除草剤は雑草の防除にとても効果的です。しかし、しぶとい雑草を枯らすぐらいだから危険なのではと考える人もいるのでしょうか。
この記事では、除草剤ラウンドアップを使う場合の注意や、犬や猫などのペットがいる方や小さなお子様にはどのように注意してつかったらよいかなど、ラウンドアップの特性と使い方について説明します。
ラウンドアップの成分について
ラウンドアップの成分は「グリホサート」です。「グリホサート 」とは、主にグリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートカリウム塩のことを指し、アミノ酸である“グリシン”と“リン酸”の誘導体です。
除草剤は毒物をまいて、植物を枯らしているのではありません。ほとんどの除草剤は植物特有の代謝・生長システムをターゲットポイントにして攻撃して、雑草を枯らします。グリホサートも、アミノ酸の合成を阻害することで枯らしています。
なぜアミノ酸の合成を阻害すると植物は枯れるのでしょうか。主な理由は、植物も人間と同様に体の中の成分は水以外はほとんどがタンパク質です。タンパク質の基となるのはアミノ酸で、人は動植物を食することで体内にアミノ酸を取り込んでいますが、植物は自分でアミノ酸を作り出して、タンパク質をつくらないといけないのです。よってアミノ酸の合成を阻害すると、植物の成長が止まり枯れていきます。
農薬登録除草剤と登録外除草剤について
除草剤には農薬登録されているものと、農薬登録されていない登録外除草剤があります。農薬と聞くと悪いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、農薬に登録するためには、その安全性を確保するために多くの科学的データを準備し、国の厳しい基準を満たす必要があります。
登録外除草剤にはその必要がないため、同じ成分でも作物への影響や安全性が試験されていない場合もあります。また農薬登録されている除草剤には、成分や毒性・使用方法など細かく記載する必要があるため正しく使用すれば安全です。
ラウンドアップの製品は、すべて農薬登録されています。農薬登録されている化学物質は、動物を用いた実験結果などの結果をもとに、毒物・劇物・普通物に区分されています。ラウンドアップの除草剤は、「普通物」に分類されていて、毒物や劇物ではありません。
ペットや人への安全性
上記から使用上の注意を守れば、安全性に問題ないことはわかったところで、使用上の注意事項にペットなどの注意書きがあるか見てみましょう。使用上の注意事項には、口に入れた時の注意などは記載がありませんでした。
公式HPに、急性経口毒性と急性経皮毒性の数値がでていましたので、簡単に説明します。ラウンドアップマックスロードの急性経口毒性LD50と急性経皮毒性LD50は2,000㎎/kg以上です。LD50とは、動物に、薬液を口から投与した場合(経口)と、皮膚に塗布した場合(経皮)した場合に、実験動物の50パーセントが死亡する薬物の量です。体重1kgあたり2ℓでも半数致死量には当たらないということになります。一般的には1,500ml/kgで安全といわれます。
また公式HPには、ペットや人に対しての注意事項が載っていました。人やペットには安全使用上の注意を順守すれば、安全して使用できること。ペットがいる場合には庭に散布するときには、散布した当日は、ペットが入らないように注意し、薬液がペットに付着した場合は洗ってください。なめたりした後に様子がおかしいときは獣医師にご相談ください。
過剰に心配する必要はありませんが、散布当日は囲いなどをして犬や猫がはいらないようにすること。また、近所のかたにも一言声をかけておくとよいかと思います。
参照:ラウンドアップ公式HP
【補足】ラウンドアップの特性
ラウンドアップは、日産化学株式会社が販売する、最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。現在販売されているのは、「ラウンドアップマックスロード」です。原液とすでに希釈されているタイプ(AL剤)があります。
製品一覧
名前 | ラウンドアップ マックスロード | ラウンドアップ マックスロードAL | ラウンドアップ マックスロードALii | ラウンドアップ マックスロードALiii |
---|---|---|---|---|
概要 | ||||
タイプ | 原液 | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) |
特徴 | 希釈用。 農耕地で使え、経済的 | 基本タイプ | 基本+速効性 | 基本+速効性+持続 |
農耕地使用 | 〇 | × | × | × |
成分
ラウンドアップマックスロードの成分は「グリホサートカリウム塩」で、旧ラウンドアップは、「グリホサートイソプロピルアミン塩」です。「グリホサートカリウム塩」の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい、また早朝の農作業で朝露が付いても、効果が減少しない特性があります。
除草剤のタイプ
除草剤は簡単に2パターンに分けられます。土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」です。茎葉処理剤には、薬液がかかった葉茎のみからすタイプと、葉や茎から吸収移行して根まで枯らすタイプがあります。
グリホサートが主な成分である、ラウンドアップの除草剤のタイプは「茎葉処理剤」で、グリホサート成分は吸収移行して根まで枯らす効果があります。非選択性(どんな植物にも効く)のため、農業に使用する場合など、散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります。