除草剤ゲパードの特徴
ゲパードは、日産化学工業が販売する水稲用の中期後期剤除草剤です。これまで取り残したホタルイ、ノビエ、クログワイ、オモダカなどの防除が難しい雑草も、枯れ残さない除草剤の開発を目指し、2015年8月に農薬登録された比較的新しい除草剤です。
有効成分が4種類(ダイムロン ,ピラクロニル ,ベンゾビシクロン,メタゾスルフロン (愛称アルテア))が配合されています。
アルテリアは日産化学工業が開発した新世代のスルホニルウレア(SU)系除草剤で、水稲の栽培で問題となるノビエなどの一年生雑草から多年生雑草まで幅広く有効で、特にホタルイや多年生雑草に卓効を示します。一発剤にも広く使われていますが、ゲパードはそれを増量し、殺菌力を高めています。
またピラクロニル、ベンゾビシクロンは一発剤で枯れ残ることの多い、ホタルイやコナギなどのSU抵抗性雑草にも相乗効果でより高い効果を発揮します。
ダイムロンは混合相手となる有効成分の薬害を軽減する成分で、イヌホタルイ、マツバイ等のカヤツリグサ科雑草に対する除草効果の補強成分として、発芽抑制、生育抑制の効果が期待できます。
ゲパードの剤型
ゲパードには粒剤の他、投げ込むだけで簡単なジャンボ剤や、ドローンに特化したエアー粒剤もあります。
ゲパード1キロ粒剤
有効成分 ダイムロン 10.0% 、ピラクロニル 2.0% 、ベンゾビシクロン 2.0% 、メタゾスルフロン 1.20%
ゲパード1キロ粒剤は、1kg・5kgの製品があります。
一般的に粒剤は、手間がかかるが、棚田や・場所によって雑草の生え方に違いがある、水持ちの悪い田んぼにおすすめの剤型です。粒剤は、昔からある剤型で薬剤は地面に定着してから処理層が広がり、水中であまり移動しません。そのため均一に聞かせるためには散粒機で、田んぼ全体に満遍なく散布する手間がかかります。
ただしその特性のため、散布後の雨で有効成分が流亡することもすくなく、棚田などでは薬剤が上から下に流されることもないため、効果にむらがでることもありません。また薬剤も自分で調整できるので雑草の多い場所に多めになどの調整も可能です。
ゲパードジャンボ
有効成分 ダイムロン 25.0% 、ピラクロニル 5.0% 、ベンゾビシクロン 5.0% 、メタゾスルフロン 3.0%
ゲパードジャンボは、畦畔は投げ込むだけで簡単な除草剤です。1パック40gで10袋の400gです。
ジャンボ剤は、粒剤を水溶性フィルムで包んだパック上になっています。1パック40gで、10a当たり10個をアゼから投げ込むだけで水面に広がります。大きさの違う田んぼがいくつかあっても計算もしやすく、水で溶けるフィルムなのでゴミも出ないのが魅力です。
水面に広がる性質上、藻やごみなどの障害物があると拡散が悪くなります。また剤が一度溶けてから3日~4日かけて沈殿するので、水持ちが悪い田んぼではうまく拡散しないこともあります。
ゲパードエアー粒剤
有効成分 ダイムロン 25.0% 、ピラクロニル 5.0% 、ベンゾビシクロン 5.0% 、メタゾスルフロン 3.0%
ゲパードエアー粒剤は、ドローン向けに開発した剤型です。自己拡散性の粒剤のため幅30cmまでは圃場の中央に散布するだけで拡がるので、飛行ルートを気にしなくてもよいのが魅力です。ただし水面に広がる性質上、藻やごみなどの障害物があると拡散が悪くなります。また剤が一度溶けてから3日~4日かけて沈殿するので、水持ちが悪い田んぼではうまく拡散しないこともあります。
ゲパードの散布時期
ゲパードの散布時期は、移植水稲では移植後14日~ノビエ4葉期です。
除草剤は散布時期がとても大切です。粒剤とジャンボ剤・エアー剤では多少、雑草の種類によって散布時期が異なりますので、時期を失しないように散布してください
雑草名 | 粒剤 | ジャンボ剤・エアー剤 |
---|---|---|
ノビエ | 4葉期まで | 4葉期まで |
ホタルイ | 花茎20㎝まで | 花茎20㎝まで |
ウリカワ | 4葉期まで | 4葉期まで |
ミズガヤツリ | 4葉期まで | 5葉期まで |
ヒルムシロ | 生育期まで | 発生盛期まで |
セリ | 再生期まで | 再生期まで |
オモダカ | 矢尻葉3葉期まで | 矢尻葉3葉期まで |
クログワイ | 草丈30㎝まで | 草丈30cmまで |
コウキヤガラ | 草丈30㎝まで | 草丈30cmまで |
ジズイ | 草丈20㎝まで | 草丈30cmまで |
ゲパードの効果的な使い方
除草剤の効果を最大限まで広げるには、散布の方法にもいくつか気をつけたいポイントがあります。これらのポイントを抑えることで、より効果的に雑草を防除することができます。
- 漏水防止のため、もぐらなどの小動物の穴や、あぜからの漏水を防ぐためあぜ塗りや、畦畔シートなどを活用してしっかり漏水防止する
- 水管理が重要です。土壌表面に処理層をつくることで除草効果を発揮します。水口・水尻をしっかり止め、散布後7日間は落水、掛け流しを行わないこと。ジャンボ剤やエアー剤は水深が浅いと薬害がおきたり、うまく移動できなかったりします。5~6㎝ほどの水深があるとよいでしょう。
- 散布時期を適切な時期に。除草剤はその雑草にあった時期に散布しないと効果がでません。パッケージや雑草の様子をよくみて、適期に散布するしてください
- 中期剤は、初期剤もしくは、一発処理剤との体系処理が欠かせません。地域の雑草の生える時期や、雑草の種類によってそれぞれに合った除草剤をうまく使いましょう。
その他の水稲中後期剤
中期剤や中後期剤は他にも多くの種類があります。毎回同じ成分や作用機能が同じ除草剤を使っていると、抵抗性が発生しやすくなります。
また除草剤の成分も確認し、それぞれの有効成分を含む農薬の総使用回数の制限を超えないように注意して体系的に使うことが大切です。
農家webには水稲の除草剤について、詳しくまとめている記事や中後期剤の記事もありますので、合わせて参考にしてください。