは少ないですがアグロカネショウなどから販売されているカソロンは、製品によってことなりますが果樹の一部や、水田畦畔などでも散布することができる土壌処理剤です。成分はDBN(2,6-ジクロロベンゾニトリル (別名: ジクロベニル)(PRTR・1種))とは、非ホルモン系の除草剤で,根部や生長点から吸収される移行型です。細胞分裂を阻害することで枯れさせる効果があります。
濃度のより、3種類の製品があります。
粒剤2.5 | 粒剤4.5 | 粒剤6.7 |
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休耕田におすすめの方法(農家の方向け)
土壌処理剤は、畑などでつかうことができず休耕田などにはグリホサート系の除草剤を散布するのが一般的でしたが、休耕田でつかえる非選択性の除草剤があります。
それは、成分が塩素酸ナトリウム粒剤の「クロレートS」「クサトールFP粒剤」の散布がおすすめです。デゾレートAZ粒剤は休耕田に登録がないため、畑ではつかえません。時期は、11月以降に地表が枯れてから。効果が3ケ月ほど続きますので、植え付けから逆算して使うとよいでしょう。
劇薬なので購入時には免許証などの身分を証明するものと、印鑑が必要になります。劇薬を扱っている農薬販売店や農協などで購入することができます。
防草シート
除草剤を使って、雑草を駆除してもまた新しいタネが飛んできて、雑草が生えてきてしまうことがあります。毎年除草を使って駆除するのは、コストも労力もかかります。
しっかり除草剤を使って、雑草を駆除したら防草シートを使った防草もおすすめです。防草シートは、紫外線を阻害することで、敷くだけで雑草が生えるのを防いでくれるシートです。防草シートはホームセンターなどでも気軽に替え、自分で設置することも可能です。
最初に手間とコストはかかりますが、耐久性の高い製品を敷いて、砂利などを上にのせれば半永久的につかえるものもあります。防草シートの記事も農家webでは豊富にありますので、気になる方はそちらもお読みください。