有機肥料で人気の油かすですが、バラの栽培にも有効なのでしょうか。この記事では、油かす(油粕)肥料の基本情報とともに、バラの肥料としての使い方をわかりやすく説明します。
バラの肥料に油かすは有効か
まずバラ栽培の肥料に油かすは有効でしょうか。答えはYES。有機肥料(有機質肥料)は、元肥として施すとゆっくり長く肥料の効果を効かせることができます。バラの専用肥料にも油かすは使われています。
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。庭植えの元肥によく使われます
油かすは窒素を主な成分としているため、油かすだけでバラを栽培しようとすると、リン酸とカリウムが足りないこともあるのでパッケージなどで肥料分を確かめて使いましょう。
速効性はあるのか
油かすは、緩効性肥料として使えると上記で説明しましたが、速効性のある追肥として使うこともできます。発酵(醗酵)油かすやぼかし肥料、液体肥料(液肥)として使うことで速効性の肥料としての効果を発揮します。
発酵油粕は、事前に発酵(醗酵)させてあるので、油かすの問題になりやすい臭いや虫(コバエなど)をある程度抑えられます。また、吸収されやすく、よく効くため、追肥に向いています。
ぼかし肥料は、ぼかし肥料とは、油かすや米ぬかなど複数の有機質資材を配合させたものに籾殻や土を加えて発酵させた肥料のことを指します。成分は配合させる有機質によって変わるので、油かす以外での肥料成分も与えることができます。
バラの肥料としての使い方
元肥
元肥は、庭などに地植えする場合は土を横幅・深さともに40㎝~60㎝ほど掘ります。地植えの場合は、水はけがよく肥沃のよい土が必要です。土壌改良が必要な場合は牛糞などの完熟堆肥と醗酵油かすを土と混ぜて植えつけます。
醗酵油かすは、製品によって肥料分が異なります。パッケージをよく読んで、リン酸やカリ分の肥料成分が少ないようならその他のリン酸肥料なども使いましょう。骨粉入りの油粕肥料などを使えばリンサンが多く含まれています。
ポット苗を植え替える場合は、根が肥料焼けしやすいので土に混ぜず、植え付けしてから2週間ほどしてから根から離して鉢の縁に置いて軽く土を被せます。用土に元肥入りのバラの土などを使った場合は肥料は与えません。
堆肥や油粕は、完熟しているものを使うとよいでしょう。未熟なものは微生物の働きにより分解(発酵)される過程で発生するガス(アンモニアガスや亜硝酸ガス)に芽や根がさらされ、枯れることがあります。
寒肥
庭植えの場合は冬の休眠中に寒肥を行います。寒肥の時期は1月~2月です。株元から30㎝~40㎝のところに円を描くように10㎝ほど土を掘り起こします。そこに完熟堆肥と醗酵油かすを施して、土を戻して軽く耕します。
株元から30㎝、深さ30㎝ほどの穴を株の周りに3か所ほど掘れるようでしたら、完熟していない堆肥や油かすも使えます。堆肥と油かすを入れてカリ分を補足するために硫酸カリなどのカリウム肥料をいれ、底の土とよく混ぜます。さらにようりんを入れて、掘り出した土を戻し入れます。
鉢植えの場合は、寒肥は必要ありません。
追肥
追肥には、醗酵油かすを使うとよいでしょう。株元から30㎝~40㎝のところに円を描くように10㎝ほど土を掘り起こします。そこに完熟堆肥と醗酵油かすを施して、土を戻して軽く耕します。鉢植えの場合は、根から離して鉢の縁に置いて軽く土を被せます。
おすすめの油かす肥料
油かす
未発酵の油かすは、寒肥やぼかし肥料の原料として使えます。地中で発酵が進むため臭いがきついと感じる人もいるので注意が必要です。
醗酵油かす
事前に発酵されている醗酵油かすは、元肥や追肥にも使えます。未発酵の油かすは粉末になっているものが多いですが、発酵しているものは、固形もしくはペレットであることがほとんどです。
東商の超醗酵油かすは、醗酵が済んだ状態の肥料を腐植質でくるんでいるのでにおいがしないのが特徴。肥料分が、チッ素(N):リン酸(P):カリ(K):マグネシウム(Mg)=4:6:2:0.21 とバラに必要なリン酸も多くふくまれています。
日清の醗酵油かすは、なたね油粕を主成分としており使いやすいペレット状です。肥料分が、チッ素(N):リン酸(P):カリ(K)=3・6・3 とリン酸が多く含まれています。パッケージにバラの施肥量なども書かれています。
その他おすすめのバラの肥料
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補足:油かすとは
油粕(油かす)は、ナタネ(菜種)やダイズ(大豆)から油を搾る工程の残りかすを指し、それを主な原料として使用する有機(有機物)肥料を油かす肥料と呼びます。
\油かす肥料について/
油かす肥料は、その油かすの種類によっても成分が異なります。
ナタネ(菜種)油かすは、窒素が主成分で、リン酸やカリウムも多少含んでいることが特徴です。また、土壌で分解されるのが遅いため、効き目が長い、遅効の肥料ということになります。
ダイズ(大豆)油かすも、窒素が主成分ですが、リン酸やカリウムをあまり含んでいないのが特徴です。また、土壌で分解されるのが早いため、ナタネ(菜種)油かすと比較すると、効果が表れるのが早い、即効の肥料ということになります。
単位:% | ナタネ(菜種)油かす | ダイズ(大豆)油かす |
---|---|---|
窒素(N) | 5 | 7 |
リン酸(P) | 2 | 1 |
カリ(K) | 1 | 2 |