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油かす肥料

油かす肥料の使い方と使用上の注意点を詳しく解説

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この記事では、油かす肥料の使い方の基本や使用上の注意点、作物別の使い方などを詳しく解説します。

油かす肥料とは

菜種のもとになるアブラナ

油粕(油かす)は、ナタネ(菜種)やダイズ(大豆)から油を搾る工程の残りかすを指し、それを主な原料として使用する有機(有機物)肥料を油かす肥料と呼びます。

油かす肥料は、その油かすの種類によっても成分が異なります。

ナタネ(菜種)油かすは、窒素が主成分で、リン酸カリウムも多少含んでいることが特徴です。また、土壌で分解されるのが遅いため、効き目が長い、遅効の肥料ということになります。

ダイズ(大豆)油かすも、窒素が主成分ですが、リン酸やカリウムをあまり含んでいないのが特徴です。また、土壌で分解されるのが早いため、ナタネ(菜種)油かすと比較すると、効果が表れるのが早い、即効の肥料ということになります。

単位:%ナタネ(菜種)油かすダイズ(大豆)油かす
窒素(N)57
リン酸(P)21
カリ(K)12
菜種油かすと大豆油かすの肥料成分の違い

油かす肥料の使い方の基本

油かす肥料は、元肥追肥のどちらの用途にも使用可能です。一般的に粉末の油かす肥料は、元肥(基肥)として土作りの際に混和させることが多いです。

ただし、微生物の働きにより分解される過程で発生するガス(アンモニアガスや亜硝酸ガス)に芽や根がさらされ、枯れることがあります。これを避けるため、作付けの2週間以上前には土に混ぜるようにしましょう。

また、油かす肥料には固形のものもあります。固形油かす肥料は、油かすのほかに米ぬかや骨粉などの有機質、ミネラル分(海藻成分)、フルボ酸などが混ぜ、水で練り込んだものを発酵・乾燥させたものです。追肥に使用することができ、用土の上に置くことで効果を発揮します。

事前に発酵させ「ぼかし肥料」として利用する方法や、水を加えて発酵させ液体肥料(液肥)として追肥に利用する方法もあります。

油かす肥料の使用上の注意点

油かす肥料を使用する上で、注意しておきたい点が3つあります。

  1. 臭いが発生する。
  2. タネバエなどの虫やカビが発生する場合がある。
  3. 根が肥料焼けする。

臭いの発生

油かすは、土の中で発酵、分解されることで肥料としての栄養分が出てきます。その過程で、臭いがしてしまうのです。

そのため、油かすを施用するときには土の中に埋め込む形にするのが良いでしょう。鉢植えや盆栽には、固形油かす肥料を置き肥として使用する場合もあるかと思います。固形油かす肥料は土に埋め込む形にすると良いでしょう。

また、発酵済みの油かす肥料を使用することで臭いを抑えられる場合もありますので、そのような商品を購入することも一つの手です。

害虫・害獣・カビの発生

油かすは、タネバエ、コバエなどの成虫や幼虫が発生したりする場合があります。また、野ネズミなどの野生動物が寄ってくるなどの被害(獣害)が起きる場合もあります。

少しでも害虫、害獣を抑えたい場合には、土の中にしっかりと埋め込む、混ぜ合わせることが重要でしょう。

ボカシ肥料にしてから畑で使用するというのも手です。油かす(油粕)肥料には窒素(チッソ)が多く含まれるので、リン酸(リンサン)が多く含まれる骨粉などと組み合わせることが基本となります。

油かす肥料は虫がつきやすい?

油かす肥料が、悪臭や害虫の原因になると言われることがあります。実際に、油かす肥料が分解される過程で、臭いがしたり虫(タネバエ、コバエなど)が発生したりすることがあるので注意が必要です。

このデメリットを抑えた発酵(醗酵)油かすというものもあります。事前に発酵(醗酵)させてあるので、臭いや虫をある程度抑えられますが、注意が必要な点は変わりません。

油かす肥料は粉末もしくは小粒の粒状であるのに対し、発酵油かすは固形もしくはペレットであることがほとんどです。

また、油かす肥料からカビが発生する場合があります。白カビの場合はそこまで気にする必要はありませんが、青カビや赤カビの場合は要注意です。

根の肥料やけ

油かすは、タンパク質など窒素を多く含んでいますが、土壌で栄養分に分解される速度が遅めのため、長くゆっくり効く性質があります(緩行性肥料)。そのため、肥料としても優しい肥料と誤解されがちですが、その認識は少し危険かもしれません。

