ポトスはつる性の観葉植物で、丈夫で耐陰性に強いので水栽培(水耕栽培)でも育てやすい植物です。ポトスの苗や剪定した茎を使った水挿し、ハイドロカルチャ―への植え替え、水耕栽培での育て方についてわかりやすく説明します。
ポトスの水栽培の始め方・時期
ポトスは成長が早いので、長く伸びたツルをつかって水挿しから水耕栽培を始めるのがおすすめです。大きくなった株は、植え替え時に株分けをする必要があるため、その株をつかって水耕栽培をするのもよいでしょう。土で大きく育った苗を、水耕栽培に植え替えると順応できないことがあるので、小さな苗か水挿しから始めましょう。
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。ポトスの生育期は4月~10月。水栽培を始めるのは、この時期であればいつでも行えます。できれば5月下旬~7月が適期です。
ポトスの挿し木(水栽培)
ポトスは、さし木(挿し穂)や株分けで増やします。園芸本では土(赤玉土・バーミキュライト)に切った枝を挿して増やすのが一般的ですが、水栽培(水挿し)でも増やすことができます。
さし木の準備
生長が早いポトスは、長く伸びたつるを整えたり、繁りすぎて姿を整えるために剪定や切り戻しを行います。切り戻した場所からは新たな脇芽が生えてきます。剪定は木質化(茶色く木のようになった茎)していない場所であれば、どこで切っても問題ありません。この茎を使って水栽培の挿し木をしましょう。
さし木にする枝は、10㎝~15㎝程度茎節を2節~3節残して切ること。日に当たり元気のよい茎を選びましょう。節から新しい葉が出てきます。節がないと生長点がないため新しい葉がでてきませんので、節がある部分を残して、切りましょう。気根の部分からは新しい根が生えます。
ポトスは、丈夫でふやしやすいので切ってそのまま水に浸けておくだけでも、根が出てきますが、より成功率をあげるなら、下記の方法でやってみてください。
切り取った枝は水に浸かる部分の下葉は切り落とし、上部の葉は蒸散を防ぐために半分に切り取ります。切り口は斜めにスパッときって断面を広げ、さらに反対側から切り戻ししておきます。すぐに水に浸けるので先に器に水を入れておきましょう。
準備するもの
- 上記で準備したポトスの挿し穂
- 透明な器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK)
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
発根促進剤について
生命力の強いポトスは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- ポトスの挿し穂を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 2週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。2~3週間程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培(水耕栽培)で育てましょう。
ポトスの水栽培の植え替えの手順
鉢植えのポトスを使う場合
水栽培(水耕栽培)でポトスを育てたい場合は、できれば水栽培の挿し木で増やしたものを使うのがおすすめですが、株分けした苗や、小さな苗使って水栽培に植え替えることもできます。大抵はつるがある程度伸びていると思いますので、うまく植え替えられなかった場合も考え、挿し木と並行することをおすすめします。
- 植え替える鉢植えのは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- 鉢からポトスを取り出し、根から土をほぐして落とします。(株分けする場合には、ここで株を二つに分けます)
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根がある場合は清潔なハサミで切っておきましょう。
準備するもの
- 水挿しで発根したポトスの苗 or 土を洗い流したポトスの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
ポトスはつる性のため、ハンギングにして飾りたいという人にはハイドロカルチャーもおすすめです。他の植物との寄せ植えでもハイドロカルチャーは使われます。
準備するもの
- 水挿しで発根したポトスの苗 or 株分けして土を洗い流したポトスの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- ポトスの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーに使う培土について
ハイドロカルチャーで使う土の代わりの用土(培土)は、ハイドロボールが有名ですがヤシの実からできたベラボンもおすすめです。ベラボンは水を含むと1.5倍に膨張して乾くと収縮します。それにより鉢の中に酸素が多く取り込まれ、根の張りがよくなります。
ただし使い方は、ハイドロボールとは異なるので注意が必要です。植え替えるときにはしっかり根を固める必要があります。ひっくり返しても落ちないぐらい、きっちり押し固めます。水やりは2回に分けて、たっぷり与えます。鉢が完全に乾いてから水やりをしましょう。
ホームセンターなどでも販売されています。ポトスにはベラボン・プレミアムがおすすめ。1リットルなら300円程度です。
ポトスの水耕栽培での育て方
ポトスの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
ポトスは、和名を黄金葛(オウゴンカズラ)といいます。今は属名はハブカズラ属(エピプレムヌム属)ですが、以前はポトス属に属していたため、園芸名はポトスとして流通しています。
園芸種類は、単色で黄色い葉をしたライムや、葉っぱに白色の斑が入るマーブル・クイーン、明るいグリーンに黄色の斑が入るゴールデン・ポトスなどが有名です。葉がハート型で、ツル性の着生植物のため支柱に這わせて上に伸ばすヘゴ仕立てや、ハンキングなどで葉を下に垂らして育てます。
丈夫で育てやすいため観葉植物初心者の方にもおすすめ。しかし熱帯が原産のため、高温多湿を好み、寒さには弱い特徴があります。日陰でも育つ耐陰性にもすぐれているので、室内で育てる水栽培(水耕栽培)に向いている植物です。
学名 | Epipremnum pinnatum ‘Aureum’ |
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属名 | サトイモ科ハブカズラ属(エピプレムヌム属) |
原産地 | ソロモン諸島 |
樹高 | 10㎝~1.5m以上 |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「永遠の富」「華やかな明るさ」「長い幸せ」 |
置き場所、日当たり
ポトスは耐陰性が強く、日当たりの悪い場所でも育つことができます。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。また斑入り品種は日に当てないと斑がぼやけてしまうこともあります。明るい日陰もしくは夏以外は、カーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。直射日光は水栽培の場合は、容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。
ポトスは耐寒性は強くありません。低温の場所で管理すると、落葉してしまうこともあります。置き場はなるべく暖かい室内で、温度が最低でも5℃以下にならない場所で管理して冬越ししましょう。昼に日差しの当たる窓辺にそのまま置いておくと、夜は気温が下がり寒くなってしまうこともあるので気をつけましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から秋は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から休眠期の冬は成長が鈍化しますが、室内であれば成長しているので同様に水やりをしましょう。ポトスは過湿を好みます。乾燥時には霧吹きで葉水を与えて湿度を与えてください。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、ハイドロボールを使う時は水位計があると安心です
肥料
ポトス栽培は、肥料はそれほどなくとも育ちます。しかし水栽培は土から栄養が取れないため肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きくつややかに育ちます。水栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。冬も暖かい場所で管理する場合で新芽がでているようなら同じように与えましょう。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料や水草用メネデールなどがあります。
水栽培(水耕栽培)のメリット
水耕栽培は、家庭菜園でも農家でも行われる栽培方法ですが、家庭で水耕栽培をするメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(害虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 植物の生長が早くなるとともに、質が安定しやすい
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
しかし水だけでは土に比べて養分が足りないため、植物を大きく育てることには不向きです。また日光が必要な植物にはLEDライトなど初期投資がかかることもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまでポトスの水栽培(水耕栽培)について説明してきましたが、ポトスは丈夫で育てやすく、小さなものなら100均でも手に入る手軽な観葉植物です。耐陰性も強いので水栽培初心者の人にもぴったりです。
水栽培は、土や病気の心配も少なく手入れも簡単です。初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。ハーブなどは収穫も楽しめます。家の中にグリーンがあると癒されます。ぜひこの記事を参考にしてのポトスの水栽培を始めて、おしゃれにお部屋に飾ってみてください。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、多肉植物や花を楽しむ球根、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。
品種名から栽培方法を探すことができます。