イセキ(ISEKIアグリ)の自走式草刈機は種類が豊富です。この記事ではイセキの自走草刈機(自走モア)について、その種類や特徴、性能についてわかりやすく説明します。
イセキの自走式草刈機の種類
ISEKIアグリは井関農機のグループ会社で、小型農業機械に特化した国内卸売会社で、井関農機グループ販売会社や大手ホームセンターなどでも購入することができます。イセキの自走式草刈機は、その機能によりいくつかの種類に分けられます。
- アゼ・斜面モア―…畔の上部と法面を一度に枯れる「ウイングモア―」と、 法面などの斜面でも安定して草を刈ることが可能な「スパイダーモアー」「たすかる」があります。
- 歩行型モアー…ロータリー式で、小回りの利く3輪の「オートモアー」、ハンマーナイフ式で背の高い草でも広範囲に草を粉砕する「ハンマーナイフモア―」、牧草地のためにつくられた「牧草モア―」があります。
- 乗用モア―…乗用モア―は、手でハンドルを押すわけではなく草刈機自体に乗って、草を刈る草刈機。これも自走式草刈機の一種です。
種類別の特徴・性能
それでは各モデルについて、特徴や性能について説明していきます。
アゼ・斜面モア―
ウイングモアー
ウイングモア―は、畔の上面と側面の法面を一気に刈り取ることができる、2面刈りタイプの畦用草刈機。側面(法面)があまり高さがない場合には、二面刈りタイプであれば一回で効率的に畦畔の草刈りができます。
特徴は、上部と側面が同時に刈ることができる2面刈りであること。凸凹した畦でも、安定した走りができる、特殊車輪を装備し、直進性が高く安定した走行ができるようにしていることです。
ウイングモア―にはのコンパクトなWM634からプロ仕様のWMC1317Fまで6製品あるので、それぞれの畦の広さや使う人などによって、選ぶことが可能です。
製品名 | WM634 | WM646F | WM746F | WM757 | WMC747 | WMC1317F |
---|---|---|---|---|---|---|
エンジン最大出力 | 3.1kw | 4.6kw | 4.6kw | 5.1kw | 5.1kw | 5.1kw |
ブレード(刃) | バーナイフ 4枚 | フリーナイフ 8枚 | フリーナイフ 8枚 | フリーナイフ 8枚 | フリーナイフ 8枚 | フリーナイフ 8枚 |
質量(kg) | 61 | 71 | 73 | 80 | 88 | 92 |
作業能率 | 12a/h | 12a/h | 13.1a/h | 22.7a/h | 23a/h | 20a/h |
刈幅(㎜) | 600 | 600 | 690 | 710 | 710 | 690~1020 |
目安市場価格 | 約190,000円 | 約230,000円 | 約250,000円 | 約300,000円 | 約340,000円 | 約370,000円 |
ウイングモア―はオーレックのOEM製品で、共立も同様で基本的には機能は同じです。それぞれの製品ごとの詳しい説明がありますのでそちらも参考にしてください。
スパイダーモアー
スパイダーモアーは、斜面草刈草刈機です。
斜面草刈機とは、畦などの斜面の上から、法面などの斜面の草を刈り取ることができる草刈機です。特徴は、4WDとスパイクタイヤで最大傾斜50度までの、傾斜地でも安定した走行が可能にしていること。また調整可能な長いハンドルと手元操作で、斜面の上から楽に草が刈れるように工夫されています。
スタンダードタイプのSP431Fの他、軽量なSP301A、プロ仕様のSP853の3製品あります。
製品名 | SP301A | SP431F | SP853 |
---|---|---|---|
質量(kg) | 30 | 42 | 49.5 |
排気量(㏄) | 32.6 | 47.1 | 79.4 |
燃料タンク容量(L) | 1.2 | 1.2 | 1.45 |
刈刃形式 | フリーナイフ×4枚 | フリーナイフ×8枚 | フリーナイフ×8枚 |
刈幅(mm) | 300 | 430 | 500 |
ハンドル伸縮 | 1,150〜1,600mm | 1,300~1,900 mm | 1,400~2,000㎜ |
目安市場価格(税込) | 約150,000円 | 約210,000円 | 約280,000円 |
たすかる
たすかるは、3輪の軽量な自走斜面草刈機です。燃費がよくクリーンな排気量47.1㏄の三菱のエンジンを採用し、スライド固定式のハンドルで、上下7段、左右11段に調整が可能です。刈幅500㎜と広く、質量も39kgと軽量な草刈り機です。
歩行型モア―
