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病害虫

せん孔細菌病に効く農薬、防除方法について徹底解説!

せん孔細菌病が発病したモモの葉 病害虫

せん孔細菌病は、果樹の桃などでよく聞く、非常に厄介な病気です。葉の病斑部に穴が空くのが特徴的で、果実に発病すると、干からびてしまったり、褐色の陥没した斑点が発生してしまったりします。

ここでは、せん孔細菌病を予防、治療するためにはどのような農薬を使えばいいのか、その他、効果的な防除法について詳しく解説してきます。

せん孔細菌病とはどんな病気?

せん孔細菌病とは?

せん孔細菌病の病原菌は細菌(バクテリア)の一種です。別名、細菌性穿孔病,穿孔性細菌病とも呼ばれます。

せん孔細菌病の病原菌は秋頃に新鞘の芽や皮部組織に感染して、症状を出さずに越冬(冬を越す)します。その後、春にかけて枝の中で増殖し、春型病斑を発生させます。この状態になると、菌の拡散は多く、葉や新鞘、果実、主に傷口から感染していきます。

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

特に、落花期から降雨が多い6月の梅雨時期から7月にかけて感染が多発しやすく、発病の最盛期を迎えます。春型の枝病斑が多いと、この時期の発病も多くなります。春型の発生の多さは昨年の秋の気象に影響を受けます。例えば秋に台風や降雨が多いと、翌年の春型枝病斑が多くなり、夏に向けて感染が多発しやすくなります。

また、傷口から感染しやすいために、風が強い圃場では特に多発しやすくなるのも特徴です。一度多発すると、防除が困難になる病害で有名です。

せん孔細菌病の症状

葉や新鞘、果実に発症し、1〜2mm程度の斑点ができます。特に葉では、下の写真のように斑点部分に穴が開くのが特徴です。また、上の写真のように、果実にも病斑が見られ、1〜2mmの斑点から1cmほどの大きさまで様々で、果肉まで食い込んで亀裂してしまうこともあります。

せん孔細菌病が発病したモモの葉
出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

せん孔細菌病の防除のポイント

せん孔細菌病は薬剤による科学的防除だけでは防ぐのに不十分な、非常に厄介な病害です。農薬による化学的防除だけでなく、耕種的防除や物理的防除を上手く組み合わせて、予防していくことが重要です。

せん孔細菌病に効果がある農薬

せん孔細菌病は多発してしまうと、それを治療、防除するのは大変困難なのでそうなる前に予防することが非常に大事になってきます。

予防が大事であることを踏まえた上で、下記の薬剤を有効に利用してください。

カスミンボルドー、カッパーシン(カスガマイシン・銅水和剤)

有効成分の銅剤(ドイツボルドーA)は古くから幅広い野菜や果樹の病害防除に効果を発揮する汎用性殺菌剤に、細菌性病害に高い効果を発揮しするカスミンを配合しているので、幅広い病害に効果を発揮します。

春型枝病斑

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アグリマイシン(オキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン水和剤)

アグリマイシンは細菌病に優れた効き目があり、作用の異なる2種類(ストレプトマイシンとオキシテトラサイクリン)を配合しているため、広範囲のグラム陰性菌や陽性菌に対して殺菌効果があります。また浸透移行性があるため、薬剤付着以外でも効果が発揮されます。また効果の持続性もあり耐雨性も高い薬剤です。

銅性剤(ハイカッパー、Zボルドウ、コサイドボルドー、キノンドー、オキシボルドー、デランK等)と交互に使うとさらに耐性がつきにくくなります。

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バリダシン液剤

バリダシンは天然由来の成分バリダマイシンが病原菌に作用する薬剤です。病勢伸展阻止効果が強く、安定した効果を発揮します。

この他、スターナ水和剤(オキソリニック酸)、マスターピース水和剤、チオノックフロアブル、ジアチノン剤(デランフロアブル)、マイコシールドなどがあります。

発芽前、開花期には銅剤を使用し、それ以降の落花期にはストレプトマイシン剤、落花期以降はデランなどのジチアノン剤、バリダシン剤を利用するのがよいとされていますl。

薬害等を出さないように製品ラベルをよく読んで使用しましょう。上記の農薬は原液を水で溶かして薄めて使用する液剤、乳剤や水溶性の粉剤、粒剤(粒状や顆粒)です。希釈方法等については下記をご参考ください。

化学的防除以外の防除方法

春型枝病斑を除去する

上記で説明した通り、春型の枝病斑が多いとその後の発病が多くなるため、春型枝病斑を除することは非常に有効な防除方法です。

枝病斑は多発した葉付近で、枯死した芽が多く出ているあたりで見つけることができます。放っておくと夏に夏型枝病斑の伝染源になるので、できれば落花期までに除去するようにしましょう。

防風ネットを設置する

せん孔細菌病は、傷口から感染しやすいために、風が強い圃場では特に多発しやすくなるのも特徴です。このため、防風ネットを設置して、風を受けるのを少なくするのも非常に有効な防除方法です。

袋掛けを行う

葉から果実に伝染するのを防ぐために、果実に袋掛けを行うことも有効な防除方法です。

まとめ

せん孔細菌病は発生してからの防除が困難な厄介な病気で、多く発生すると収穫時の収量に多大な影響がでます。特に桃(もも)では、最も厄介な病害と言っても過言ではないでしょう。

とにかく、早めの薬剤の散布等、予防措置を取るようにしましょう。

ここで紹介した農薬は、JA販売店やホームセンターのガーデニング・資材、庭木コーナーにあるものもあります。ほ場で早期発見し、適切な薬剤や防除方法でしっかり発生を予防、ガードできると、農薬散布と言った農作業の回数を減らすことができます。

また、最近では病害虫の抵抗性発達を避けるために、農薬にRACコードがわかるようになっています。RACコードについては下記を参考ください。

RACコードとは??

RACコードとは、農薬を作用機構(農薬の効き方)ごとに分類して番号と記号を振ったコードになります。

例えば殺虫剤なら有機リン系は[1B]、ネオニコチノイド系は[4A]など、すべての農薬にRACコードが設定されています。

同じRACコードの農薬を繰り返し使うと害虫や病原菌に抵抗性がついてしまうのを、RACコードが違うコードの農薬を交互に使うことで防ぐことができます。「系統」とも呼ばれますが、RACコードの方が、より厳密に分類されています。 

殺虫剤は、IRAC(アイラック)コード、殺菌剤にはFRAC(エフラック)コード、除草剤にはHRAC(エイチラック)コードになっています。

(補足)殺虫剤など、他の農薬について

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編集さん
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