油かすが土壌で分解される際、アンモニアガス・亜硝酸ガス等によるガス害が発生する場合があります。特に多量の油かすを利用する場合は、注意が必要です。

発酵されていない油かすを安全に使用するためには、余裕を持って植え付けの2週間前くらいには土壌に混ぜ込んでおくと良いでしょう。

作物別、油かす肥料の使い方

油かす肥料は、作物によっても使い方や注意する点が異なります。一部の作物について、油かす肥料の施用をまとめましたので参考にしてください。

油かす肥料 バラへの施用方法

油かす肥料 みかんへの施用方法

油かす肥料 スイカへの施用方法

油かす肥料 イチジクへの施用方法

油かす肥料 柿への施用方法

油かす肥料 クリスマスローズへの施用方法

油かす液肥の作り方・使い方

油かすは、液体肥料(液肥)として加工し、施用することもできます。液肥にすることで、発酵・分解が進んだ状態となり、化成肥料のように速効性が高くなります。

油かす液肥の作り方

油かす液肥は、油かすと身近にあるもので作ることが可能です。下記の記事に詳細をまとめておりますので、参考にしてください。

油かす液肥の使い方

完成した油かす液肥は、そのまま使用せずに希釈して散布します。

作物や土壌の状態によっても異なりますが、2~10倍ほどに希釈して与えると良いでしょう。まずは、薄めから試してみるのが良いです。

油かす液肥は、すでに醗酵が進んでいる状態なので、植物が吸収しやすくなっており、効果が現れるのが早いです(速効性)。

油かす肥料は作れるのか?

油かす肥料は、ご自身で作ることが可能なのでしょうか?下記の記事に詳細をまとめました。

油かすの種類

油かす肥料は、原料によって下記の種類に分けることができます。

菜種油かす(ナタネ油かす)

菜種油かすとは、ナタネの種子を炒ってタンパク質を固めることで油分を分離しやすくし、それを蒸熱圧搾して油分を取り除いたカス、もしくは搾油不十分なカスを溶剤で再抽出した残りカスを指します。色は黄褐色、または黒褐色です。

菜種油かすは、製造方法によって土壌中における分解速度が異なり、油分の含量が高いほど遅くなります。最近では製造方法や品質管理がしっかりされているので、他の有機質と比較しても効きの遅さなどは問題視されません。

また、ペレット化されたペレット菜種油かすも人気です。菜種油かすは、施用後の分解過程での悪臭や植物生育の阻害作用などデメリットがありますが、ペレット化することでこれらの問題を軽減しています。近年では鉢植え植物や盆栽などに重宝されています。

大豆油かす(ダイズ油かす)

大豆油かすは、通常、黄大豆を原料として搾油した残りカス、もしくは有機溶剤で油を溶かし取り除いた残りカスを指します。家畜の飼料や調味料の原料になることもあります。

大豆油かすは、比較的無機化が早く、肥効が速やかに現れやすい肥料です。但し、低温下で大豆油かすの分解が悪いため、注意が必要です。

ニーム核油かす

ニーム核油かすは、ニームの実からオイルを絞りとったカスです。ニームは害虫忌避効果があることで有名ですが、ニーム核油かすにもその効果があるとされています。

そのため、肥料分としての効果だけではなく、害虫の防除としての効果も期待できます。また、有機JAS適合資材に認定されている資材もあります。

椿油かす

椿油の絞りカスも肥料として使えます。窒素成分施肥を主目的として使用する油かす肥料となります。

椿の実に含まれるサポニンの界面活性効果により、土壌改良効果が期待されます。

また、古くよりナメクジ、カタツムリ、ジャンボタニシ、コガネムシ幼虫などに対して効果があるとされていますが、椿油かすは農薬として登録されていませんので、ジャンボタニシ等の防除の目的では使用することができません。魚毒性も強いため、肥料として使用する際にも周囲の環境に注意してください。

カポック油かす

カポックは、ジャワやフィリピンなどに生育する植物で、その果実から綿と種子を採取します。種子から油を搾り取ったものがカポック油かすとなります。肥料としての成分比は、他のものとそこまで変わりません。

アマニ油かす

アマの種子を水圧法などによって圧搾したものがアマニ油かすです。肥料としての成分比は、他のものとそこまで変わりません。

ゴマ油かす

ゴマ油かすとは、黄ゴマや白ゴマの種子を軽く炒った後、圧搾して油を取り除いたカスです。肥料としての成分比は、他のものとそこまで変わりません。

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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
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