ラウンドアップの主成分はグリホサートですが、安価なグリホサート系除草剤とはどう違うのでしょうか。この記事では、ラウンドアップマックスロードとグリホサート系の除草剤との違いについ説明していきます。
ラウンドアップについて
ラウンドアップは、日産化学株式会社が販売する、最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。現在販売されているのは、「ラウンドアップマックスロード」です。原液とすでに希釈されているタイプ(AL剤)があります。
成分と除草剤の効果
ラウンドアップの有効成分はグリホサートです。グリホサートは主にグリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートカリウム塩のことを指し、アミノ酸である“グリシン”と“リン酸”の誘導体です。
除草剤は簡単に2パターンに分けられます。土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」です。茎葉処理剤には、薬液がかかった葉茎のみからすタイプと、葉や茎から吸収移行して根まで枯らすタイプがあります。
グリホサートを使った除草剤は「茎葉処理剤」で、薬液がかかった葉茎を枯らすことはもちろん、グリホサート成分は吸収移行して、根まで枯らす効果があります。非選択性(どんな植物にも効く)のため、農業に使用する場合など、散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります
ラウンドアップ製品の歴史
ラウンドアップは、日本では1981年から販売が開始されました。初代のラウンドアップは1991年に特許が切れたことにより、多くのジェネリック製品が販売されるようになりました。安価なグリホサート系の除草剤は、初代ラウンドアップのコピー製品です。
その後、2000年に2代目の製品「ラウンドアップハイロード」を発売、現在は2007年から販売された「ラウンドアップマックスロード」で3代目の製品となります。ラウンドアップマックスロードの製品一覧は下記です。
名前 | ラウンドアップ マックスロード | ラウンドアップ マックスロードAL | ラウンドアップ マックスロードALii | ラウンドアップ マックスロードALiii |
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概要 | ||||
タイプ | 原液 | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) |
特徴 | 希釈用。 農耕地で使え、経済的 | 基本タイプ | 基本+速効性 | 基本+速効性+持続 |
農耕地使用 | 〇 | × | × | × |
ジェネリック製品との関係
初代のラウンドアップのコピー商品は、多くあります。成分が初代のラウンドアップと同じ、「グリホサートイソプロピルアミノ塩41%と界面活性剤等59%」です。しかし成分は同様でも界面活性剤(展着剤)が商品によって異なるため効果が異なる可能性もあります。
主な製品としては、サンフーロン・エイトアップ・グリホエースなどがあります。ラウンドアップは、2代目・3代目は成分が少し異なります。
製品名 | 成分 | ジェネリック製品 |
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ラウンドアップ | グリホサート イソプロピルアミン塩41% | サンフーロン・エイトアップ・ グリホースなど |
ラウンドアップハイロード | グリホサート アンモニウム塩41% | |
ラウンドアップマックスロード | グリホサートカリウム塩48% |
マックスロードとジェネリック製品の違い
ラウンドアップマックスロードとジェネリック製品との違いはなんでしょうか。最初に気になるのが価格。amazonで調べてみたところ、マックスロード1ℓは4,127円、サンフーロン1ℓ、グリホース1ℓは1,580円とマックスロードはジェネリック製品の2.6倍。できれば安価なものをつかいたいものです。
ラウンドアップマックスロードは3代目であり、成分も異なるのでどのように違うのか説明していきます
雨に強い
昔はグリホサートの除草剤は、雨が降ると効果が劣るといわれていました。実際サンフーロンやグリホースには「散布後6時間以内の降雨は効果が劣ることがある」と記載されています。
ラウンドアップマックスロードは、活性成分の吸収力が高いため、散布後1時間経てば大丈夫である旨記載があります。
朝露に強い
茎葉処理剤は朝露に弱いため、早朝はまかないほうがいいという農家さんの意見もよく聞きます。しかし、ラウンドアップマックスロードは、朝露が付いた状態の雑草にまいても、効果を発揮します。
農薬は風によるドラフトを防ぐために、早朝が適しているといわれています。朝露を気にせず早朝から撒くことができるのもラウンドアップマックスロードの特徴です。
超少量散布が可能
少量散布とは、除草剤の希釈水量(散布水量)を大幅に減らして散布すること。通常より高濃度の薬液を専用のノズルをつかって散布します。少量散布は、水汲みの手間や混ぜたり運んだりする手間も省け、かなりの時間の短縮にもなります。ラウンドアップはもちろん、ジェネリック製品のサンフーロンやエイトアップも少量散布は可能です。
ラウンドアップマックスロードはさらに少量の水で、散布する方法があります。専用のノズル(ラウンドノズルULV5)が必要で、登録がないものもあるので注意が必要ですが、大量に除草剤をまく大型農家の方にとっては魅力的です。
通常10aあたり、100ℓの水で散布するところ、少量散布は1/4程度25ℓ、超少量散布は5ℓの水と1/20まで減らせることができます。水量が減っても、薬剤の量はかわらないので除草剤の節約にはなりません。
ラウンドアップマックスロードと同じ成分の除草剤
ここまではラウンドアップマックスロードと初代ラウンドアップのジェネリック製品について説明してきましたが、ラウンドアップマックスロードと同じ成分「グリホサートカリウム塩」を使った製品もあります。タッチダウンiQは、ラウンドアップと同様のグリホサートカリウム塩を使っています。マックスロードが48%含んでいるのに対し、タッチダウンiQ44.7%です。
ラウンドアップマックスロードと同様に雨にも朝露にも強いですが、超少量散布は登録がないので登録違反となるので使えません。
グリホサート系除草剤
ラウンドアップマックスロードとジェネリック製品との違いを説明してきましたが、大量にまく農家などはメリットがあるマックスロードですが、雨の日を避けたり工数が気にならなければ安価なジェネリック製品を使うなど、自分にあった製品を選ぶとよいでしょう。製品によって登録の内容が違う場合もありますので、ラベルをよく読んで使いましょう。
記事で紹介した、グリホサート系の除草剤について一覧にしています。グリホエース・ラウンドアップマックスロードAL剤は、農耕地では使えないので注意しましょう。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | ネコソギロングシャワーv9 | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | |||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサートイソプロピルアミン塩 + MCPA |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
尿素で除草剤で効果UP
除草剤は展着剤をいれたり、混用してつかったりと農家の方は、安いジェネリック製品をつかって効果を高める工夫をしています。ここでは尿素をつかって効果を高める方法を紹介します。
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。