葛(クズ)は除草剤が効きにくく、土中に巨大な地下茎を形成し、草刈りをしても逆にどんどん増えてしまうという、非常に厄介な雑草です。
除草剤といえばラウンドアップは有名ですが、葛(クズ)の除草にも効果的なのでしょうか。この記事では除草剤のラウンドアップは葛の除草に効果があるのか、また葛の除草方法についてわかりやすく説明します。
葛(クズ)の特性
まずは葛(クズ)の特性について説明します。除草剤を使う上で植物の特性を知ることはとても重要です。その特性により、効果的な除草剤を選ぶことができます。
葛(クズ)はマメ科のつる性の多年性の植物で、日本での歴史は古く、吉野葛で有名なように、肥大した地下茎、塊根が多くのデンプンを含むことから「葛粉」という食料として重宝されてきました。湯で溶かした葛湯、また生薬として風邪や胃腸不良に葛根湯など、私たちの日常に浸透しています。
葛(クズ)はヤブカラシと同じく、地下部で栄養繁殖し、地上茎を萌芽して、物体に絡み、巻き付いて伸長していきます。地面を這う「つる」は10メートル以上伸び、地下茎はサツマイモくらいの大きさまで成長する塊根となります。茎が蔓状にどこまでも伸びて絡みつき、その繁殖力の強さからグリーンモンスターとも呼ばれます。
また、クズの特徴として、地上部を刈り取っても除草に効果なく、より繁殖してしまう手助けになること、また一般的に除草剤が効きにくく、駆除しようとすると、他の雑草に比べてかなり大変なことが挙げられます。
ラウンドアップの特性
ラウンドアップは、日産化学株式会社が販売する、最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。現在販売されているのは、「ラウンドアップマックスロード」です。原液とすでに希釈されているタイプ(AL剤)があります。
名前 | ラウンドアップ マックスロード | ラウンドアップ マックスロードAL | ラウンドアップ マックスロードALii | ラウンドアップ マックスロードALiii |
---|---|---|---|---|
概要 | ||||
タイプ | 原液 | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) |
特徴 | 希釈用。 農耕地で使え、経済的 | 基本タイプ | 基本+速効性 | 基本+速効性+持続 |
農耕地使用 | 〇 | × | × | × |
ラウンドアップマックスロードの成分は「グリホサートカリウム塩」で、旧ラウンドアップは、「グリホサートイソプロピルアミン塩」です。「グリホサートカリウム塩」の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい、また早朝の農作業で朝露が付いても、効果が減少しない特性があります。
ラウンドアップは原液タイプは農耕地で使用できますが、希釈済みのAL剤は非農耕地用ですので間違えないようにしましょう。
クズにラウンドアップは効果あるの?
では葛(クズ)には除草剤のラウンドアップは使えるのでしょうか。答えは葛(クズ)の除草にラウンドアップは効果があります。です。ラウンドアップは葛(クズ)がすでに生えている場所の除草に使うことができます。
除草剤は簡単には、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。ラウンドアップは、「茎葉処理剤」で主な成分は「グリホサート」です。
グリホサートの大きな特徴としては、すでに伸びている雑草の葉茎を枯らす効果と、接触した茎葉から植物全体に広がる、吸収移行性をもっているため根も含めて全体を枯らす効果があります。非選択性(どんな植物にも効く)のため、農業に使用する場合など、散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります。
葛(クズ)は地下茎が厄介で、地下部をしっかりと枯らすことが重要なので、地下部の根や地下茎まで効果が効いて全てを枯らす、グリホサート系のラウンドアップは効果的です。
ラウンドアップの使い方
茎葉散布
葛(クズ)の除草剤としてラウンドアップを使う場合は、ラウンドアップマックスロード原液の場合は50倍に希釈して葉や茎に散布して使います。時期はクズの花期(8月~9月)ごろに行うと効果的です。
茎葉処理剤の除草剤は、従来雨にながされやすく、早朝にまくと朝露で効果が落ちるといわれてきましたが、ラウンドアップマックスロードは、朝露に強く雨も薬液をまいてから1時間ほどたてば効果が低下しないため、飛散防止のため晴れた日の早朝にまくとよいでしょう。
株頭処理
クズの株頭に傷を付けて薬剤を塗布する方法です。葉面処理をしても残った大株などに直接原液を注入して枯らします。株の頭にナタや鎌などで、傷をつけてラウンドアップマックスロードの原液を、1~2mlを浸み込ませます。
注入処理
株頭処理と似ていますが、茎に直接薬液を注入してクズを枯殺させる方法もあります。なるべく地面に近い蔓に、ナイフなどで外皮に縦に、傷(幅1.0~1.5cm、長さ6~8cm程度)をつけます。ラウンドアップマックスロードの原液もしくは2倍に希釈したものを傷に注入します。ツルが太い場合は1カ所だけでなく2ヵ所以上傷をつけると効果的です。
専用ノズル
除草剤は、噴霧器やジョウロなどでまくことができますがラウンドアップ専用の除草剤ノズル「ラウンドノズルULV5」もあります。除草剤ノズルは通常の防除用のノズルにくらべて薬剤の粒径が大きいためドリフト(飛散)しにくいのが特徴です。
「ラウンドノズルULV5」は、従来よりも少量の除草剤で効果を維持して散布できるノズルで、圧倒的な小水量で散布を行うことができ、少ない散布量で済むため、作業時間の大幅な短縮になる優れものです。
尿素で除草効果UP
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。
その他 葛(クズ)に効果的な除草剤
最もメジャーなラウンドアップが葛(クズ)の除草に効果的なことは説明してきましたが、この他にもグリホサート系の除草剤には、ラウンドアップのジェネリック品の「サンフーロン液剤」などがあります。成分は、旧ラウンドアップと同成分のグリホサートイソプロピルアミン塩です。
またラウンドアップは、つる注入処理や株頭処理にも使えますが、除草剤をしみこませたみ込ませた楊枝のようなピンを根茎を刺して枯れさす「ケイビンエース」や株頭に一滴点下させるだけの「クズコロン」などもあります。
葛(クズ)の除草方法については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。