農業で収入を得ている個人事業主の人には避けては通れない確定申告。確定申告の方法には、白色申告と税金面でメリットの多い青色申告があります。
この記事では、個人で農業を営んでいる方向けに、白色申告で確定申告をする方法や便利なソフトウエアの情報を、わかりやすく説明します。
白色申告について
確定申告とは、1月1日~12月31日までの1年間の収入が20万円を超える場合は、事業の収支を記録した帳簿をつけ、税務署へ申告し、その内容に従って税金を納めることです。個人や個人事業主が対象になります。
確定申告には「白色申告」と「青色申告」があります。青色申告は事前に税務署に届け出が必要(なため、特段なにも手続きをしていなければ自動的に「白色申告」になります。
青色申告では、正規の簿記による記帳(複式簿記)された決算書の提出が必要ですが、白色申告は、収支(収入と経費)については「収支内訳書」を提出し簡易的に行うことができます。
白色申告の方法
提出書類
白色申告に必要な提出書類は下記の2つ。収支報告書は農業所得用のものを使いましょう。
- 確定申告書B
- 収支内訳書(農業所得用)
収支内訳書について
収支内訳書は2枚。農業者は農業所得用を使います。
1枚目の左側には収入や経費に関する合計数値を入れていきます。右側には経費のうち雇用費の内訳、小作料・賃貸料の内訳、専業従事者の情報を入力します。
2枚目は収入金額の明細、減価償却費の計算根拠、果樹・牛馬の育成費用の明細を入れます。2枚目の明細金額は、1枚目の各明細の金額の合計と一致しなければなりませんので注意しましょう。
国税庁 確定申告書等作成コーナーでは、順番に数値を入れていくと収支内訳書が作成できるようになています。エクセルなどで打ち込んでつくるものもダウンロードできるサイトも多くありますので、そちらを活用してください。
記入方法や、経費の具体的な例などは国税局のHPの「令和5年分 収支内訳書(農業所得用)の書き方」を確認してみてください。
白色申告に便利なソフト
白色申告に必要な収支計算ソフトは、自治体やJAなどが無料でソフトを提供しています。お住まいの地域にもあるかもしれません。また税務署以外でもサポートがうけられることもありますので、度調べてみてください。
農業収支計算ソフト
こちらは、東近江市が提供している無料のエクセルの農業収支計算ソフトになります。エクセルをダウンロードして、計算シートに領収書や通帳を元に入力していくことで、収支内訳書が作れます。償却資産も入力可能で、ソフトの説明も詳しく書かれているので使いやすいです。
しかしマクロが組んであるので、お使いのパソコンや、セキュリティソフトにより対応が必要な場合もあります。
農業所得収支計算ソフト
高山市の農業所得収支計算ソフトは、それぞれの収入や経費ごとに入力していくと最終的には収支内訳書ができる無料のエクセルシートです。マクロなどが組まれてないので、東近江市のように計算シート一つにいれれば完成するわけではなく、シートにわかれた内訳に取引内容を入れる必要があります。
単純な構造なので、エクセルなどに慣れていない方でも感覚的に使えるソフトです。
クラウド会計ソフト freee(フリー)
白色申告には、決算書が不要なため会計ソフトは必要がありません。しかし安価な申告ソフトはほとんどが、農業申告の白色申告に対応していません。しかしクラウド型の会計ソフトfreeeは、農業申告に対応しており白色申告、農業簿記、青色申告にも対応しています。
最近の会計ソフトは、従来のパソコンにソフトをインストールするのではなく、クラウド型に切り替える人が増えてきています。 クラウド型は、インターネットに接続でき、それを見れるパソコン・スマートフォンやタブレットがあれば、月額の使用料を払ってすぐに利用することができます。
freeeはクラウド型会計ソフト大手で、元々会計知識のない人にも使いやすいようにつくられているのており、農業特有の勘定科目も追加することができ、預金などと連携して自動仕訳等も行えます。今後青色申告にしたい方にもおすすめのソフトです。
また、いつでも質問、相談ができ、答えるサポートデスク、また冬の時期に農家の方向けに説明会を開いていたりと、サポートも手厚い印象です。下記から30日の無料体験ができます。
白色申告と青色申告
青色申告の方がお得だというのは、どこかで聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。青色申告をすることによるメリットは、節税効果が高いこと。
青色申告の最大のメリットは、所得から最高65万円の特別控除がもらえること。白色申告では、控除をうけるには対応する経費がなければ控除は受けられませんが、青色申告をするだけで最高65万円分、所得から自動的に控除されるのです。
その他、赤字額を3年間繰越できるので、今年赤字で来年黒字になった場合は、来年の税金が安くなるというメリットなどもあります。
青色申告する際には、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を納税地の税務署に提出しておく必要があります。これには期限があり、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで (その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2ヶ月以内)と決算・申告時期より、かなり前までに青色申告承認申請書を提出しておかないといけません。
来年から青色申告をしたいという方は、今年の確定申告と同時に、申請書を提出しておきましょう。