刃の駆動にはロータリーナイフ式とハンマーナイフ式があります。ロータリーモアはロータリーナイフ式の草刈機で、刃の駆動が地面と水平に刃が回転して草を刈ります。刈後がきれいで、メンテナンスが簡単、ハンマーナイフ式より安価なので、果樹園などによく使われます。
オートモアー
オートモアーは、ロータリーナイフ式の3輪の自走式草刈機。ロータリーナイフ式は、刃の駆動が地面と水平に刃が回転して草を刈ります。刈後がきれいで、メンテナンスが簡単、ハンマーナイフ式より安価なので、果樹園などによく使われます。
特徴は、3輪車タイプなので旋回が容易で小回りがきくこと。刈刃はバーナイフで、幅広い刈幅。前進・後進の切り替えが走行しながらレバー一つで切り替えすることができるので、幹回りなどの草刈りに便利な機能が充実しています。馬力・刈幅の違いなどで4製品あります。AM63AXは後進できないのがBXとの違いです。
製品名 | AM63AX/AM63BX | AM73BX | AM81X |
---|---|---|---|
質量(kg) | 94/96 | 108 | 129 |
排気量(㏄) | 181 | 215 | 296 |
刈刃形式 | バーナイフ1枚 | バーナイフ1枚 | バーナイフ1枚 |
刈幅(mm) | 600 | 700 | 800 |
刈高(mm) | 10~90 | 10~90 | 10~80 |
目安市場価格(税込) | 約280,000円/約310,000円 | 約370,000円 | 約390,000円 |
ハンマーナイフモアー
ハンマーナイフモアーは、刃の駆動が縦回転のハンマーナイフ式の自走式草刈機です。ハンマーナイフ式は、多くの刃が縦方向に回転して、細かく草を粉砕します。パワフルで草丈の高い草や硬い草にも強いため、休耕地などで活躍します。
クローラー式
休耕地などの不整地や湿地では、通常のタイヤではうまく動かないことがあります。そんな時には後輪がベルト状になっているクローラーモデルがおすすめ。
自走式草刈機の中でもハンマーモア式のクローラーモデルは、荒地でもパワフルに背の高い草や硬い草をどんどん粉砕できる最強モデル。価格も手押しのモデルの中では高額になります。
ベーシックモデルの刈幅650㎜のHRC665、セルスタート付のHRC665S、より高能率の刈幅800㎜のHRC805の他、回転方向を切り替えることができる正逆ハンマーナイフのHRS815 やHSTミッション搭載のZHR800があります。
タイヤ式
クローラーが不要な人は、小回りの利くタイヤ式もあります。ハンマーナイフはクローラー式と同様に3列に並んだフリーナイフが、背の高い草も叩き切って粉砕します。サイドクラッチ方式を採用しているので、旋回がしやすく小回性がよい草刈機です。
コンパクトなHR402X、スタンダートタイプのHR532X、パワフルなHR665の他、HSTミッションを搭載した高性能なHRX802の4製品があります。
ぷちモア
ぷちモアは、農林水産省の農業女子プロジェクトとISEKIがコラボして制作した、女性向けの自走式草刈機です。ホイルタイプのVRS501-Wと、クローラータイプのVRX551-Wの2製品があります。
特徴は、「分かりやすい、使いやすい、楽しい」をモットーにして作られているので、手の小さな女性でも届きやすいように、クラッチレバーとハンドルの間隔を短くしたり、旋回しやすい機能などを搭載しています。
牧草モアー
牧草モアは、その名のとおり牧草刈専用の自走式草刈機です。刈刃はフリーナイフ3枚で刈後がきれい、刈幅880㎜とワイドで牧草刈が容易にできます。また別売りのアタッチメント(ブリンガー)をつけることによりソルゴの刈り取りも楽に行えます。
乗用モア
草刈機本体に乗って、草を刈り取ることができる乗用草刈機(乗用モア)は、果樹園や緑地管理など広い場所の草刈りに人気の草刈機です。
イセキの乗用モアは種類が豊富です。コンパクトモデルから、4WDタイプ、プロ仕様まで10種類(2023年1月現在)。自分の刈りたい場所にあった草刈機を選ぶことができます。乗用モアについては、それぞれの機能や価格について書いた記事がありますので、そちらも参考にしてください。
まとめ
イセキの自走式草刈機は種類が多いので、刈りたい場所にあった草刈機を探すことができます。刈払機での草刈りはかなりの労力を使います。振動があるのは刈払機と同じですが、重さを感じない分、刈払機よりも約1/2軽労化し、腰への負担もなくなり、長時間の作業を可能にします。
自走式草刈機は他にもオーレック、共立、クボタ、ヤンマー、ホンダ、ゼノアなども自走式草刈機を販売しています。