噴霧器(散布機)のノズルの種類
ノズルとは「薬液を散布するための筒状の装置」で、噴霧器は、ノズルを装着して液剤の農薬を散布します。ノズルには様々な種類があり、農薬の特性によってうまく使い分けることが重要です。
農業に利用されるノズルには、主に以下のような種類があります。除草剤におすすめなのはドリフトが少ない「キリナシノズル」です。
ノズルの種類 | 特徴 | 適する農薬のタイプ |
霧なしノズル | 噴射するときに空気を吸い込んで霧状になるのを防ぎ、風による飛散を防ぐことができるノズルです。噴霧する薬液の粒状が大きく、狙ったものに散布でき、ドリフトしにくいのが特徴です。別名「泡ノズル」とも呼ばれます。 | 除草剤 |
広角ノズル | いくつかの穴が空いているノズルで、噴射する薬液が衝突して、薬液の粒状が細かく、扇状に噴出されます。少ない薬液で幅広い範囲を散布できる特徴があります。 | 殺虫剤 殺菌剤 |
リング状ノズル | リングに何個かのノズルがついたタイプで、立体状に薬液が散布される特徴があります。 | 果樹園での 殺虫剤 殺菌剤 |
鉄砲型ノズル | 遠くに薬液を飛ばすことができるノズルで、穴が一つのものから複数のもののタイプがあります。畦畔から水田に薬液を飛ばしたい時、立木、高木に散布する場合などに使用されます。 | 水田、果樹園での 殺虫剤 殺菌剤 |
除草剤別 おすすめノズル
グリホサート系におすすめ
グリホサート系には専用ノズルを使うことで、少量散布が可能になるノズルがあります。少量散布とは散布水量(希釈水量)を減らして高濃度で散布する方法のことで、希釈の手間や大量の水が不要なので、散布の手間を減らすことができます。
少量散布は、グリホサート系の除草剤の少量散布に適用があるものに使えます。
ラウンドノズル
ラウンドノズルは、少量散布(25ℓ/10a)が可能なノズルです。ラウンドアップ用に開発されていますが、他の少量散布に適用があるグリホサート系の除草剤にも使えます。空気を含ませて泡状になって出てくるため、ドリフトが少なくまた、散布跡が白く残るので、散布のムラや散布もれを防ぎます。
それぞれ人力用と動力用があり、動力用には2,3,4,5,6頭口が、他にブーム用があります。また1頭口用には透明なカバー「みえ~るカバー」があります。
ラウンドアップノズル100・50・25の数字の違いは、散布薬液量の違いを示しています。例えば、ラウンドノズル25の場合、面積10アールあたり25ℓの散布水量で除草ができます。
ラウンドノズルULV5
ラウンドアップULV5は、今まで少量散布より少ない超少量散布ができるノズルです。高濃度の10倍液の高濃度ができ、わずか水5ℓ/10aの少水量散布が可能になりました。今までと同じ面積を散布する場合は、背負う水量が軽くなり、広い範囲を散布する場合に希釈の手間なども防ぐことができ、除草作業の大幅な省力化が図れます。
超少量散布は現在(2022年8月)、ラウンドアップマックスロードにしかないため、ラウンドアップマックスロード専用のノズルです。
パクパク(PAKUPAKU)
除草剤を、雑草の一部に少量塗布して、枯らしたい雑草だけピンポイントで除草できるノズルもあります。除草剤を泡状で吐出し、株の1 ~ 3 カ所に塗布するだけで除草できる。草丈の高い作物などの間に生えた雑草には、これまで草取りや除草剤を刷毛でぬったりする必要がありましたが、これを使えば簡単に行えます。ショートタイプとロングタイプがありロングタイプは腰をかがめずに使えるので便利です。
現在は、タッチダウンiQのみこのノズルを使った少量散布で農薬登録されているものはありません。
グルシホネート系など接触型におすすめ
吸収移行性のグルホサート系の除草剤にくらべ、バスタや、ザクサなどの接触型のグルホシネート系のノズルは、薬液の噴出量が多いバスタやザクサ専用のノズルがおすすめです。どちらもほぼ同じなのでどちらの薬剤も使えます。
ザクサノズル
ザクサノズルは、10aあたり100ℓ〜150ℓの散布に最適。散布液はドリフト(飛散)が少なく、散布跡が白く見えるため、散布ムラや重複散布を防ぎます。人力用と動力用があり、動力用には2頭口もあります。カバー付きもあります。
ザクサかんきつノズルは、果樹園用に作られたノズルで、扇形の空気を混入した噴霧角度約130°(人力用)・約120°(動力用)で、ドリフトが少なく、散布幅が広いのが特徴です。
バスタノズル
バスタノズルは、10aあたり100ℓ〜150ℓの散布に最適。散布液はドリフト(飛散)が少なく、散布跡が白く見えるため、散布ムラや重複散布を防ぎます。人力用と動力用があり、動力用には2頭口もあります。透明なカバーが付いたタイプもあります。
バスタノズルLV35カバーは、10aあたり30ℓ~40ℓの少水量散布が可能で、高濃度30~40倍希釈液を散布することができます。
水田フロアブル剤におすすめ
水田除草剤用フロアブルノズルⅡ型
人力噴霧器に取り付け、水田除草用フロアブル剤を早く楽にスポット散布することができるノズルです。ワンタッチレバーコックなので、片手でハンドルのロックができ、片手で簡単に連続噴霧の固定と解除ができます。ロックボタンを押さないときはハンドルがロックされないため、スポット散布が簡単にできます。
土壌散布にも使える
キリナシ除草R型
平均粒子径42μm(1MPa)の大粒の薬液を散布でき、ドリフトしにくく、キャッチバルブ(逆流防止弁)で除草剤のボタ落ちも防ぐ、除草剤に特化したおすすめのノズルです。茎葉散布剤にも土壌処理剤にも使え、非常に使い勝手に優れています。